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【コラム】防疫と経済を同時に捕まえるという魔術

2020-03-01 18:15:27 | 日記


【コラム】防疫と経済を同時に捕まえるという魔術

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

脱原発では「経済」お構いなし、命が懸かったウイルスとの戦争では経済を重視

今は防疫に集中すべき時

「防疫と経済という2匹のウサギをどちらも捕まえなければならない」

 2月21日の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の発言だ。

この発言があった日は、武漢コロナ感染症(新型コロナウイルス感染症)による国内初の死者が出て、一日で感染者が100人以上増えた日だ。

防疫に国の力を総動員すべき時期に、文大統領は国民に「通常通り経済活動に臨んでほしい」というメッセージを発信した。

世論の相当数は中国からの入国を全面的に阻止し、感染症の対応を最高水準の「深刻」段階に引き上げるべきという意見だったが、

文大統領はやんわりと拒否し、結局23日になって対応水準だけを「深刻」に引き上げた。

 内需拡大のための懇談会で出た発言だが、この発言に多くの国民は「大統領が経済をこんなに重視してきただろうか」という感覚を抱いたはずだ。

ある経済団体トップはどんな思いで「(現政権において)経済は捨てられて忘れられた息子」とまで言ったことだろう。

国民は文大統領が執権後本当に経済を最優先視してきたのかという部分に疑問を抱いている。

 急激な最低賃金引き上げと労働時間週52時間制の全面実施は、その趣旨には同意するにしても、無謀な推進がもたらす経済的被害は明らかだった。

脱原発も同じだ。頭脳しかない韓国が数十年間かけて積み上げてきた成果なのに、それを一瞬で水の泡にしてしまう国家的自殺行為をいとも簡単にやってのけた。


その過程で「経済」がまともに議論されたことがあっただろうか。

特に昨年の「日本との経済戦争」のときと今回は、克明に対比される。

日本が素材3品目の輸出をストップすればわれわれの半導体産業が崩壊するという懸念が浮上した。

それにもかかわらずこの政権は「竹槍歌」「12隻の船」などといった刺激的なスローガンで感情による戦いをあおっただけで、大統領自身が「経済も考えよう」と言及したことは記憶にない。「

経済は捨てられた息子」発言が出たのはこの時期だった。

そんな文大統領が、全国民の命が懸かったウイルスとの戦争では、経済と防疫を同じ線上に乗せるほど経済を重要視した。

戸惑いを禁じ得ない。

今回の事態で暮らしが立ち行かなくなる自営業者や零細商人、企業人たちの実態から目を背けているわけではない。

大統領の発言に一貫性がないように思えるため、さまざまな推測があふれているのだ。

専門家たちは「2匹のウサギ」論は結局、政府の「中国のご機嫌伺い」が原因だとの解釈を示している。

中国の習近平主席の訪韓に固執するあまり、数多くの専門家が提言する中国人入国禁止拡大または全面禁止措置をためらい、その言い訳として「経済」を前面に掲げたというわけだ。

 防疫の専門家からは「ウイルスと戦争しながら防疫と経済を同時に成功させること自体が極めて異常な目標」という指摘も出ている。

どちらも重要であることは間違いないが、物事には優先順位があるというものだ。

「防疫が最優先の経済対策」「防疫の基本は一歩先を行く強力な対策」という指摘も同じ脈絡だ。

 ウイルスを封じ込めるための一歩先を行く強力な対策を打ち出す代わりに、経済も生かさなければならないと言って対策をずるずる引き延ばし、

その間に韓国は中国に次いで世界で2番目に感染者の多い国になってしまった。

その結果、経済の現場では「(景気が)ろくでもない」という鬱憤(うっぷん)が爆発しているのだ。

感染症の患者が増えれば増えるほど、不確実性が高まり、経済は委縮し、社会全体が大混乱に陥る可能性がある。

防疫の失敗は経済に致命傷を負わせる最悪の毒なのだ。

本当に経済が心配なら、まずは防疫から成功させるべきだ。

その次に、過去最大級の強度で押し寄せる経済的後遺症を鎮静化させる対策を今から準備し、適切な時期に執行しなければならない。

そうすれば、防疫と経済の2匹のウサギを捕まえるという政治的レトリックよりはるかに信頼を得られるはずだ。


朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

韓国 深刻な社会問題である、保守と革新層の対立

2020-03-01 17:53:20 | 日記
映画パラサイトと新型コロナがあぶり出す韓国「南南葛藤」

編集委員 峯岸博

新型コロナ 朝鮮半島ファイル 峯岸 博 朝鮮半島 編集委員 2020/2/28 0:00日本経済新聞 電子版


米アカデミー賞の4冠に輝いた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が描いたのは、隣国が抱える貧富の格差だけではない。

もう一つの深刻な社会問題である、保守と革新層の対立「南南葛藤」もあぶりだした。

記者会見する韓国映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督=中央(23日、東京・内幸町の日本記者クラブ)=共同

23日、東京・内幸町の日本プレスセンタービル。

「黒沢明監督の『七人の侍』などのような、時間や歳月を乗り越えたクラシック(古典)といわれる映画を作りたい」。

来日したポン・ジュノ監督は日本記者クラブで記者会見し、自らの目標についてこう語った。

■よみがえる「ブラックリスト事件」

映画人として作品に向き合うときに「不純物が混じらない透明な状態」を心がけているという。

韓国映画の歴史は政治と切り離せない。

来日に先立つ19日、ポン・ジュノ監督はソウルで凱旋記者会見を開いた。

同じ日、そう遠くないソウル高裁では、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が収賄などの罪に問われた事件の控訴審が開かれ、一審より重い懲役17年の実刑判決を言い渡された。

保守政権時代の韓国では「芸能界ブラックリスト」が作られた(19日、ソウル高裁の法廷に向かう李明博元大統領=右)=聯合・共同

同監督と元大統領の2人を結びつけるのが「芸能界ブラックリスト事件」だ。

2008~17年の李、朴槿恵(パク・クネ)政権時代に保守政権の意に沿わない文化人や芸術家のリストが作成され、資金援助の対象から外された事実が明らかになり、そのリストにポン・ジュノ監督も入っていた。

李、朴両大統領経験者の数ある罪状の中には職権乱用も含まれている。

■愛国心VS.民主化・格差

韓国は人口5100万人だが、映画の年間観客動員数が累計2億人を超えるシネマ大国だ。

上映される作品に、ときの政権のカラーが色濃く投影される特徴もある。

保守政権時代の作品の主なキーワードが「愛国心」なのに対し、革新政権下では「民主化」「独立運動」がモチーフになるケースが多い。

パラサイトの場合は「格差」だ。

革新系の文在寅(ムン・ジェイン)大統領には痛快だったろう。

パラサイトが描いた格差や不公正の是正はまさに政権の金看板なのだから。

20日、文大統領は監督と出演者を青瓦台(大統領府)での昼食会に招いて

「『パラサイト』が示した社会意識に深く共感する」と述べ、映画産業への支援を約束した。

一方、政権公約の雇用拡大などが進まない現状を念頭に「不平等の解消が最大の国政目標だが反対も多く、すぐに成果が表れず焦っている」と不満をこぼし、保守派を当てこすった。

■世論調査の衝撃

それは文政権が危機感を強めていることの裏返しでもある。

14日に発表された韓国ギャラップの世論調査の結果を巡り韓国政界に衝撃が走った。


4月15日に迫った総選挙で野党候補がより多く当選してほしいと答えた人が45%を占め、与党候補がより多く当選してほしいと回答した43%を上回ったからだ。

国内では17日、分裂していた保守勢力が新党「未来統合党」を結成した。

ライバルである左派・革新陣営内の足並みの乱れや、青瓦台による地方選挙介入疑惑なども重なって、

「野党が猛追している」「全く読めなくなった」などの情勢が相次ぎ伝わってくる。

■新型コロナでは守る立場に

「南南葛藤」に拍車をかけているのが、韓国で累計感染者が1500人を突破した新型コロナウイルスの広がりだ。

新型コロナウイルスへの対応で厳しい局面に立たされている文在寅韓国大統領=韓国大統領府提供

保守派は、まだ感染者数がそれほど多くなかった13日の時点で文大統領が「遠からず終息するだろう」との見通しを示していたことを取りあげ、

「中国政府の顔色をうかがいまごまごした文政権の防疫の失敗」(韓国紙・中央日報)などと追及を強めている。

青瓦台が国民からの請願を受け付けるインターネットのサイトでは文大統領の弾劾を促す声が20万人を超えた。

韓国で多数の犠牲者を出した14年の旅客船セウォル号沈没事故、15年の中東呼吸器症候群(MERS)の流行当時、野党政治家だった文氏は当時の朴槿恵政権の危機管理のまずさを糾弾した。

守る立場の今回、新型コロナ感染への対応を誤れば、総選挙に響き、自身の求心力低下にも直結しかねない。


峯岸博(みねぎし・ひろし)
1992年日本経済新聞社入社。政治部を中心に首相官邸、自民党、外務省、旧大蔵省などを取材。2004~07年ソウル駐在。15~18年3月までソウル支局長。2回の日朝首脳会談を平壌で取材した。

現在、編集委員兼論説委員。著書に「韓国の憂鬱」、「日韓の断層」(19年5月)。

日本政府の借金は約1,100兆円

2020-03-01 14:20:36 | 日記
日本政府の借金は約1,100兆円。

なぜお金を刷って

返済にまわさないのでしょうか?


QUESTION

日本政府の借金が大変なことになっています。国(中央政府)の借金である国債の発行残高は約900兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1100兆円に達します。

国民全員の一年間の稼ぎ(所得)は約500兆円ですので、最短で日本政府の借金を返済するため、仮に国民の稼ぎを増税により全て吸い取って返済に充てたとしても、計算上その期間は2年3ヶ月近く掛かることになります。

それよりもっと手っ取り早い返済方法があります。

日本政府はお金を刷って使う独占的な権利(貨幣鋳造権)を持っています。

だったら、日本政府は国民に嫌われる増税や政府支出の切り詰めによって返済資金を捻出するより、なぜお金を刷ってさっさと借金の返済にまわさないのでしょうか?


HINTSこの問題に答えるには2つの論点を分けて

議論する必要があります。

1つ目は貨幣発行(鋳造)権発動の是非であり、

2つ目は国(政府)の借金の是非です。

まずは、1つ目の論点である貨幣鋳造権発動の是非について取り上げます。

国(政府)の特権として、政府はお金を印刷してそれを支払いにあてることができます。

これが貨幣鋳造権(シニョレージ)です。

歴史的にも、現在の発展途上国でもよく見られる現象ですが、この貨幣鋳造権を乱発しますと、市場に流通するお金(貨幣)の供給量が格段に増え、貨幣価値が暴落する極端なインフレーションを引き起こし経済活動に混乱をもたらします。

ですから、日本では法律により、貨幣発行機関である日本銀行を、政府から独立した貨幣価値の番人として位置づけ、政府が日本銀行に命令し、簡単にお札を刷って買い物支払いに充てたり、借金の返済にあてたりできないようにしています。

ですので、国(政府)の借金を貨幣発行で全額返済することに国民や日本銀行の賛同を得にくい策だと言えます。

ですが、政府自体も貨幣鋳造権を持っているので、“政府紙幣”を発行し政府の借金を返済することは長引く不況とデフレーション対策にもなると賛同する意見も存在します。

皆さんはこの論点をどう考えますか?

次に、2つ目の論点に入りますが、そもそも国(政府)が多額の借金をすることは問題なのでしょうか?

確かに、日本政府の債務総額の大きさ(対GDP比)は先進国でも突出しており、「マクロ経済学」のテキストにもトピックスとして取り上げられていますが、その是非については大きく議論が分かれます。

ある議論では財政の赤字を賄うために政府が発行する債務証書(借用書)である国債を発行することは、この赤字を賄うために今おこなう増税を単に将来に先延ばしにすることと同じであるとし、国の借金は長期間に渡って地道に国民の税金で返していくしかないという意見があります。

また別の議論として、一般企業の借金の多寡を分析できる会計学を応用し、政府の借金(金融負債)総額だけを見るのではなく、

政府全体が保有する資産(その中でも金融資産)とのバランス(もしくは、負債総額から資産総額を差し引いたネットの純負債額)に着目すると、
高橋洋一氏の「明快 会計学入門(あさ出版)」による計算では、実質的な政府の借金(金融負債)総額は約120兆円となり、会計学上”健全な”額の純負債総額なので、このままでも何も心配が要らないとする意見もあります。

皆さんはこの論点にどう結論を下しますか? 考えてみてください。