勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「信用危機」新型コロナウイルス禍、自営業は借入金急増「負担の限界」
2020年03月05日
韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評
.
自営業の損益構造は、これまで最低賃金の大幅引上げによって大きく毀損を受けている。
その上に、今回の新型コロナウイルスの大混乱で売上が急減し、借入金返済が困難になっている。
連鎖倒産による信用危機が懸念される事態を迎えた。
『韓国経済新聞』(3月5日付)は、「韓国の自営業者負債27兆ウォン急増、過去最大、新型肺炎で貸付不良懸念拡大」と題する記事を掲載した。
過去最大幅の増加だ。
零細自営業者の事業所得が減り借金で持ち堪えているという分析が出ている。
新型コロナウイルスによる肺炎の衝撃が拡大し、自営業者の環境はより一層厳しくなっている。
(1)「韓国銀行が4日に発表した「2019年10-12月期の預金取扱機関産業別貸付金」を見ると、昨年末の預金取扱機関の卸小売・宿泊・飲食店業種への貸付金は226兆7619億ウォンで前年末に比べて13.3%(26兆5895億ウォン)増えた。
昨年の増加率は関連集計を取り始めた2008年以降で最も高かった。これら業種の貸付金増加率は同じ期間の全産業貸付増加率を大きく上回る。
全産業貸付金は昨年末1207兆8000億ウォンで前年に比べ7.7%増えた。
卸小売・宿泊・飲食店業種にはロッテショッピング、ホテル新羅、イーマートなど大手流通企業も含まれるが、これら大企業は主に金利が相対的に低い社債で資金を調達する。
預金取扱機関から資金を調達する事業者の相当数は中小企業と零細自営業者と推定される」
昨年末、預金取扱機関の卸小売・宿泊・飲食店業種への貸付金は、前年末に比べて13.3%増となった。全業種増加幅の7.7%に比べて、突出した増加率である。
ここには、大企業は含まれていない。個人の自営業が借入れたものである。
自営業の突出した増加率は、営業不振である。
原因は、最低賃金の大幅引上げによる経営圧迫だ。そこへ新たな圧迫要因として、新型コロナウイルス禍による混乱が加わった。万事休すである。
(2)「卸小売・宿泊・飲食店業種の貸付増加率は2015~2017年には7%台にとどまっていた。
だが最低賃金が急激に上がった2018年に10.7%、昨年が13.3%と大きく増えた。
自営業者が貯蓄銀行、相互金融をはじめとする「第2金融圏」の貸付に集まる傾向も目立っている。
卸小売・宿泊・飲食店業種の第2金融圏からの貸付は昨年末63兆3883億ウォンで前年同期比30%増えた。
自営業者の負債がこのように増えたのは所得が減って不足した資金を借入で埋め合わせたためだ」
卸小売・宿泊・飲食店業種の貸付増加率は、次のような推移をしている。
2015~17年 7%台の増加率
2018年 10.7%増(最低賃金の大幅引上げ)
2019年 13.3%増( 〃 )
このデータによって、文政権の失政が自営業の借入増加をもたらしたと言える。
(3)「急激に増える自営業者の負債が韓国経済の「不良の信管」として急浮上したという評価が出ている。
年間所得3000万ウォン(約270万円)を下回る低所得自営業者の延滞率が上昇している点がこれを裏付ける。
低所得自営業者のうち90日以上貸付金を返済できていない長期延滞者の割合は2018年末の1%台から昨年9月末には2.2%に増えた。
韓国銀行は昨年12月に国会に提出した金融安定報告書で「低所得自営業者は業況不振に耐える余力が不足している。
景気が鈍化すれば貸付健全性が急速に悪化しかねない」とした」
年間所得約270万円以下の低所得自営業者は、延滞率が上昇している。
270万円と言えば、日本では厚生年金相当額であろう。
この金額以下の自営業の人たちが、最低賃金の大幅引上げの犠牲になっている。なんともやりきれない話だ。
(4)「新型肺炎にともなう消費急冷の余波で自営業者の貸付不良懸念はさらに大きくなっている。
観光客が減って消費が萎縮し、自営業者の体感景気はますます悪化している。
韓国銀行によると今月の自営業者の家計収入見通し消費者動向指数(CSI)は前月より8ポイント下落の87となった。金融危機直後の2009年3月に記録した79以降で最も低い」
下線をつけたように、3月の自営業者の家計収入見込みは、前月比8ポイントも悪化している。
新型コロナウイルス禍によるものだ。4月以降は、さらに悪化するだろう。借入金返済が滞ることは不可避である。
信用機構の「信管」に火がつきそうな状況になってきた。
国家破産の恐れ
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「信用危機」新型コロナウイルス禍、自営業は借入金急増「負担の限界」
2020年03月05日
韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評
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自営業の損益構造は、これまで最低賃金の大幅引上げによって大きく毀損を受けている。
その上に、今回の新型コロナウイルスの大混乱で売上が急減し、借入金返済が困難になっている。
連鎖倒産による信用危機が懸念される事態を迎えた。
『韓国経済新聞』(3月5日付)は、「韓国の自営業者負債27兆ウォン急増、過去最大、新型肺炎で貸付不良懸念拡大」と題する記事を掲載した。
零細自営業者が集中する卸小売・宿泊・飲食店業種の借入金規模が昨年27兆ウォン近く(約2兆4300億円)増えたことがわかった。
過去最大幅の増加だ。
零細自営業者の事業所得が減り借金で持ち堪えているという分析が出ている。
新型コロナウイルスによる肺炎の衝撃が拡大し、自営業者の環境はより一層厳しくなっている。
(1)「韓国銀行が4日に発表した「2019年10-12月期の預金取扱機関産業別貸付金」を見ると、昨年末の預金取扱機関の卸小売・宿泊・飲食店業種への貸付金は226兆7619億ウォンで前年末に比べて13.3%(26兆5895億ウォン)増えた。
昨年の増加率は関連集計を取り始めた2008年以降で最も高かった。これら業種の貸付金増加率は同じ期間の全産業貸付増加率を大きく上回る。
全産業貸付金は昨年末1207兆8000億ウォンで前年に比べ7.7%増えた。
卸小売・宿泊・飲食店業種にはロッテショッピング、ホテル新羅、イーマートなど大手流通企業も含まれるが、これら大企業は主に金利が相対的に低い社債で資金を調達する。
預金取扱機関から資金を調達する事業者の相当数は中小企業と零細自営業者と推定される」
昨年末、預金取扱機関の卸小売・宿泊・飲食店業種への貸付金は、前年末に比べて13.3%増となった。全業種増加幅の7.7%に比べて、突出した増加率である。
ここには、大企業は含まれていない。個人の自営業が借入れたものである。
自営業の突出した増加率は、営業不振である。
原因は、最低賃金の大幅引上げによる経営圧迫だ。そこへ新たな圧迫要因として、新型コロナウイルス禍による混乱が加わった。万事休すである。
(2)「卸小売・宿泊・飲食店業種の貸付増加率は2015~2017年には7%台にとどまっていた。
だが最低賃金が急激に上がった2018年に10.7%、昨年が13.3%と大きく増えた。
自営業者が貯蓄銀行、相互金融をはじめとする「第2金融圏」の貸付に集まる傾向も目立っている。
卸小売・宿泊・飲食店業種の第2金融圏からの貸付は昨年末63兆3883億ウォンで前年同期比30%増えた。
自営業者の負債がこのように増えたのは所得が減って不足した資金を借入で埋め合わせたためだ」
卸小売・宿泊・飲食店業種の貸付増加率は、次のような推移をしている。
2015~17年 7%台の増加率
2018年 10.7%増(最低賃金の大幅引上げ)
2019年 13.3%増( 〃 )
このデータによって、文政権の失政が自営業の借入増加をもたらしたと言える。
(3)「急激に増える自営業者の負債が韓国経済の「不良の信管」として急浮上したという評価が出ている。
年間所得3000万ウォン(約270万円)を下回る低所得自営業者の延滞率が上昇している点がこれを裏付ける。
低所得自営業者のうち90日以上貸付金を返済できていない長期延滞者の割合は2018年末の1%台から昨年9月末には2.2%に増えた。
韓国銀行は昨年12月に国会に提出した金融安定報告書で「低所得自営業者は業況不振に耐える余力が不足している。
景気が鈍化すれば貸付健全性が急速に悪化しかねない」とした」
年間所得約270万円以下の低所得自営業者は、延滞率が上昇している。
270万円と言えば、日本では厚生年金相当額であろう。
この金額以下の自営業の人たちが、最低賃金の大幅引上げの犠牲になっている。なんともやりきれない話だ。
(4)「新型肺炎にともなう消費急冷の余波で自営業者の貸付不良懸念はさらに大きくなっている。
観光客が減って消費が萎縮し、自営業者の体感景気はますます悪化している。
韓国銀行によると今月の自営業者の家計収入見通し消費者動向指数(CSI)は前月より8ポイント下落の87となった。金融危機直後の2009年3月に記録した79以降で最も低い」
下線をつけたように、3月の自営業者の家計収入見込みは、前月比8ポイントも悪化している。
新型コロナウイルス禍によるものだ。4月以降は、さらに悪化するだろう。借入金返済が滞ることは不可避である。
信用機構の「信管」に火がつきそうな状況になってきた。
国家破産の恐れ