勝又壽良の経済時評
日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2019-08-14 05:00:00
韓国、「輸出」8月初旬、前年比22%減で最大「対日は32%減」
テーマ:ブログ
8月1~10日の貿易統計が発表された。
韓国経済の牽引役の輸出が、前年比22.1%減と最大の落込みなった。
対日輸出は、同32.3%と急減した。日韓関係悪化を反映したのであろう。
輸出不振が長期化し、今年2%台序盤と予想される経済成長率がさらに落ちる可能性があるという分析も出ている 、という。
『中央日報』(8月13日付)は、「8月の月初来輸出22%マイナス、減少に拍車」と題する記事を掲載した。
韓国関税庁は12日、8月1~10日の韓国の輸出が前年同期比22.1%減の115億ドルにとどまったと発表した。
米中貿易戦争の激化と半導体価格の下落による影響で輸出が大きく落ち込んだ格好で、下半期に入り、輸出は回復するどころか、むしろ減少に拍車がかかった。
(1)「韓国の輸出は、昨年12月から9カ月連続でマイナスとなる可能性が高まっている。
特に8月は月初の状況が最も厳しかった。主力輸出品目である半導体が34.2%減だった
ほか、石油製品(26.3%減)、自動車(6%減)などとなっている。
韓国の主要輸出相手国である中国、米国への輸出はそれぞれ28.3%、19.5%減少し、対日輸出も32.2%減少した。
同じ期間の輸入は13.2%減の142億ドルだった。
貿易収支は26億4900万ドルの赤字を記録した。この傾向が月末まで続けば、90カ月続いてきた貿易黒字も途絶えることになる」
私は、けさ発行した「メルマガ81号」で、韓国が世界リセッションに翻弄され始めたと指摘した。
このパラグラフで現れた現実は、韓国経済がもはやどうにもならないところへ追い込まれてきたことを立証し始めたと見る。
中国、米国への輸出はそれぞれ28.3%、19.5%減少し、対日輸出も32.2%減少した
点に注目したい。
米中貿易戦争の影響と日韓関係悪化が全面化している。
米中貿易戦争は、韓国としていかんともし難いが、日韓関係悪化の原因は韓国がつくりだしたもの。自業自得の面が大きい。
韓国の輸出減少は、主要輸出国のうち最も目立つている。
WTO(世界貿易機関)によると、韓国の1~4月の輸出増減率は-6.9%(前年同期比)と、中国、米国、ドイツ、オランダなど上位10大貿易国のうち減少幅が最も大きかった。
韓国が米中貿易戦争の影響を最も強く受けた結果だ。
8月1~10日間の貿易収支は26億4900万ドルの赤字を記録した。
この傾向が月末まで続けば、90カ月続いてきた貿易黒字も途絶えることになる。
これは重大問題に発展するはず。
経常収支が赤字に転落するので、通貨危機に一歩近づくからだ。
文大統領は、暢気なものである。
「韓国経済は堅調」と大統領府の会議で発言している。経済音痴の大統領につける薬はなさそうだ。
米中貿易戦争は、単なる経済摩擦でない。
世界覇権がかかっているだけに、米国は妥協する必要がない。
中国経済が音を上げるまで対立が続くと見るほかないのだ。
こういう潜在的な危険性に加えて、一見、無関係に見える「香港デモ」が、大きな発火点になるリスクを抱えている。
仮に、香港デモ隊鎮圧のために、人民解放軍が出動して惨劇になった場合、「第二の天安門事件」として、中国は自由陣営から大きな圧力を加えられる。
韓国経済には、米中対立の狭間に立というリスクがつきまとうのだ。この点を忘れてはならない。