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「 防衛力強化で首相は有言実行を 」

2021-07-01 18:02:23 | 日記
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2021.07.01 (木)

「 防衛力強化で首相は有言実行を 」

『週刊新潮』 2021年7月1日号
日本ルネッサンス 第956回

「防衛費、まさかの日韓逆転」と、日経新聞が6月21日付けで報じた。

防衛費でついに日本が韓国に抜かれてしまったのは多くの日本人にとっては衝撃であろう。

だが韓国に抜かれるのは当然だ。

なんといっても日本は四方の海に囲まれ、米国に甘え、太平の眠りを貪ってきたのだから。

韓国は人口5000万人、日本の半分以下、GDPは1.6兆ドル余、日本の5兆ドル余の3分の1以下だ。

だが、彼らは変わりゆく国際情勢の下で少なくとも努力をしている。日本を見返してやるという闘志もある。

他方、日本は1945年の敗戦以来反省ばかりしてきた。

反省漬けで呆けてしまい、日本以外の一切の国、つまり国際社会をほめあげて、その後は考えない。

憲法9条も前文も駄文にすぎない。なのに「平和憲法」を口角泡を飛ばして擁護し、改正論を叩く。

この左の人たちを含めて日本全体がいま発想を大転換するときだ。

世界の大潮流ががらりと変化しているからだ。

菅義偉首相は6月13日、初参加の先進7か国首脳会議(G7サミット)後の記者会見で、「国際秩序をリードしたい」と語った。

バイデン米大統領との首脳会談では世界に向けてこう語った。

「私から、日本の防衛力強化への決意を述べ」、「台湾海峡の平和と安定の重要性について、今回改めて確認しました」

「この声明は、今後の日米同盟の羅針盤となる」と。

首脳会談の後、米国の有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)主催のオンラインセミナーの講演では、中国を名指しして、一方的な現状変更の試みを継続中だとし、「私は、主権に関する事項、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値について、譲歩する考えはありません」と断固たる決意をみせた。

そしてこうも明言してみせた。

「日米同盟を更なる高みに引き上げていく。これは私の重要な責務である」

一連の菅首相の決意表明は実に画期的だった。

そのとおりに実行すれば、日本は大転換を遂げ、自立したまともな国になる。

首相は戦後体制の負の遺産を払拭した大宰相として名を残すだろう。

政治家冥利に尽きる

首相の決意を後押しするのがバイデン氏である。

バイデン氏はG7サミットに先立って英国首相ジョンソン氏と会談し、「新大西洋憲章」を発表した。

この新大西洋憲章の重要性を戦略論の大家、田久保忠衛氏も指摘した。

80年前の1941年8月、米英両国を代表してフランクリン・ルーズベルト大統領とウィンストン・チャーチル首相が大西洋上で会談し、大西洋憲章を発表した。

同憲章は「両国ハ領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス」に始まる第1条から、

「『ナチ』ノ暴虐ノ最終的破壊ノ後」、米英両国は全ての国の国民に対し、自国内で安全に暮らせるよう平和を確立するとした第6条、

「両国ハ一層広汎ニシテ永久的ナル一般的安全保障制度ノ確立ニ至ル迄ハ斯ル国ノ武装解除ハ不可欠ノモノナリト信ス」とした最後の条文まで、8項目にわたる。

必ず武装解除すべき「斯ル国」とは、独伊日だった。

日米戦争はまだ始まっていなかったために、「日本」の名前は登場しないが、41年8月時点では、米英両国はアジアの雄であった日本を許容できない敵国と位置づけ、完膚なきまでに叩きのめすと決意していた。

それから80年が過ぎて、米英両国が新たな大西洋憲章を打ち出した。

80年前と同じく民主主義の価値観に基づいた公正な世界の実現を目指している。

80年前と異なるのは、敵と見做す対象国が日独伊から中国に変わったことだ。

80年という長い時間が過ぎて、陣営が入れ変わったのである。

かつての大西洋憲章の精神は第二次世界大戦後の秩序作りの基本となった。

国際連合、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、北大西洋条約機構(NATO)などが生まれた。

これら国際秩序の基盤となった価値観、それを体現する国際機関を根本から突き崩そうとしているのが中国だ。

だからこそ米英は明確に中国をはじめとする権威主義の国々、一党独裁のファシスト国家を自陣営の対立軸としてとらえ、闘おうとしている。

かつて敵として叩きのめされた日本は、今や『米英vs中国』の対立の構図で米英側の主要な味方勢力として位置づけられた。

米国にとって比類なく重要な欧州におけるパートナーが『特別な関係』の英国であり、アジアにおけるパートナーが同盟国である日本になったのだ

この新大西洋憲章の精神の下で、全体主義勢力に対抗して新たな国際秩序作りが始まろうとしている。

その中核を担う役が日本と菅首相に回ってきた。

この局面で日本のみならず、世界に対して大きな責任を担えることは政治家冥利に尽きるはずだ。

卑怯な精神

日本は地政学上計りしれない重みをもっている。

日本の経済力も軍事力も他国が代替できるものではない。日本の強みがここにある。

それを日本人自身、とりわけ菅首相がはっきりと認識できれば、強みを日本とアジアの為に活用できる。

そのことは、日本を悪と見做してひたすら大人しくし続け、中国のジェノサイドにさえ一言も言えない卑怯な現行憲法の精神から脱却するということでもある。

首相は「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、事実上、台湾の平和と安定を守ると誓約した。

日本の防衛力の強化も公約した。

だが、台湾もわが国の尖閣諸島も中国の脅威の前で風前の灯だ。

防衛費の顕著な増額は国際誓約であると同時に、実は何よりも日本再生のために必要な切実極まる重要事なのだ。

「日本の海軍力はすでに中国との比較で回復不可能なところまで落ち込んだ。いま、根本的大改革を断行しなければ海上自衛隊は10年以内に中国海軍に永久に置き去りにされる」(中国海軍の分析における第一人者、トシ・ヨシハラ氏)。

だからこそ、守勢から攻勢への転換が、直ちに必要なのだ。第一歩として日本でしか通用しない専守防衛の概念を捨て去ることだ。

第二に、中国やロシアが配備した極超音速滑空ミサイルをきっかけに議論が始まった、敵基地攻撃能力の保有を決断することだ。

第三に、GDP比でわずか0.9%の日本の防衛費を、菅政権は恒久的にNATO諸国並みの2%に引き上げる努力を始めることだ。ちなみに韓国は2.7%である。

そしてその先に、大目標としての憲法改正をなし遂げるのが菅首相の歴史的使命であろう。

国際社会への首相の誓約を守ること、首相の有言実行が世界への貢献であり、日本の国益である。


中国の債務、GDP比300%超

2021-07-01 16:29:18 | 日記

中国の債務、GDP比300%超 世界の債務総額の15%=国際金融協会

[18日 ロイター]

- 国際金融協会(IIF)によると、中国の企業・家計・政府の債務総額が今年第1・四半期に国内総生産(GDP)比303%に増加した。

前年同期は297%だった。

 

IIFは今週の報告書で「当局は(特に小規模企業向けの)シャドーバンキングを抑制しようとしており、非金融部門の企業債務は削減が進んでいるが、他のセクターの純借り入れにより、中国の債務総額は40兆ドルを超えた。

 

これは世界の債務総額の約15%に相当する」と指摘。

「注目すべきは、国内の債券発行動向から見て、今年は地方政府と銀行の借り入れが大幅に増えている」としている。

 

中国の第2・四半期のGDPは6.2%増と、少なくとも27年ぶりの低い伸びとなった。

政府は投資や雇用を促すため、銀行に対し、特に中小企業向けの融資を増やすよう呼びかけている。

財政省の発表によると、上半期の地方政府の純債券発行額は2兆1765億元(3165億ドル)に達した。

中国当局は、債務リスクは全体として管理可能だと繰り返し表明している。


人口減少社会韓国、労働者1人が1.5人の高齢者を養うようになる

2021-07-01 14:05:32 | 日記

2021年06月26日15:00

人口減少社会韓国、労働者1人が1.5人の高齢者を養うようになる

カテゴリ

韓国・北朝鮮

社会問題・環境など

 

韓国は高齢者がどんどん増え若者が減り、子供はいなくなった

画像引用:

1

「子供より高齢者の多い韓国」

…子供は、2世帯のうち1世帯が「親と暮らしていない」

 

│韓国社会・文化│wowKora(ワウコリア)

韓国の年金制度

 

日本の年金制度は制度としては破綻したが、日本政府が税金を投入することで機能している。

 

赤字の分は税金で補填しているという事で、今後も年金制度は維持されることになっている。

 

簡単な計算では日本人が平均寿命まで生きると、過去に支払った合計の2倍以上を受け取る事になる。

 

 

長生きをすればするほど得なので、国民年金に加入しない人は老後に不利益を受けるでしょう。

 

年金には別な意味もあり、障碍者になった時の障害年金は年金に加入していないと受給資格が無い。

 

実際には障害年金を受け取れなくても生活保護対象になればお金を貰えて医療費全額免除になる。

 

とはいえ年金による収入が月数万円だったとしても、数字以上に大きな意味を持っている。

 

韓国にも年金があるが日本より遅れて経済成長したため、まだ年金制度は充実しておらず将来も不確実です。

 

次期韓国年金学会会長の李昌洙(イ・チャンス)教授は最近、「韓国の国民年金は事実上の詐欺だ」と述べた。

 

韓国は数年前まで日本より出生率が高かったが、2020年は0.84で21年は0.7台が予想されている。

 

ぶっちぎりの世界最下位で1.0前後の台湾や人口減少している北朝鮮など、東アジアの低出生率が目立っている。

 

日本の人口減少は急激だったが韓国はもっと極端で、ある日突然人口減少社会になった。



高齢者1人に労働者1人以下になる

 

韓国は2020年に李氏朝鮮以来150年ぶりの人口減少になり、今後も長期減少が確実になっている。

 

すると老人の数が毎年増えて子供や若者の数が減り、あらゆる社会保障制度が赤字になります。

 

従来の計画では出生率1.24から1.38人で2065年に労働年齢1人が高齢者1人を扶養する事になっていた。

 

だが出生率1.0以下では老人1人に対して労働年齢が1人以下になってしまい、社会保障は不可能になる。

 

労働年齢の全員が働くわけでもないので、例えば労働者1人が1.5人の高齢者の費用を負担するようになる。

 

日本では現在国民の4人に1人が高齢者、2065年には国民の約2.6人に1人が65歳以上と予想されている。

 

日本の出生率は近年1.3台だが韓国は0.9以下、これが続けば韓国は相当ひどい状況になります。

 

李教授は出生率0.9台では2053年に基金が枯渇し、2057年の年金赤字は23兆円、2088年には1500兆円もの累積赤字になるとしている。

 

出生率1.0を下回った社会はこんな風になり、うかうかしていると日本もこうなる


世界中で次々明らかになる「中国製のコロナワクチンは役立たず」 更に安全性にも問題

2021-07-01 13:30:25 | 日記

世界中で次々明らかになる「中国製のコロナワクチンは役立たず」 更に安全性にも問題

2021年06月27日 05時57分 デイリー新潮

習近平国家主席

世界中で次々明らかになる「中国製のコロナワクチンは役立たず」 更に安全性にも問題

 

 中国政府は6月上旬「中国は既に全世界に3億5000万回分のワクチンを提供した」ことを明らかにした。

中国国内のワクチン開発企業は24時間フル稼働で生産に当たっており、ワクチン生産量は大幅に増加している。

中国は40カ国以上にワクチンを輸出しており、世界保健機関(WHO)も「一般的な冷蔵庫で保管できる」メリットに着目して中国製ワクチンについての緊急使用を承認した。

 ワクチン生産大国であるインドが自国の感染爆発のせいで海外への輸出を停止する中で中国製ワクチンの存在感が高まっているが、輸入国から「感染拡大防止の効果が疑わしい」との声が高まっている。

 まず最初に問題になったのはチリである。

チリはワクチン接種が最も進んでいた国の一つだったが、4月に入ると国内で感染が再び拡大し、チリ政府は6月10日、首都サンチャゴの全域にロックダウンを再導入すると発表した。

チリで接種されているワクチンの9割が中国のシノバック製ワクチンである。

 バーレーンでも同様の問題が起きている。

バーレーンは中国のシノファーム製ワクチンの接種率が極めて高いのにもかかわらず、感染者が急増している事態を受けて、ワクチンの2回接種を完了した人を対象に米ファイザー製ワクチンの追加接種を開始した。

 インドネシアでは中国製ワクチンを接種した医療関係者数百人が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになっている(6月18日付ロイター)。

 新型コロナワクチンの有効性に関する報告書の公表がこのところ相次いでいる。

 JPモルガン・アセット・マネジメントは11日「欧米製ワクチンを採用している国々(米国、英国、フランスなど9カ国)では人口の40%以上に接種した後、感染者が大幅に減少したのに対し、中国製ワクチンを採用している国々(9カ国)ではワクチン接種後に感染者が減少したのはハンガリーのみであり、特にバーレーン、モルデイブ、セイシェルでは感染拡大が深刻化している」との分析結果を公表した。

 オックスフォード大学も「世界で最も感染率の高い上位10カ国のうち、パラグアイを除く9カ国が中国製ワクチンを採用している」との調査結果をまとめている。

 フランス政府はワクチンを接種した入国者に対する緩和措置を発表したが、中国製ワクチンは対象外となったことから、在仏中国大使館はフランスに対して「同等の制裁」を行うと抗議した。

 韓国政府もワクチンを接種した入国者に対する緩和措置を公表したが、欧米製ワクチンに加えて中国製ワクチンも対象とした。

これについて中国政府は歓迎の意を表したものの、韓国国内では「再び感染が拡大する」との不安が広がっている。

 中国国内に目を転じると、自国製ワクチンの接種が猛烈な勢いで進んでいる。

1日平均のワクチン接種回数は2000万回以上であり、人口の40%以上がワクチンを1回以上接種した。

総接種回数も10億回に到達し、世界全体の接種回数である25億回の4割近くを占めている。

 ワクチン接種が進むにつれて、マスク着用や社会的距離確保の方針が緩和されている欧米諸国とは対照的に、中国国内の移動制限措置などはいまだに厳格なままである。

最近も広東省でインド由来の変異株(デルタ)の感染者が発見されると、大規模なPCR検査が実施されるなどの強硬な手段を講じられている状況を見るにつけ、「中国政府自身も自国製ワクチンの有効性を信じていないのではないか」と思いたくなる。

 中国の疾病対策当局も4月に

「中国製ワクチンの効果は小さい」との見方を示していた。その直後にこの発言は撤回されたが、中国当局もバーレーンのようにファイザー製などのワクチンの追加接種を検討しているようである。

 ファイザー製などのワクチンの有効率が90%以上であるのに対し、中国製ワクチンの有効率が50%程度(WHOが定めた最低水準)と低い原因はその製造方法にある。

 中国企業が開発したワクチンは不活化ワクチンである。

熱やアンモニアなどで不活化した(殺した)ウイルスを体内に投与して抗体をつくるという従来の製造方法である。

この方法はインフルエンザワクチンなどで使われているが、インフルエンザウイルスに比べて増殖の速度が遅い新型コロナウイルスでは体内で抗体ができにくい。

このためワクチンの有効性が低いとの判断から、欧米のワクチンメーカーはこのやり方を採用しなかった。

現在の状況にかんがみるとその予測が正しかったと言えるだろう。

 中国製ワクチンの問題は有効性の低さにとどまらない。

中長期的なスパンで見た安全性についての疑義もある。

筆者が懸念しているのはADE(抗体依存性感染増強現象)である。

ワクチン接種によってつくられた抗体がウイルスの細胞への侵入を防ぐのではなく、逆に細胞への侵入を助長する現象のことである。

大阪大学の研究チームが最近、新型コロナウイルス感染者の体内に「感染増強抗体」がつくられていたことを突き止めていることから、ADEに対する懸念が深まっている。

 ファイザー製などのワクチンでもこのリスクはあるが、不活化ワクチンについては新型コロナウイルスと遺伝情報が類似しているSARSウイルスのワクチンを研究している際にADEが生じ、その開発が断念されたという経緯がある。

 中国製ワクチンは感染防止に役立たないばかりか、ADEのリスクが高まる危険な代物かもしれないのである。中国政府は一刻も早くワクチンの有効性や安全性に関する情報公開を行うべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮取材班編集

2021年6月27日 掲載


「金融危機がやって来る」と叫ぶ韓国銀行 年内利上げを予告、バブル退治も時すでに遅い?

2021-07-01 11:32:27 | 日記

「金融危機がやって来る」と叫ぶ韓国銀行 年内利上げを予告、バブル退治も時すでに遅い?

6/29(火) 15:31配信

 

 

 韓国でバブル崩壊の可能性が高まる。

必死で阻止に動く中央銀行と、見て見ぬふりの政界を韓国観察者の鈴置高史氏が解説する。  ***

カネを借りて投機するな

鈴置:韓国の中央銀行である韓国銀行が、声をからして国民に「借金までして投機するのはやめろ」と呼びかけています。

韓国は今、株価も不動産価格もうなぎ登り。完全なバブル経済です。

 ところが、世界は新型コロナが終息に向かい始めた。

景気回復とともにインフレ懸念が現実のものとなりました。

各国は利上げに動かざるを得ません。

バブル崩壊の可能性が極めて濃くなったのです。 ――世界中が利上げに動くのに、警告を発したのは韓国の中央銀行ぐらい。なぜでしょうか? 

鈴置:まず、韓国では株価や不動産価格の上昇が半端ではないからです。

2021年5月末のKOSPI(韓国総合株価指数)は2019年末と比べ47・6%上がりました。

同じ期間のNYダウの上昇率は21・0%、日経平均ですと22・0%ですから、韓国の株価がいかに急上昇しているかが分かります。

 KB国民銀行の調査によると、韓国全土のマンション価格も同期間に18・3%上がっています。

「ソウルに限れば、100平方メートルのマンション価格は2021年5月までの4年間で93%上がった」と市民団体、経済正義実践市民連合が報告しています。

文在寅の失政が投機呼ぶ

金融脆弱性指数(FVI: Financial Vulnerability Index)

 

 韓国でこんなに激しいバブルが発生したのは、2017年5月にスタートした文在寅(ムン・ジェイン)政権の不動産政策の失敗が原因です。

 韓国銀行の調査によると、一定の住宅を何年分の所得で買えるかを示す「住宅価格対所得倍率(PIR)」は2021年第1四半期に17・4倍。

前年同期の13・9倍と比べ急上昇しました。

 政府の稚拙な対策により不動産価格の暴騰を目のあたりにした韓国人、ことに20―30歳代の人々は「真面目に働くだけでは一生家を持てない」と絶望。借金して株式・不動産投機に乗り出したため、バブルがますます過熱したのです。

 そこに2020年、新型コロナが発生。

不況に陥らないよう、韓国も金融を大きく緩めた。

するとそのおカネが投機に使われ、さらに不動産や株価が押し上げられたのです。

 国民の借金も増え方も異常です。

2021年第1四半期末の家計債務額は前年同期に比べ9・5%も増加。

可処分所得に占める家計債務の比率も同時点で171・5%(推定値)と、1年間で11・4%ポイントも上がりました。

 そもそも韓国の家計債務は世界的に見ても高水準です。

国際金融協会(IIF)の調べでは、2020年3月末のGDPに対する家計債務額の比率は97・9%で主要国中1位。

4位の米国(75・6%)や9位の日本(57・2%)と比べ、大きく上回っているのです。

上げても地獄、上げなくても地獄

金融安全指数(FSI: Financial Stability Index)

 

――こんな状況下で金利を引き上げたら……。

鈴置:阿鼻叫喚です。実態以上につり上がっていた株価や不動産価格が暴落する可能性が極めて高い。

借金して買っていた人は返済できなくなりますから、銀行の経営がおかしくなります。

 すると、銀行がおカネを貸す機能がマヒしますので、実体経済も悪化します。

 

借金が返せなくなった個人も財布のヒモを絞めますから、消費減少という経路を通じても実体経済は冷え込みます。

 こうした金融危機は通貨危機を呼びがちです。

外貨を借り入れる窓口は韓国の民間銀行であることが多い。

その経営が怪しいとなれば、外国の金融機関はドルを貸し渋るようになるのです。

――金利を上げなければ……。

鈴置:韓国が上げなくとも米国をはじめとする世界が上げるのは確実です。

ウォンの金利よりもドル金利の方が高くなれば、投資家はウォンをドルに替えたくなります

資本逃避が始まるでしょう。

韓国経済は絶体絶命なのです。

 韓国もインフレ局面に突入しました。

原油価格の高騰を受け、今年5月の生産者物価は前年同月比6・4%も急騰。

9年9カ月ぶりの上昇幅です。

同月の消費者物価の上昇率も同2・6%で、9年1カ月ぶりの高水準でした。

「年内利上げ」とまで予告

 

――韓国経済が生き残る道はないのですか? 

鈴置:1つあります。

バブルが破裂する前に、軟着陸させるのです。

容易ではありませんが、それしか手はない。

だから韓銀が死に物狂いになって「投機をやめろ」と叫んでいるわけです。

 今年1月5日、金融界の賀詞交換会で李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁は洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官とともに、バブル崩壊の可能性に言及しました。

おめでたい席での異例の発言でした。

 李柱烈総裁は「流動性供給と返済猶予措置により潜在化していたリスクが今年は現実化すると予想される。

 

 新型コロナによる景気沈滞を防ぐため、韓国の通貨当局は金融を緩和したうえ、手形の決済期限を延期した。

「そのツケが一気に回って来て、株価が暴落する可能性が高いから早く売れ」と警戒警報を出したのです。

 というのに、韓国証券市場では個人投資家が買い進み、2日後の1月7日にKOSPIは史上初めて3000の大台に乗せ、その後も上げ続けました。

 李柱烈総裁は業を煮やしたと思われます。

中銀総裁としては禁じ手に近いのでしょうが「利上げ」を示唆することで、投機をやめさせようとしました。

 5月27日の記者懇談会、6月11日の韓銀創設71周年記念演説、6月24日の物価安定に関する説明会と、1か月のうちに3回も総裁自らが「利上げ」を予告したのです。

特に6月24日には「年内の適切な時点で、緩和的な金融政策を正常化する」と述べ、利上げの時期を「年内」と明示しました。

「半年後に危機」と予報

――本当に利上げしたらバブルが崩壊してしまうのでは? 

鈴置:「今のうちに崩壊させなければ傷はますます深くなる」との判断でしょう。

利上げは確かに劇薬ですが、バブルを放置して取り返しのつかない悲劇が到来するよりはいい。

 6月22日には「新兵器」も繰り出しました。

韓銀は半年ごとに発行する「金融安定報告書」の2021年上半期版をこの日に公表しました。

 この報告書は当然、投機の危険性を訴えましたが、新たに作成した「金融脆弱性指数(FVI: Financial Vulnerability Index)」を盛り込んだのがミソでした(4ページと107ページ)。

 株価や不動産といった資産価格の過度の上昇、信用の過多な供与による金融の不均衡、対内外の衝撃を吸収しうる金融機関の復元力を指数化したもので、潜在的な金融リスクを分析します。

 FVIは数値が大きいほどリスクが高い。

韓国がIMF(国際通貨基金)に救済を申請した1997年秋の通貨危機の半年前――同年第2四半期がピークで、これが100となるよう設定してあります。

 直近の2021年第1四半期は58・9。「コロナ前」の2019年第4四半期の41・9から跳ね上がっています。

このグラフの中では2008年第2四半期の73・6が最高値。約半年後に、世界同時金融危機に突入しています。

――不気味なグラフですね。 鈴置:過去の例から見て、FVIは4カ月から半年先を見通すようです。韓銀はこのデータからも、今年秋口には危機水域に進入すると危機感を強めているのです。

 韓銀は2011年から「金融安全指数(FSI: Financial Stability Index)」を公表してきました(3ページ)。

これも金融危機の警戒システムですが、今年5月時点ではリスクは低いままで「注意段階(8)」以下に留まっています。

 2008年の金融危機や2020年4月の「ミニ危機」の際には危機段階(22)を付き抜けています。

これらからすると、現実とほぼ同時に変化する指標です。韓銀は予測ツールとしては、FSIはやや頼りないと考え、FVIを導入したのです。

屈辱の通貨危機を思い出せ

――さすがにメディアは反応した……。

鈴置:FVIという一目で分かる指標のせいか、ほとんどの新聞が社説で取り上げました。

中央日報の「韓国、大きくなる家計負債の警告音…

韓国銀行『このままでは2.2%のマイナス成長も』」(6月23日、日本語版)はFVIを紹介したうえ、「世界同時金融危機のような衝撃が発生すれば、韓国の成長率はマイナス2・2%まで落ちると韓銀は分析した」と警告を発しました。

 韓国経済新聞は「韓銀、家計負債・資産バブルを警告…ばらまき政策は節制せよ」(6月22日、韓国語版)で「負債急増により、昨年は営業利益で利子も支払えない企業が39・7%に達した」と指摘、金融緩和措置を段階的に是正するよう求めました。

 東亜日報は「不動産・株式バブル、外貨危機直前の水準と言う韓銀の警告」(6月23日、韓国語版)と、韓国人のトラウマである1997年の通貨危機を見出しにとりました。

「あの屈辱を繰り返すな」と訴えたのです。

 政府系紙のハンギョレも「金利引き上げ前に『不動産価格下落』を警告した韓国銀行」(6月23日、韓国語版)で「危機が拡大しないよう政府と韓銀が上手に管理せねばならぬが、家計も状況を冷静に見て、資産買い入れに慎重にならねばならない」と主張しました。

 もっとも、ハンギョレの論調は「上から目線の説教」と反発を呼ぶかもしれません。

韓国人が投機に走るのは文在寅政権の不動産政策の大失敗により、手を拱いていれば相対的に貧しくなるからです。

 中央日報のチェ・サンヨン論説委員が書いた「【時視各革】庶民政府と誤解するところだった=韓国」(6月25日、日本語版)はそこを突きました。

 国民は政府に対する信頼を完全になくした。

政府高官が「不動産価格が下がるぞ」と警告すれば、「まだ上がるな」と考えるようになった、というのです。

「油断大敵」にも馬耳東風

――韓銀の警告は効き目がありましたか? 

鈴置:少なくとも株価にはありませんでした。

「金融安定報告書」が発表されても上がり続け、6月25日、KOSPIは史上初めて3300の大台に乗せました。

――「通貨危機」と脅されても、株を買うのですか。

鈴置:韓国人に限らず、投資家とは「自分だけは最高値で売り抜けられる」と信じている人達なのでしょう。

それに「韓国経済は1997年のように脆弱ではない」と多くの韓国人が考えています。

 当時、39億ドルにまで細った外貨準備も、今年5月末には4500億ドルを超えました。

経常収支も黒字基調が定着しました。

銀行も企業への異様な貸し込みはやめており、金融システムの安定性は飛躍的に増したと見られています。

 韓銀も韓国人の「油断」は分かっています。

今回の「金融安定報告書」は「銀行の資産健全性と収益率は良好である」(3ページ)、

「短期外債は増加傾向にあるが、外債健全性の側面ではまだ憂慮すべき状況ではない」(11ページ)としつつも「不動産価格を中心とした資産価格の急速な上昇が起きている」(3ページ)と指摘し、これが経済破たんの端緒になりうると警告しています。

「以前に沈没した際の船底の穴をふさいだ」と安心するな。別の場所に穴が開けばやはり沈没するのだ、との論理です。

 外貨準備もそうです。

韓国紙は年中、「巨額の外準」を誇りますが、韓国人が自分の国への信頼を失ってウォンを売り始めたらひとたまりもない。

1997年とは異なり、今は為替取引は完全に自由化されています。

 韓銀もその危うさは強く意識していて、今回の「金融安定報告書」でも外国人の対韓投資だけでなく、居住者の対外債券投資の動向にも目配りしています

人口ボーナスの終わり

 実は今、1997年にはなかった「大穴」も発生しています。

働き手の減少です。韓国は2016年をピークに生産年齢(15―64歳)の人口が減り始めました。

 亜細亜大学の大泉啓一郎教授が日本総研の上席主任研究員だった2016年に書いた「韓国の人口ボーナスは終わったか?」によると、生産年齢人口が全人口に占める比率がピークに達したのは2013年でした。

 生産年齢人口のピークアウトは国の生産力の低下を意味しますが、問題がもう一つあります。

生産年齢人口の比率が上がる局面では貯蓄率が高まるため、バブルが発生しやすくなるのです。

 先ほど「不動産価格高騰は文在寅の失政のせい」と申し上げましたが、人口論的にもバブルが生まれやすくなっていたのです。

文在寅政権は生産年齢人口が減り始めた2017年にスタートしています。

 バブルが発生すると、普通は金利を上げて対応します。

ただし、生産年齢人口が減る局面で利上げすると、貯蓄率の減少と合わさって、予期した以上に大きな金融収縮が起きる。

まさに、1990年代初めの日本のバブル崩壊がそれでした。

――韓国銀行も指摘しているのですか? 

鈴置:今回の「金融安定報告書」では人口論には言及していません。韓国紙の東京特派員を経験した記者が「日本のバブル崩壊の轍を踏むな。安易な利上げは危険だ」と書くことはありますが。

韓国の危機は米国のチャンス

 韓銀も韓国紙も触れない「前轍」があります。

1997年の通貨危機は米韓関係悪化という政治的な要因が最後の一撃となったことです。

アジア通貨危機の余波で韓国がドル不足に陥った際、米国はドルを貸さず、日本にも「貸すな」と命じたのです。

 韓国は中国と国交を結んだばかり。

当時の金泳三(キム・ヨンサム)政権が中国に米軍の情報を横流ししていると米国は考え、お仕置きの機会を待っていました(『米韓同盟消滅』第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

 現在も米韓関係は恐ろしく悪い。

文在寅政権の反米ぶりに嫌気した米国は、韓国人に向かって

「2022年3月の大統領選挙で再び反米左翼政権を選んだら、承知しないぞ」とのメッセージを送ろうとしていたところです(「菅首相に粘着する文在寅 “蚊帳の中”にもぐりこみたい韓国、『左派政権駆除』に動く日米」参照)。

 文在寅政権の韓国が金融危機に陥れば、願ってもいないチャンスです。

韓国がドルを欲しがっても融通しなければ「反米政権を選んだからこうなった」と韓国人に思い知らせることができます。

 今回は、米国に言われなくとも日本は韓国にドルを貸さないでしょう。

日韓関係は最悪。

それに韓国は食い逃げの天才であることが分かったからです。

 2011年10月、欧州危機の余波でウォンが売られた際に日本は韓国との通貨スワップの増額に応じました。

それにより危機を脱した李明博(イ・ミョンバク)大統領は10か月後の2012年8月10日、竹島に上陸しました。

今後、韓国とのスワップに応じる政権はまず、出てこないと思います。

 

スワップは両刃の剣

――米国は韓国とスワップを結んでいます。

鈴置:米韓の間で結ばれているのは為替スワップで、期限は今年末。

米国はこれを韓国に対する攻撃兵器にも使えるのです。

為替スワップは外貨不足に陥った韓国の民間銀行に米FRB(連邦準備理事会)がドルを貸し出す仕組みです。

その際は韓国銀行が保証します。

 韓国の民間銀行は主に米国と日本の銀行からドルを調達しています。

為替スワップを結んでおけば米国は民間部門の貸し倒れを心配せずに、韓国を金融危機に追い込むことができます。

 為替スワップを発動した後は、民間同士の債権債務関係がFRBと韓国銀行のそれに転換するわけで、米政府は韓国政府に債権者として振る舞うこともできるようになります。

 スワップは通貨危機への抑止効果もあるにはありますが、米韓関係が悪い状況下では韓国にとって全面的な福音とは言えないのです。

IMF危機再び

――文在寅政権は自らが置かれた状況を理解しているのでしょうか。

鈴置:人によると思います。金融に詳しい人なら「いつ危機が来るか」と不安に駆られていると思います。

外交の専門家は「米国が韓国の弱点を突いてくる可能性があるな」と考えるでしょう。

 しかし、与党はそんなことに目配りする余裕はなくなっている。

来年3月の大統領選挙に勝たねばならないと思い詰め、その一環として国民全員に慰労金を配る計画を進めているのです。

 先ほど引用した韓国経済新聞の社説「韓銀、家計負債・資産バブルを警告…ばらまき政策は節制せよ」は絶句しました。

金融危機を回避するため、韓銀がバブル崩壊のリスクを冒しても流動性を吸収しようとしている時に、またおカネをばらまくというのですから。最後の1文が以下です。

・日増しにはっきりとする危険信号から、いつまで目をそらすのか。

 1997年も同じでした。

春先にタイから始まった通貨危機がアジアを北上してくるというのに、与党も野党も年末の大統領選挙で頭がいっぱい。

有効な防衛策を一切打たぬまま、IMFに救われるまでウォンは売られ続けたのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 韓国観察者。

1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。 デイリー新潮取材班編集 2021年6月29日 掲載