2016.06.04
韓国人「日本人は、謙虚ですね」。日韓の比較・考え方や社会の違い。
はじめの一言
「閑雅な日本料理を味わうのは、同時に『芸術』を『味わう』ことでもある。日本割烹の板前は見る眼に美しいものを創造する芸術家だ。一つびとつの料理とそれぞれ特別の容器に盛られている美しさは眼を驚かすばかりである。清純な味わいと鮮麗とを兼ねた佳饌は、一幅の静物画さながらだ
(タウト 昭和時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
今回の内容
・インド人、インドネシア人、中国人から見た日本
・日本と韓韓国の大卒の初任給の差
・最低賃金の差
・日本人と韓国人の考え方の違い
・インド人、インドネシア人、中国人から見た日本
前回までに、インド人とインドネシア人から見た日本を紹介した。
インドやインドネシアの特徴とくちょうといえば、他民族国家であるいうこと。
国内にはいろいろな言葉があり、さまざまな民族や宗教の人たちがいる。
そんな多様性のある国の人からは、日本はどこに行っても同じに見えるという。
北海道から沖縄まで、日本の街には同じ日本人がいて日本語も通じる。
友人のインド人は、新婚旅行でインドのシッキムというところに行った。
そのときホテルのインド人スタッフがヒンディー語を話せなかったから、英語で話をしたという。
日本でこれはありえない。
日本人どうしで、「日本語ができないから英語で会話をしよう」なんてことはあり得ない。
多くの外国人から見たら、日本は全国各地で人や宗教などが変わらない。
日本には、人・言葉・建物・服などがほとんど変わらないという「同質性の高さ」という特徴がある。
中国人に日本の印象を聞くと、「日本は経済格差が小さい平等な国ですね。理想の社会主義の国ですよ」と半ば冗談で言っていた。
今回は「韓国人から見た日本の特徴」について書いてみたい。
日本と韓国には共通点がある。
それがインド人が言っていた「同質性が高い」ということ。
韓国も日本と同じくどこに行っても同じ。
韓国のどこに行っても韓国語が通じる。
民族の違いもないし、ある宗教の信者が集中的に住んでいるところもない。
どこでも同じ肌の色や目の色をした韓国人がいる。
インドのような「他民族・多言語の国」からはほど遠い。
こうした国の特徴から、韓国人の中には「韓国は単一民族国家だ」と考えている人もいるらしい。
韓国の放送局、SBSが韓国人の外国人忌避症と純血主義を集中取材した『SBSスペシャル…単一民族の国、あなた方の大韓民国』の制作者の調査の結果、 回答者の65.2%が「私たちの民族は単一民族」と信じていることが分かった。
この調査は2010年ごろのものだけど、今の韓国人の意識も大きく変わってはいないだろう。
日本でも一昔前は、「日本は単一民族国家である」なんて書いてある本もあった。
日本も韓国も「単一民族国家」のように見えてしまうほど、同質性が高いという特徴がある。
そんな韓国人に日本の特徴を聞いてみた。
やっぱり、多様性の国のインド人とはちがう感想を言う。
・大卒の初任給の差
韓国人の友人が、ワーキングホリデーで1年間東京に住んでいた。
ワーホリが終って韓国に帰る前に、その女の子と一緒に靖国神社に行った(!)。
その子が韓国に帰る前に行ってみたいと言うから。
その後、ご飯を食べながら日本の感想を聞いてみた。
その韓国人が見た日本は、「日本は格差がない平等な国です」というもの。
これは中国人の友人が言ったことと同じだ。
その子が日本で驚いたことに、「大卒の初任給の差の少なさ」がある。
日本では大企業でも小企業でも、初任給がほとんど変わらない。
これが韓国とはちがうらしい。
「韓国では会社によって初任給がまったくちがいます。スタートラインからちがっているんです。
生涯収入も福利厚生も結婚も含めて、韓国ではどこの会社に入るかで、一生がほぼ決まってしまいます」
このときその子から、韓国の大企業と中小企業の初任給の差を聞いた。
その金額の差に驚いた記憶がある。
でもその具体的な数字は忘れた。
もう、年だから。
彼女から聞いた話は3、4年前のことだから、今の韓国の事情は変わっているかもしれない。
そこで2015年の状況を見てみた。
韓国の大卒の初任給について、「ニッセイ基礎研究所」にはこんなことが書いてある。
日韓比較(1):大卒初任給―韓国の大卒初任給は本当に日本より高いのか?―
大卒初任給を企業規模別にみると、従業員数1000人以上の企業が306.6万ウォン(33.7万円)であることに比べて、従業員数100~299人は242.9万ウォン(26.7万円)で、両グループの間に63.7万ウォン(7万円)の差が発生している。
一方、日本の場合は大企業(20.3万円)と小企業(19.4万円)の差が9千円に過ぎない。
・最低賃金の差
「7万円」といっても、日本と韓国とでは物価がちがう。
韓国の7万円は日本での7万円と同じ価値ではない。
韓国での7万円は、日本だといくらぐらいに相当するか?
日韓の最低賃金から見てみよう。
まず、2015年の韓国の最低賃金は約509円になる。
「海外の反応 お隣速報」の記事(2014年12月16日)から。
2015年の最低賃金は、5580W(2015年5月のレートで約509円)
2015年の最低賃金「5,580ウォン・・・何を買って食べることができますか?」
これに対して、日本経済新聞の記事(2015/8/24)によると2015年の日本の最低賃金は約800円になる。
厚生労働省は24日、2015年度の最低賃金が全国平均で798円となり、前年度から18円上昇したと発表した。
最低賃金、18円上昇し798円 15年度全国平均 10月から適用
韓国の最低賃金を510円で日本の最低賃金を800円とすると、韓国の最低賃金は日本の約0.64倍になる。
これを先ほどの韓国の大企業と小企業の初任給の差に当てはめて計算すると、約88000円になる。
大ざっぱな計算だけど、韓国での7万円は日本の9万円に等しい。
だから、先ほどの「ニッセイ基礎研究所」にあった韓国の大卒の初任給の差は、日本の感覚だと大体10倍になる。
日本でこんな差はあり得ない。
大小企業で初任給の差は、あったとしても1万円ぐらい。
10倍のも差は、日本では想像できない。
日本の会社では、入社してからの給料の上がりぐあいが大小の会社で大きくちがう。韓国のように、最初から明らかな差をつけるという考え方がない。
でも韓国では、「(日本の感覚だと)初任給の差が10倍ある」ということは常識の範囲内になる。
別の韓国人の友人はよくこんなことを言っていた。
「韓国では貧しい人と金持ちの格差が大きすぎます。それで競争が激しい社会になってしまうんです。大きな問題ですよ」
とは言うものの、そんな文句を言ってもどうにもならない。
彼はそれが「韓国という国なんです」と考えていた。
というか、あきらめていた。
韓国人の友人は、日本人と韓国人のちがいをこう話す。
「日本人は謙虚だし遠慮もします。人の目を気にしてあまり目立つことは好きじゃないと思います。
でも、韓国人は違いますよ。自分の良さを積極的にアピールします。会社の初任給の差も、『自分の会社はこれぐらい出すことができる』と、力強さをアピールしているのだと思いますよ」
今までに彼女をふくめて何人かの韓国人から、韓国人と日本人とのちがいを聞いたことがある。
そ
れと韓国の新聞で読んだことから考えても、韓国人は日本人より積極的だ。
自分や韓国の良さをアピールしたがる気持ちが強い。
逆にいえば、日本人よりは謙虚さや遠慮はないということになる。
日本と領有権を争っている竹島(韓国名:独島)。
韓国では「独島のり」がスーパーで売っていた。
韓国は政治的にも日本へ遠慮や配慮をしてくれない。
この友人の話で思い出したことがある。
呉善花(オソンファ)さんという日本の大学で教えている韓国人がいる。
この人は日本と韓国の事情に精通している。
この人が書いた「漢字廃止で韓国に何が起きたか」という本の中で、日本人と韓国人の考え方と発想のちがいについてこんなことを書いている。
1988年のソウル・オリンピックのスローガンは、「韓国を世界に世界を韓国に」というものだった。
それに対して東京オリンピックのスローガンは、「世界に学ぼう」というものだった。
韓国人は世界に自分をアピールしようとする気持ちがとても強い。
大人になってから他人から学ぼうという考えは、韓国人にはあまりないという。
韓国人「日本人は、謙虚ですね」。日韓の比較・考え方や社会の違い。
はじめの一言
「閑雅な日本料理を味わうのは、同時に『芸術』を『味わう』ことでもある。日本割烹の板前は見る眼に美しいものを創造する芸術家だ。一つびとつの料理とそれぞれ特別の容器に盛られている美しさは眼を驚かすばかりである。清純な味わいと鮮麗とを兼ねた佳饌は、一幅の静物画さながらだ
(タウト 昭和時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
今回の内容
・インド人、インドネシア人、中国人から見た日本
・日本と韓韓国の大卒の初任給の差
・最低賃金の差
・日本人と韓国人の考え方の違い
・インド人、インドネシア人、中国人から見た日本
前回までに、インド人とインドネシア人から見た日本を紹介した。
インドやインドネシアの特徴とくちょうといえば、他民族国家であるいうこと。
国内にはいろいろな言葉があり、さまざまな民族や宗教の人たちがいる。
そんな多様性のある国の人からは、日本はどこに行っても同じに見えるという。
北海道から沖縄まで、日本の街には同じ日本人がいて日本語も通じる。
友人のインド人は、新婚旅行でインドのシッキムというところに行った。
そのときホテルのインド人スタッフがヒンディー語を話せなかったから、英語で話をしたという。
日本でこれはありえない。
日本人どうしで、「日本語ができないから英語で会話をしよう」なんてことはあり得ない。
多くの外国人から見たら、日本は全国各地で人や宗教などが変わらない。
日本には、人・言葉・建物・服などがほとんど変わらないという「同質性の高さ」という特徴がある。
中国人に日本の印象を聞くと、「日本は経済格差が小さい平等な国ですね。理想の社会主義の国ですよ」と半ば冗談で言っていた。
今回は「韓国人から見た日本の特徴」について書いてみたい。
日本と韓国には共通点がある。
それがインド人が言っていた「同質性が高い」ということ。
韓国も日本と同じくどこに行っても同じ。
韓国のどこに行っても韓国語が通じる。
民族の違いもないし、ある宗教の信者が集中的に住んでいるところもない。
どこでも同じ肌の色や目の色をした韓国人がいる。
インドのような「他民族・多言語の国」からはほど遠い。
こうした国の特徴から、韓国人の中には「韓国は単一民族国家だ」と考えている人もいるらしい。
韓国の放送局、SBSが韓国人の外国人忌避症と純血主義を集中取材した『SBSスペシャル…単一民族の国、あなた方の大韓民国』の制作者の調査の結果、 回答者の65.2%が「私たちの民族は単一民族」と信じていることが分かった。
この調査は2010年ごろのものだけど、今の韓国人の意識も大きく変わってはいないだろう。
日本でも一昔前は、「日本は単一民族国家である」なんて書いてある本もあった。
日本も韓国も「単一民族国家」のように見えてしまうほど、同質性が高いという特徴がある。
そんな韓国人に日本の特徴を聞いてみた。
やっぱり、多様性の国のインド人とはちがう感想を言う。
・大卒の初任給の差
韓国人の友人が、ワーキングホリデーで1年間東京に住んでいた。
ワーホリが終って韓国に帰る前に、その女の子と一緒に靖国神社に行った(!)。
その子が韓国に帰る前に行ってみたいと言うから。
その後、ご飯を食べながら日本の感想を聞いてみた。
その韓国人が見た日本は、「日本は格差がない平等な国です」というもの。
これは中国人の友人が言ったことと同じだ。
その子が日本で驚いたことに、「大卒の初任給の差の少なさ」がある。
日本では大企業でも小企業でも、初任給がほとんど変わらない。
これが韓国とはちがうらしい。
「韓国では会社によって初任給がまったくちがいます。スタートラインからちがっているんです。
生涯収入も福利厚生も結婚も含めて、韓国ではどこの会社に入るかで、一生がほぼ決まってしまいます」
このときその子から、韓国の大企業と中小企業の初任給の差を聞いた。
その金額の差に驚いた記憶がある。
でもその具体的な数字は忘れた。
もう、年だから。
彼女から聞いた話は3、4年前のことだから、今の韓国の事情は変わっているかもしれない。
そこで2015年の状況を見てみた。
韓国の大卒の初任給について、「ニッセイ基礎研究所」にはこんなことが書いてある。
日韓比較(1):大卒初任給―韓国の大卒初任給は本当に日本より高いのか?―
大卒初任給を企業規模別にみると、従業員数1000人以上の企業が306.6万ウォン(33.7万円)であることに比べて、従業員数100~299人は242.9万ウォン(26.7万円)で、両グループの間に63.7万ウォン(7万円)の差が発生している。
一方、日本の場合は大企業(20.3万円)と小企業(19.4万円)の差が9千円に過ぎない。
・最低賃金の差
「7万円」といっても、日本と韓国とでは物価がちがう。
韓国の7万円は日本での7万円と同じ価値ではない。
韓国での7万円は、日本だといくらぐらいに相当するか?
日韓の最低賃金から見てみよう。
まず、2015年の韓国の最低賃金は約509円になる。
「海外の反応 お隣速報」の記事(2014年12月16日)から。
2015年の最低賃金は、5580W(2015年5月のレートで約509円)
2015年の最低賃金「5,580ウォン・・・何を買って食べることができますか?」
これに対して、日本経済新聞の記事(2015/8/24)によると2015年の日本の最低賃金は約800円になる。
厚生労働省は24日、2015年度の最低賃金が全国平均で798円となり、前年度から18円上昇したと発表した。
最低賃金、18円上昇し798円 15年度全国平均 10月から適用
韓国の最低賃金を510円で日本の最低賃金を800円とすると、韓国の最低賃金は日本の約0.64倍になる。
これを先ほどの韓国の大企業と小企業の初任給の差に当てはめて計算すると、約88000円になる。
大ざっぱな計算だけど、韓国での7万円は日本の9万円に等しい。
だから、先ほどの「ニッセイ基礎研究所」にあった韓国の大卒の初任給の差は、日本の感覚だと大体10倍になる。
日本でこんな差はあり得ない。
大小企業で初任給の差は、あったとしても1万円ぐらい。
10倍のも差は、日本では想像できない。
日本の会社では、入社してからの給料の上がりぐあいが大小の会社で大きくちがう。韓国のように、最初から明らかな差をつけるという考え方がない。
でも韓国では、「(日本の感覚だと)初任給の差が10倍ある」ということは常識の範囲内になる。
別の韓国人の友人はよくこんなことを言っていた。
「韓国では貧しい人と金持ちの格差が大きすぎます。それで競争が激しい社会になってしまうんです。大きな問題ですよ」
とは言うものの、そんな文句を言ってもどうにもならない。
彼はそれが「韓国という国なんです」と考えていた。
というか、あきらめていた。
韓国人の友人は、日本人と韓国人のちがいをこう話す。
「日本人は謙虚だし遠慮もします。人の目を気にしてあまり目立つことは好きじゃないと思います。
でも、韓国人は違いますよ。自分の良さを積極的にアピールします。会社の初任給の差も、『自分の会社はこれぐらい出すことができる』と、力強さをアピールしているのだと思いますよ」
今までに彼女をふくめて何人かの韓国人から、韓国人と日本人とのちがいを聞いたことがある。
そ
れと韓国の新聞で読んだことから考えても、韓国人は日本人より積極的だ。
自分や韓国の良さをアピールしたがる気持ちが強い。
逆にいえば、日本人よりは謙虚さや遠慮はないということになる。
日本と領有権を争っている竹島(韓国名:独島)。
韓国では「独島のり」がスーパーで売っていた。
韓国は政治的にも日本へ遠慮や配慮をしてくれない。
この友人の話で思い出したことがある。
呉善花(オソンファ)さんという日本の大学で教えている韓国人がいる。
この人は日本と韓国の事情に精通している。
この人が書いた「漢字廃止で韓国に何が起きたか」という本の中で、日本人と韓国人の考え方と発想のちがいについてこんなことを書いている。
1988年のソウル・オリンピックのスローガンは、「韓国を世界に世界を韓国に」というものだった。
それに対して東京オリンピックのスローガンは、「世界に学ぼう」というものだった。
韓国人は世界に自分をアピールしようとする気持ちがとても強い。
大人になってから他人から学ぼうという考えは、韓国人にはあまりないという。