日本と世界

世界の中の日本

韓国人「日本人は、謙虚ですね」。日韓の比較・考え方や社会の違い。

2020-03-07 18:09:53 | 日記
2016.06.04

韓国人「日本人は、謙虚ですね」。日韓の比較・考え方や社会の違い。

はじめの一言

「閑雅な日本料理を味わうのは、同時に『芸術』を『味わう』ことでもある。日本割烹の板前は見る眼に美しいものを創造する芸術家だ。一つびとつの料理とそれぞれ特別の容器に盛られている美しさは眼を驚かすばかりである。清純な味わいと鮮麗とを兼ねた佳饌は、一幅の静物画さながらだ
(タウト 昭和時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

今回の内容

・インド人、インドネシア人、中国人から見た日本
・日本と韓韓国の大卒の初任給の差
・最低賃金の差
・日本人と韓国人の考え方の違い

・インド人、インドネシア人、中国人から見た日本

前回までに、インド人とインドネシア人から見た日本を紹介した。

インドやインドネシアの特徴とくちょうといえば、他民族国家であるいうこと。
国内にはいろいろな言葉があり、さまざまな民族や宗教の人たちがいる。

そんな多様性のある国の人からは、日本はどこに行っても同じに見えるという。
北海道から沖縄まで、日本の街には同じ日本人がいて日本語も通じる。

友人のインド人は、新婚旅行でインドのシッキムというところに行った。
そのときホテルのインド人スタッフがヒンディー語を話せなかったから、英語で話をしたという。
日本でこれはありえない。
日本人どうしで、「日本語ができないから英語で会話をしよう」なんてことはあり得ない。

多くの外国人から見たら、日本は全国各地で人や宗教などが変わらない。
日本には、人・言葉・建物・服などがほとんど変わらないという「同質性の高さ」という特徴がある。
中国人に日本の印象を聞くと、「日本は経済格差が小さい平等な国ですね。理想の社会主義の国ですよ」と半ば冗談で言っていた。

今回は「韓国人から見た日本の特徴」について書いてみたい。

日本と韓国には共通点がある。

それがインド人が言っていた「同質性が高い」ということ。

韓国も日本と同じくどこに行っても同じ。

韓国のどこに行っても韓国語が通じる。

民族の違いもないし、ある宗教の信者が集中的に住んでいるところもない。

どこでも同じ肌の色や目の色をした韓国人がいる。

インドのような「他民族・多言語の国」からはほど遠い。

こうした国の特徴から、韓国人の中には「韓国は単一民族国家だ」と考えている人もいるらしい。

韓国の放送局、SBSが韓国人の外国人忌避症と純血主義を集中取材した『SBSスペシャル…単一民族の国、あなた方の大韓民国』の制作者の調査の結果、 回答者の65.2%が「私たちの民族は単一民族」と信じていることが分かった。

この調査は2010年ごろのものだけど、今の韓国人の意識も大きく変わってはいないだろう。

日本でも一昔前は、「日本は単一民族国家である」なんて書いてある本もあった。

日本も韓国も「単一民族国家」のように見えてしまうほど、同質性が高いという特徴がある。

そんな韓国人に日本の特徴を聞いてみた。

やっぱり、多様性の国のインド人とはちがう感想を言う。


・大卒の初任給の差

韓国人の友人が、ワーキングホリデーで1年間東京に住んでいた。

ワーホリが終って韓国に帰る前に、その女の子と一緒に靖国神社に行った(!)。

その子が韓国に帰る前に行ってみたいと言うから。

その後、ご飯を食べながら日本の感想を聞いてみた。

その韓国人が見た日本は、「日本は格差がない平等な国です」というもの。

これは中国人の友人が言ったことと同じだ。




その子が日本で驚いたことに、「大卒の初任給の差の少なさ」がある。

日本では大企業でも小企業でも、初任給がほとんど変わらない。
これが韓国とはちがうらしい。


「韓国では会社によって初任給がまったくちがいます。スタートラインからちがっているんです。

生涯収入も福利厚生も結婚も含めて、韓国ではどこの会社に入るかで、一生がほぼ決まってしまいます」

このときその子から、韓国の大企業と中小企業の初任給の差を聞いた。

その金額の差に驚いた記憶がある。

でもその具体的な数字は忘れた。

もう、年だから。

彼女から聞いた話は3、4年前のことだから、今の韓国の事情は変わっているかもしれない。

そこで2015年の状況を見てみた。

韓国の大卒の初任給について、「ニッセイ基礎研究所」にはこんなことが書いてある。

日韓比較(1):大卒初任給―韓国の大卒初任給は本当に日本より高いのか?―  

大卒初任給を企業規模別にみると、従業員数1000人以上の企業が306.6万ウォン(33.7万円)であることに比べて、従業員数100~299人は242.9万ウォン(26.7万円)で、両グループの間に63.7万ウォン(7万円)の差が発生している。

一方、日本の場合は大企業(20.3万円)と小企業(19.4万円)の差が9千円に過ぎない。



・最低賃金の差

「7万円」といっても、日本と韓国とでは物価がちがう。

韓国の7万円は日本での7万円と同じ価値ではない。

韓国での7万円は、日本だといくらぐらいに相当するか?

日韓の最低賃金から見てみよう。

まず、2015年の韓国の最低賃金は約509円になる。

「海外の反応 お隣速報」の記事(2014年12月16日)から。


2015年の最低賃金は、5580W(2015年5月のレートで約509円)

2015年の最低賃金「5,580ウォン・・・何を買って食べることができますか?」


これに対して、日本経済新聞の記事(2015/8/24)によると2015年の日本の最低賃金は約800円になる。


厚生労働省は24日、2015年度の最低賃金が全国平均で798円となり、前年度から18円上昇したと発表した。

最低賃金、18円上昇し798円 15年度全国平均 10月から適用

韓国の最低賃金を510円で日本の最低賃金を800円とすると、韓国の最低賃金は日本の約0.64倍になる。

これを先ほどの韓国の大企業と小企業の初任給の差に当てはめて計算すると、約88000円になる。

大ざっぱな計算だけど、韓国での7万円は日本の9万円に等しい。

だから、先ほどの「ニッセイ基礎研究所」にあった韓国の大卒の初任給の差は、日本の感覚だと大体10倍になる。

日本でこんな差はあり得ない。

大小企業で初任給の差は、あったとしても1万円ぐらい。

10倍のも差は、日本では想像できない。

日本の会社では、入社してからの給料の上がりぐあいが大小の会社で大きくちがう。韓国のように、最初から明らかな差をつけるという考え方がない。


でも韓国では、「(日本の感覚だと)初任給の差が10倍ある」ということは常識の範囲内になる。
別の韓国人の友人はよくこんなことを言っていた。

「韓国では貧しい人と金持ちの格差が大きすぎます。それで競争が激しい社会になってしまうんです。大きな問題ですよ」

とは言うものの、そんな文句を言ってもどうにもならない。
彼はそれが「韓国という国なんです」と考えていた。
というか、あきらめていた。


韓国人の友人は、日本人と韓国人のちがいをこう話す。

「日本人は謙虚だし遠慮もします。人の目を気にしてあまり目立つことは好きじゃないと思います。

でも、韓国人は違いますよ。自分の良さを積極的にアピールします。会社の初任給の差も、『自分の会社はこれぐらい出すことができる』と、力強さをアピールしているのだと思いますよ」

今までに彼女をふくめて何人かの韓国人から、韓国人と日本人とのちがいを聞いたことがある。

れと韓国の新聞で読んだことから考えても、韓国人は日本人より積極的だ。

自分や韓国の良さをアピールしたがる気持ちが強い。

逆にいえば、日本人よりは謙虚さや遠慮はないということになる。

日本と領有権を争っている竹島(韓国名:独島)。

韓国では「独島のり」がスーパーで売っていた。

韓国は政治的にも日本へ遠慮や配慮をしてくれない。

この友人の話で思い出したことがある。

呉善花(オソンファ)さんという日本の大学で教えている韓国人がいる。

この人は日本と韓国の事情に精通している。

この人が書いた「漢字廃止で韓国に何が起きたか」という本の中で、日本人と韓国人の考え方と発想のちがいについてこんなことを書いている。

1988年のソウル・オリンピックのスローガンは、「韓国を世界に世界を韓国に」というものだった。

それに対して東京オリンピックのスローガンは、「世界に学ぼう」というものだった。

韓国人は世界に自分をアピールしようとする気持ちがとても強い。

大人になってから他人から学ぼうという考えは、韓国人にはあまりないという。

中国人を感激させた、鈴木直道・北海道知事が発した2つのフレーズ

2020-03-07 17:59:05 | 日記
中国人を感激させた、鈴木直道・北海道知事が発した2つのフレーズ


中島恵 | ジャーナリスト


3/3(火) 20:35


「日本人では珍しく、強いリーダーシップと決断力、実行力がある若き知事!」

「“顔値高”(インスタ映え)する日本の庶民派知事」

「カッコいい知事がマスクをしたら、さらにカッコよくなった」

「一夜にして日本の一人の知事が“爆紅”(爆発的な人気者)になった!」

 2月26日、北海道の鈴木直道知事は記者会見で「全道の小中学校を7日間休校にすることを市町村に要請する」と発表。

さらにその2日後には緊急事態宣言も発表した。

鈴木知事の会見は日本中に驚きを持って受け止められたが、それは新型コロナウイルスの最初の発生地であり、海を越えた中国でも同様だった。

 しかも、中国では、この発表にただ「驚いた」だけではない。

決断のスピード、強いリーダーシップ、政治判断に賞賛が巻き起こり、その爽やかな外見も含めて、上記のようなコメントが中国のSNS上にたくさん書き込まれたのだ。

 翌日、中国の大手ポータルサイト新浪の国際ニュースでは、鈴木知事のニュースがアクセスランキングで第1位となり、中国の検索サイトで「鈴木直道」の名前が急上昇。

瞬く間に中国で最も有名な日本人のひとりとなった。

 とくに中国人の心を強く動かしたのは、鈴木知事が発した次の2つのフレーズだった。

自分が責任を負う、という強い言葉

「前例のないことなので、やりすぎではないかというご批判もあるかもしれませんが、政治判断は結果がすべてなので、結果責任は知事(私)が負います」

 中国ではこの「私が責任を負う」という部分が中国語に翻訳され、繰り返しSNSで出回った。

つまり、

「これこそがリーダーたる者がいうべき言葉ではないか」

「非常時の今こそ、日本の政治家からこうした力強い言葉が聞きたかった(やっと聞けた)」というわけだ。

 中国のメディアなどでは「日本政府の対応では(危機感があまり感じられないように見えるので)、心もとない。このままでは日本が第2の武漢になってしまうのでは……」との報道が多く、心配されていたので、こうした責任感のある政治家の言葉が注目を集めた。

 もうひとつ、中国のニュースやSNSで頻繁に取り上げられた鈴木知事のフレーズがある。それは「隗(かい)より始めよ」だ。

 鈴木知事は休校中の子どもの居場所について、道民の協力を求めるのと同時に、道としても対策を行っていくとしてこの言葉を使ったのだが、このフレーズが中国と関係が深いとして、またSNSに引用された。

記者会見の発言に注目

「隗より始めよ」は中国の故事に由来する。戦国時代、郭隗(かく・かい)という人物が燕(えん)の昭王に賢者の求め方を問われて、賢者を招きたければ、まず私を重く用いよ、と答えたという。

 つまり「身近なことから(あるいは、いい出したものから)始めよ」という意味だ。中国では「請自隗始」「先従隗始」などという。

「隗より始めよ」は日本でときどき使われる表現だが、注目を集める記者会見の場で、

鈴木知事がこの中国と縁の深いフレーズを偶然使ったことが、ますます中国人の心にぐっと刺さった。

 昨年、日本の新元号「令和」が、中国にも関係深いことや(令和の典拠は万葉集の梅の花の序文だが、その部分は漢文)、

1月下旬、中国でのマスク不足が浮上した際、日本から中国に送った支援物資に、日中に関係深い漢詩が書かれていたことなどと同様、日本人の教養の高さに、彼らが感動したことともつながっている。

 一気に脚光を浴びた鈴木知事について、中国のメディアをチェックしていくと、詳細なプロフィールまで紹介されていて驚いた。

 たとえば、鈴木知事が中国でも人気のアニメ『クレヨンしんちゃん』と同じ埼玉県春日部市出身であること、

その生い立ちや苦労した道のり(知事の名前は直道だが、中国では「名前とは違って、決して真っすぐで平坦な道ではなかった」などというたとえで表現されている)のこと、

東京都庁の職員などを経て大学を卒業し、史上最年少で北海道夕張市の市長になり、市政を立て直した実績があること、などだ。

 日本のメディアの報道と変わりないほど詳しい。

危機感がある政治家

 鈴木知事のマスク姿の写真を引用して「日本の閣僚はマスクをしていないようだが、鈴木知事はしっかりマスクをして、自己防衛していることにも好感が持てる。強い危機感がある」というものもあった。

 また、中国で最も有名な日本人のひとりといえば小泉純一郎元首相だが、その次男で、同じく政治家の小泉進次郎氏と同じ38歳であるところに注目するメディアも多く、

「官二代(政治家の2世)の小泉氏よりも鈴木知事のほうがいい。鈴木知事こそ、将来の総理候補だ」と書いているものもあった。

 中国の政治家にも日本と同じく2世がいて、中国共産党のトップに上り詰めるのはエリート層が多い。むろん、庶民からは遠い存在だ。

 そうしたこともあり、苦労人で、一介の公務員から努力して知事という地位に就き、日本人には珍しく、自分の言葉で率直な発言をする鈴木知事のことが、彼らの目から見ると新鮮で、頼もしく映ったのではないだろうか。

韓国経済、コロナで窒息寸前 同じ轍を踏まぬために

2020-03-07 17:22:33 | 日記


韓国経済、コロナで窒息寸前 同じ轍を踏まぬために

武藤 正敏

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)


2020/03/04 08:00

新型コロナ禍への各国の景気対策が本格化している。騒動が終息した後、世界景気や金融市場はどこへ向かうのか

感染終息後、世界経済が急回復も

新型コロナウイルスの集団感染が発生した韓国の新興宗教団体「新天地イエス教会」の教祖、イ・マンヒ総会長(88)がソウル近郊の京畿道・加平で記者会見を開き、謝罪した。

集団感染が発生してからイ氏が公の場に登場するのは初めて。

同氏を巡ってはソウル市が感染を未然に防ぐ措置を取らなかったとして殺人容疑などで告発している(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

提供新型コロナウイルスの集団感染が発生した韓国の新興宗教団体「新天地イエス教会」の教祖、イ・マンヒ総会長(88)がソウル近郊の京畿道・加平で記者会見を開き、謝罪した。集団感染が発生してからイ…

 日本における新型コロナウイルスの流行はもはや危機的状況であり、これを抑えるためには、できることは何でもしなければいけない段階にきていると見るべきであろう。

 安倍総理は、大規模なスポーツ、文化イベントの自粛や、全国の小中高校の一斉休校を要請した。

イベントの自粛は関係者にとって経営上大きな負担を強いるものである。

また、全国の小中高校の一斉休校を突然要請されたため、保護者の多くが子供の預け先に困って出勤できなくなったり、休職することで会社と軋轢を生じる人や収入の減少する人などが発生したりして、国民生活に多くの負担を強いることになった。

 しかし、新型コロナウイルスの感染者ルートがはっきりしないケース、集団感染や2次、3次と連鎖的に感染が広がるケースが増え、このまま有効な対策を取らなければ、感染者が急増し、日本の医療体制が崩壊する危険性すら指摘されている。

そうなれば十分な治療を受けられずに死亡していくケースも増えていく可能性がある。

韓国の対応を他山の石に

 今日本経済にとって最悪のシナリオは、新型コロナウイルスの影響が長期間続くことだろう。

新型コロナの流行が長引けば、日本経済への悪影響は増幅し、景気回復はますます困難になり、国民の負担は今以上に大きくなることが避けられない。

安倍総理が言うように今がその分岐点であれば、ある程度の犠牲を払ってでも、新型コロナ退治を優先的に図っていくことが犠牲を最小限にとどめる道と思われる。

 こうした時に取るべき道は、いかに最悪の事態を防ぐか、という危機管理の思考であろう。

確かに、安倍政権の初動操作には種々問題があったと思われる。

また、安倍総理の国民への要請の仕方は、国内で影響を受ける人々との調整を行わないまま突然言い出されたものであり、その効果も検証されていないなど問題は多い。

しかし、危機を免れるかどうかの決断の時が切迫しているのであれば、安倍総理があえて政治責任を取る覚悟で決断することは国の指導者としてやむを得ないものと考える。

今は可能なあらゆる手段を屈指してでも新型コロナの感染防止に努め、その結果が表れない時に初めてその政治決断を批判することが国民として取るべき道ではないか。

 韓国では、日本以上に感染が広がっており、3日午前現在の感染者は前日より477人増えて4812人に達し、死亡者も2人増えて28人となった。


感染者数は、中国に次いで世界で2番目の多さである。

韓国が現在おかれた状況は、日本がこの問題に危機管理の意識で取り組まなければならないと改めて感じさせるものである。

韓国の取り組みが日本に与える教訓について考えてみたい。

韓国人に対する入国制限の広がりで韓国は孤立状態に

 2日現在、世界の81カ国が、韓国人および韓国に滞在歴のある外国人に対する入国禁止や何らかの制限を行っている。

モーリシャスでは新婚旅行で訪れた34人が隔離され、ネズミや虫の出る保護施設で、タオルも2人に1枚しか与えられず、韓国外交部の連絡待ちをせざるを得ない、悪夢の新婚旅行となった。

 また、イスラエルでは聖地巡礼に訪れた韓国人から9名の陽性反応が検出されたことから、2月23日に到着した大韓航空便に乗っていた韓国人乗客はテレアビブ空港で事前の通告もなく入国拒否され、そのまま空港から韓国に引き返すこととなった。

 
このように、韓国人に対する入国規制は韓国人の観光や移動に多大な不便を与えているが、それ以上に深刻なのは韓国のビジネスへの影響である。

 中国、ベトナム、インド、サウジアラビアなど韓国と経済交流が多い国が相次いで「韓国人入国禁止と制限」に乗り出し、韓国企業の海外事業に赤信号がともっている。

韓国はGDPの4割が輸出であり、輸入もGDPの3割である。

特に、2018年基準で韓国売り上げ上位10社の海外売上の割合は65.9%に達している。

その韓国が、世界経済の中で孤立していけば、韓国経済の見通しは極めて悲観的にならざるを得ない。

 サムスン電子は先月29日、ベトナムに開設するモバイル研究開発センターの着工式を行い、これに事実上のトップである李在溶(イ・ジェヨン)副会長が出席する予定であったが、取り消さざるを得なかった。

韓国はベトナムにとって最大の投資国であり、8000社以上の企業が進出している。

また、2017年基準でサムスン電子と系列会社がベトナムの輸出に占めるシェアは25%に達する。

それだけ重要な相手のベトナム訪問直前に韓国人のノービザ入国を中断したのである。日本であれば特例として李在溶氏の入国を認めたのではないか。

 中国も広東省広州、山西省西安、江蘇省南京と蘇州など地方政府を中心に韓国発の入国者に対して14日間の隔離など入国規制強化措置を取った。

このため、韓国人エンジニアの出張に影響が出て、LGディスプレーの広州有機EL工場の1-3月期稼働計画が大きく揺らぎだしている。

 また、インド、マレーシア、サウジなどで企業が身動きの取れない状況となっている。サムスン電子は消費者家電部門を中心に、3月末までの海外出張計画を全面的に取り消さざるを得なくなった

 海外建設受注に参戦した韓国の大手建設会社関係者は最近、中東側の発注元とのミーティングで「伝染病が猛威を振るう韓国が正常に工事を引き受けられるのか」と問われたという。

新型コロナウイルスの流行が韓国企業の信頼度低下につながっている証左であろう。

 さらに韓国の航空産業の苦境は目を覆いたくなるほどの状況だ。

日中便が減便となる中、ベトナム・ロシア・マレーシアからも空路を閉ざされている。

このため、短距離を飛ぶ韓国系格安航空会社(LCC)は航空機の90%ほどが運航を停止している。

大手のアシアナ航空でさえ従業員の給与を3割カットに乗り出すほどだ。

 韓国から日本が学び取る教訓は、いかに関係が深い国でもこと伝染病の防疫となると、手のひらを返すように冷たくなるということである。

3日、インドが突然日本人の入国ビザをキャンセルした。

首脳同士で日印間の関係強化を確認し合っている国である。

日本もこのまま新型コロナウイルスの脅威が広がっていけば、世界経済から孤立していきかねない。今が正念場である。

韓国はMERS対応の失敗から検査体制拡充

 韓国では、中東呼吸器症候群(MERS)の流行初期における検査体制が遅れたことから被害が広がった教訓を受け、PCR検査体制を整備しており、現在新型コロナに対して約100カ所の検査所で1日10000人以上を検査している。

2日までに11万件の検査を行い陽性は4335人となっている。

これは「検査能力4000件弱」と言いつつも、1日1000件程度の検査しかしておらず、検査を希望し、医師もその必要を認めた人も検査できない日本とは雲泥の差である。

しかも韓国はドライブスルーの検査所を設置して、感染防止に努めるなど検査体制は日本をはるかに凌ぐものである。

 日本でも民間の大きな病院でPCR検査は可能であると言われている。

しかし、検査を行うために種々の条件を設け、検査をやるべきか否かの判断を保健所が行うという制度としたため、診療した医師が必要と判断する人の検査もできない状況であった。

今週になり保険が適用されるよう制度を改め、医師から直接民間の検査機関に依頼できるようになるようであるが、検査を行う基準として、37.5度以上の熱が4日間続くなどの症状が見られることなどの条件を定めている。

検査を全ての人に開放すると殺到して収拾がつかなくなるためとしているが、そもそも医師の判断で必要と認められればすべて行うことが基本である。

韓国でできて日本でできないのはなぜなのか。多くの国民も納得がいくまい。

 そこである疑念が浮かんでくる。

これまでは国民に保健所を通すことを求め、その処理能力をフル活用していなかったせいで、新型コロナの感染を一層拡大させたのではないか、という疑念だ。

仮に完璧な検査でなくとも陽性者を仕分けしていれば、これまで2次感染、3次感染を減らすことができたのではないかと思う。

初期対応の失敗は政治と行政の責任である。

国民に負担を強いるのであれば、まずは過去の失敗を認め、今後の協力を求めるのが筋であろう。

そうすれば国民ももっと納得して協力するのではないか。

韓国のように初動の失敗を他人に押し付けたり、言い訳に終始していたりすれば改善はないのである。

 韓国の検査体制が日本よりはるかに進んでいることは述べた。

しかし、その後の体制を見ればMERS対応をモデルとしているため、医療崩壊に近い状況を招いたのも事実である。

そもそも186人発生したMERSの規定に頼る韓国政府の防疫体制のため、感染者の多くが研修センターなどに隔離さえ、医療関係者たちによる集中的な管理やケアを受けられずにいる。

しかも大邱と慶尚北道に感染者が集中することを想定していなかったため、同地域では自宅待機しているうちに症状が悪化し死亡するケースが相次いでいる。

 医療体制の地域間格差は歴然だ。

大邱以外では感染症の院内感染を防ぐ陰圧室に軽症の患者に入ってもらっているが、この軽症の患者を大邱の重症患者と入れ替えることもできていない。

 日本も今後PCR検査を増やせば、感染者が大幅に増える可能性がある。早急に最も合理的な医療体制をどうするのか対策を構築しておくことが不可欠である。

韓国の初期対応の失敗は経済と防疫の二股をかけたため

 文在寅大統領は、2月13日に大企業のトップを招いた席で、「コロナは近く終息するだろう」と極めて楽観的観測を述べた。

終息宣言の4日後には、「一部のメディアが過度に恐怖や不安を大きくして消費心理を極度に委縮させている」とメディアに批判の矛先を向け、さらに21日に消費業界関係者を招いた席で「防疫と経済の2匹の兎をどちらもとらえなければならない」として「ツートラック」戦略を改めて強調した。

また、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は「外食産業(自営業者)を助ける気持ちで外部の食堂を利用してほしい」と述べた。

いずれも新型コロナウイルスの感染がここまで広がることを予測していなかったため出てきた発言であるが、初動操作が大きな誤りであったことは明らかである。

初期段階において新型コロナの脅威を正しく理解していた指導者は、いなかった思われるとので文大統領のみ責めることはできないが、危機的な状況となった今どのように対応するかが問われている。

 こうした事態となった以上、防疫を最優先させるべきである。

しかし文政権は相変わらず、集団感染を引き起こした新興宗教団体「新天地イエス教会」を批判するばかりだし、与党は「新天地と保守系政党が結びついている」との政治的プロパガンダの宣伝に一生懸命という有様だ。

 
さらに文大統領は3月1日の3・1運動記念式典において新型コロナウイルス撲滅のための南北協力に言及した。

しかし誰の目にも明らかなように、今は韓国における撲滅に徹底すべきときだ。南北関係を云々している時ではない。

文政権は何事につけても、関係改善が見込まれない南北を持ち出し、より優先して取り組むべき問題を疎かにする癖が抜け

これに比べて安倍政権は新型コロナ撲滅を最優先して取り組む姿勢を示している点は評価できよう。

ただ、初動操作の失敗の大きな原因が、

厚生労働省の説明を鵜呑みにし、十分な検査体制を取らなかったこと、

クルーズ船の乗客を船内に閉じ込め、防疫に失敗したこと、

習近平国家主席の訪日が念頭にあったのか、

初期段階から中国全体を入国規制しなかったことなど多岐に亘っており、

その反省の上に立ってより効果的な対策を打ち出せるかにかかっている。

 中途半端な対応では問題をこじらせることになることは韓国の例を見てもわかる。

新型コロナ撲滅のためあらゆる手段をとるとの方針に切り替えたのなら、言い訳に終始したり、独善に陥ることなく、専門家の治験を十分検討し政治指導力を如何なく発揮してもらいたいと思う。