日本と世界

世界の中の日本

深川由起子「日本と韓国の経済力について」

2022-11-01 18:30:34 | 日記
深川由起子「日本と韓国の経済力について」

2022年10月31日 (月)

早稲田大学 教授 深川由起子

近年、関係悪化の一方で、「日韓逆転」をイメージさせる経済データを目にします。

本日は韓国の経済的収斂は何を日本に突き付けているのか、考えてみたいと思います。

USニューズ&ワールド・レポート誌が発表する「最高の国」ランキングで日本は総合で2021年には2位でしたが、22年には6位となりました。

他方、韓国は総合では20位ですが、指導力、経済的影響力、輸出力、政治的影響力、同盟力、軍事力で構成される

「パワー」では6位で、日本の8位を上回りました。

このランキングは85か国程度を対象に1万5000名程度のインタビューで構成しており、主観性や印象論は免れません。

しかしこちらが示すように、「6つのパワー」のうち日本が韓国より上位にあるのは指導力と経済的影響力の2項目だけでした。

30年前には韓国のドル建て一人当たり国民所得は名目で日本の4分の1,物価を加味した実質でも半分以下でした。

しかし実質では2018年に「日韓逆転」が起き、その後は差が拡大しています。

22年には日本と争う通貨安ですが、名目での逆転は目前です。

実質平均賃金では日韓共にOECD平均を下回りますが、2014年に「逆転」が実現して以来、日韓の差は開く一方です。

韓国は中小企業やサービス業を中心に長時間労働が問題視されてきました。

それでも急速なデジタル化や、輸出型製造業の強い競争力などをバックに、時間当たりの労働生産性の伸びが日本を上回り、賃金上昇が続いてきました。

個々の統計には常に様々なバイアスが伴いますし、「国力」の全体像を示す統計が存在するものでもないでしょう。

短絡な議論、特に特定の数字を誇張した数字の政治利用には注意が必要です。

一つの点はフローとストックを示す数字ではその性格が大きく異なることです。

一人当たりの国民所得や賃金水準はフローですが、さまざまな資産や債務残高などストックから見れば別の風景が存在することもあります。

例えばスイスの銀行が発表する国富の比較では日本は2010年に世界第2位の座を中国に譲りましたが3位が定位置で、韓国は11位前後です。

金融資産だけでみれば、日本は韓国の7倍、特許資産もはるかに大きい規模です。

もう一つの点はナショナリズムを鼓舞したい政治家の意識と国民の生活実感には乖離があることです。

特に韓国は長らく日本に対するキャッチアップ国家だったため、日韓比較という物差しが社会に浸透し、「逆転」は感情に訴える面があります。

他方で、厳しい生活実感に基づく冷たい視線が存在するのも事実なのです。

所得格差を示すジニ係数では韓国は日本よりはわずかに所得格差が少ない状態です。

長らく成長優先主義が続き、社会福祉などの政策的修正がまだ少ないことを考えると、全体として極端な格差社会とは言えません。

しかしながら、韓国発の格差を描いたヒット映画でも描かれたように、不動産価格の高騰が長期にわたっているため、「資産格差」、「格差感」が強く存在します。

先ほどの一人当たり国民所得などを換算する場合、物価には通常、不動産価格が含まれない点に注意する必要があります。

不動産価格の高騰は韓国の人にとって、子女を留学させる

家庭とそうでない家庭の教育格差。

自宅購入が可能な若者とそうでない若者との結婚・出産格差、高齢者世帯の貧困、そして世界トップクラスの自殺率など様々な厳しい生活実感に直結しています。

不動産価格の上昇を前提に膨張した家計債務というストックも今やインフレ対策の金利上昇で家計を強く圧迫しています。

日韓経済の本質的な違いは対外依存度の大きさにあります。

先のランキングでは日本の輸出力は韓国に次いで世界3位でした。

しかし、製造業であれ、韓流のようなコンテンツであれ、最初から輸出を念頭に置く韓国と、国内市場の延長線上に輸出を考えてきた日本との間には大きな違いがあります。

「日韓逆転」の大部分はモノ、カネ、ヒト、それに技術や情報のグローバル化を迷いなくのみ込み、生き残りを図ろうとしてきた韓国と、縮む内需にしがみついてきた日本との間で生じました。

日本でもいわゆる「アベノミクス」以降、株価や不動産価格の持ち直し、インバウンド観光、それに食品やアニメなど一部のコンテンツの輸出といった数少ない成長源泉の多くは、グローバル化でしたが、それほど重視されてきませんでした。

一つは「速度」というものの重要性があります。

大企業を含め韓国は、同族経営者が多く、このためトップダウン型のスピード経営が可能と評されてきました。

しかし、四半世紀前の通貨危機以降は経営者たちにも集団訴訟に備えた年俸など思い切った意思決定が可能な待遇が整備されてきました。

そして意思決定を支える情報共有もデジタル化が進み、間接コストも徹底して削減されました。

輸出には自国とは異なる様々なリスクがあり、顧客の要望も変化します。

しかし、決断が早ければ、時間に余裕ができ、修正が可能になります。

またデジタル化には「使い勝手の良さ」があり、韓国の経営は進化するデジタル化にも支えられています。

もう一つの視点は「人的資本」の重視です。

韓国には自国には人的資源しかない、という思い込みがあります。

特に教育熱は、集団カンニングなど様々な事件につながることもありますが、教育というストック増大に取り組んできたことは「新しい資本主義」を掲げるわが国にとって示唆に富んでいます。

例えば日本人の海外留学者はコロナ前の2019年で6万人程度、これに対し、韓国は年間25万人近くを送り出します。

日本の人口は韓国の2.4倍ですから、日本の留学者はごくわずかということになります。

教育への負担の増大が世界最低水準の出生率につながる弊害は大きな矛盾ですが、いわゆるグローバル人材のストックが厚いことは産業競争力を支え、人材を送り出す大学の競争力向上にもつながります。

タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが公表した、世界大学ランキング2023年版でも、

日本の大学は200位内に2校だけですが、韓国は6校が入り、留学生の受け入れでも日本に先行しています。

現在では先端研究はいずれの国でも外国との協働が絶対不可欠で、学部やそれより早い段階から始まる留学は研究者や専門職の幅広い海外ネットワークとなり、国の発信力を支えます。

キャッチアップ国家として、韓国は日本の強みや弱みを研究してきました。

韓国への日本人留学生増加やコンテンツ、ファッションの流入など、日韓の交流は増しています。

他方で、「教える」側だった日本は少なくともフローで肩を並べた韓国とどう付き合うか、具体的、かつ戦略的に考えたことがあったのでしょうか。

日本は韓国が豊かになっていく過程で多大な貢献をしてきました。

自らの貢献が花開いた先の戦略を感情論が妨げるのは不幸なことです。

垂直から水平の関係へ、一方向から双方向の協力へ、成熟した交流への転換が必要なのかもしれません。



【韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化】レポート

2022-11-01 17:09:09 | 日記
【韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化】レポート
 2021.02.22

【韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化】
春木 育美 (著)

目次
  1. ○この本を一言で表すと?
  2. ○よかったところ、気になったところ
    1. 第1章 世界で突出する少子化
    2. 第2章 貧困化、孤立化、ひとりの時代の到来
    3. 第3章 デジタル先進国の明暗
    4. 第4章 国民総高学歴社会の憂鬱
    5. 第5章 韓国女性のいま
    6. 終章 絶望的な各社と社会

○この本を一言で表すと?

 韓国の社会を客観的に描いた本

○よかったところ、気になったところ

・韓国の社会がどのような社会であるか、数字をもとにした客観的事実を中心に述べられていて興味深かったです。
・帯に「隣国の苦悩は、日本の近未来だ」と書かれていましたが、過言ではないなと思いました。

日本でこうあるべきと考えられているような民主主義、特に民意が政治に反映されることや、デジタル化などの理想を実現すればこうなるという社会であるようにも思えました。

また、それがよいのかどうかを問いかけるような内容でもあるなと思いました。

第1章 世界で突出する少子化

少子高齢化の最先端を行く国は日本だと思っていましたが、韓国が日本を超えるペースで少子高齢化が進むことを初めて知りました。

出生率・未婚率の低下や晩婚化は既に日本より進んでいて、結婚・出産・育児へのネガティブなイメージも顕著だそうです。

1997年のアジア通貨危機から専業主婦志向が一変し、男性稼ぎ手モデルが成り立たなくなり、女性の社会進出が進んだことでそのようになっていったそうです。

・歴代政権の少子高齢化施策を見ると、日本よりも踏み込んで様々な政策が打ち出されていますが、効果はあまり見られないそうです。

2013年の保育無償化で供給が追いつかず、質の低下を招いたそうです。

2019年の日本の保育無償化は韓国の事例を考慮しておらず、同じ轍を踏みそうだなと思いました。

・国際結婚が結婚奨励策として勧められているそうで、韓国語教育プログラムなども充実しているそうです。

ただ、子供の教育費がすごく、特に早く授業が終わる小学生は習い事を詰め込むためにかなりの費用がかかるそうです。

第2章 

貧困化、孤立化、ひとりの時代の到来


韓国は高齢者の相対的貧困率が5割に迫り、OECD加盟国36カ国中トップで、OECD平均の3倍近いそうです。

一方で、GDPに対する社会保障支出比率は1割強でOECD平均の半分程度だそうです。

生活困難な高齢者が多いために高齢者の労働力が突出して高いそうです。

高齢者間の貧富の格差が拡大していてジニ係数は65歳以上で0.42、75歳以上で0.52になるそうです。

・子供や親族の扶養意識も低下していて、1998年には9割が老父母の扶養義務は子供にあると答えていたのが、2000年代後半以降は3割を切っているそうです。

財産相続や報酬の見返りを求めて「親孝行契約」を取り交わす家庭が増えたそうですが、それに反する子供に対する「親不孝訴訟」も増えたそうです。

・韓国の年金制度は国民年金の1階建てしかなく、公務員年金以外には税金が投入されていないそうです。

一方で、世界第3位の国民年金公団を通じて政府が財閥企業を中心に経済界に介入する傾向が強いそうです。

・高齢者の仕事づくりのために税金や制度を投入しているものの、質より量の拡大が目的となっていて低賃金短時間労働ばかりになっているそうです。

その中でも「老人宅配」が多いそうです。ごく一部はシルバー・ユーチューバーになって成功しているそうです。
・韓国の高齢者は孤独化も進んでいるため、「孤独ケア」事業が進められ、就業支援も孤独化への対策の一面があるそうです。

・ひとりごはんを意味する「ホンパプ」は、みじめで恥ずかしいと思われていた文化から、2010年代後半から急速に広がったそうです。

日本のテレビドラマ「孤独のグルメ」が大ヒットした影響もあるそうです。

・ひとりっ子家族が増え、単身世帯も増えたことから、一人でいることが当たり前になってきていて、ソロ・エコノミーが注目されているそうです。

通販でも人と接触しない置き配を求めるようになり、一人用の小型家電などの商品開発も進んでいるそうです。

第3章 デジタル先進国の明暗


・韓国ではアジア通貨危機以降、消費喚起と所得・消費の補足のため国策でクレジットカードの利用を推進し、一定以上の規模の店舗では扱わないと罰則もあるようにし、キャッシュレス化を進めていったそうです。

国税庁で過去1年間の買い物履歴を見ることができるほど政府と結びついているそうです。

最高額の紙幣が1万ウォン札だったために現金がかさばること、日本では1万円札という高額紙幣があるためにキャッシュレス化が進まないことなどは興味深いなと思いました。

キャッシュレス化の弊害として、2018年のソウルの通信最大手の通信ケーブルの火事が起きた時に通信回線が寸断され、カード決済ができなくなった時は大きな損失を被ったそうです。

韓国では住民登録番号制度が進み、電子政府としての機能も充実していることで、健康保険や行政サービスがスムーズに利用でき、情報も一元化できているそうです。

この分野では世界の最先端のシステムを兼ね備えているそうです。

利便性を優先していて、情報漏洩事件等も起きているものの、制度に反対する者はほとんどいないそうです。

・韓国では教育分野でも1997年からICT導入が進んでいるそうです。

ただ、問題の解決を探す能力は開発されても自分でものを考える能力は低下する傾向にあり、悩みどころだそうです。

NEIS(教育行政情報システム)が2002年に構築され、全国で運用されているそうですが、教員はNEISへの生徒のポートフォリオ入力に1日4時間以上かかっていて長時間労働に繋がっているそうです。

ICT導入が進んでいることから新型コロナウイルス下のオンライン授業対応はスムーズだったそうです。

第4章 国民総高学歴社会の憂鬱


・韓国は日本以上の高学歴社会で、大学院進学率は日本とは比べ物にならないほど高いそうです。

それでも就職率が低く、大卒新入社員の平均年齢が29.2歳だそうです。

また0.1%のエリートに集中投資する教育で英才教育期間を別途設置してエリート優遇の方針を採っているそうです。

韓国最高の教育施設であるKAIST(韓国科学技術院)では自殺者が多発するほどの重圧があるのだそうです。

・エリート校に入れたいという親の「教育虐待」とも言える圧力はすごく、その狂気を描いた「SKYキャッスル」というTVドラマが話題作になったそうです。

・英語教育を追求した政策、アメリカの大学のボーディングスクールを招聘する政策を実施していたらしいですが、あまり人が集まらずに挫折しているそうです。

また韓国に留学生誘致戦略も実施していているそうです。
・韓国では若者のアルバイトや就職を諦めたものを含む拡張失業率が20%とかなり厳しい状況で、打開する政策を打ち出しているもののうまくいっていないそうです。

大企業と中小企業の処遇格差が大きいこと、職業の地位の違いによる職業威信を重要視することが就職先の選り好みに繋がっているという要素も大きいそうです。

海外就職奨励策も打ち出しているものの、「ヘル朝鮮」と言われる元になっていてうまくいっていないようです。

第5章 韓国女性のいま


・「82年生まれ、キム・ジヨン」という韓国人女性の悲哀を描いた小説が大ヒットし、映画化されてから、「キム・ジヨン法」と呼ばれる男女差別廃止・格差是正の法律が次々と発議されたそうです。

・女性関連法案は1990年代から各政権で制定されていて、フェミニスト運動等も活発だそうですが、状況の改善には程遠いそうです。

ミソジニー(女性嫌悪)による無差別殺人なども起きていて、根深いなと思いました。

終章 絶望的な各社と社会


・「パラサイト―半地下の家族」という貧しい家族と裕福な家族の対比を描いた韓国映画があり、話題になったそうですが、韓国の若者の現実はそれ以上に厳しいと述べられていました。

若者を社会に包摂することが大変なことは、日本も笑っていられないとも述べられていて、たしかにそうだな
と思えました。



アメリカの永住権をゲットして「グアム暮らし」をはじめた家族が、渡米後に知った「意外な生活苦」

2022-11-01 16:32:11 | 日記
アメリカの永住権をゲットして「グアム暮らし」をはじめた家族が、渡米後に知った「意外な生活苦」

小松 康之 - 

筆者は、配偶者がアメリカのグリーンカード抽選プログラム(Diversity Visa Program)の抽選に当選したことをきっかけに、10月にグアムに移住しました。

移住し約1ヵ月が経とうとした今、実際に現地に住み始めて感じたこと、特に生活費に関することで感じたことを書いていきたいと思います。

筆者の家庭は、夫婦と子どもが一人の家庭です。


日本では首都圏の3DKのアパートに住んでいて、家賃を含む、食費、通信費、社会保険料は次のようなものでした。

・家賃 13 万円

・食費 7万円

・通信費 1万3万円

・社会保険料 3万円

 合計:24万3000円

これに光熱費や教育費、雑費などを合わせると、およそ33万円(内訳:水道光熱費:1万9万円、衣料費:1万円、教育費:3万円、雑費その他: 3万円)。

これが移住して大幅に変わります。

私たちのアメリカ生活は始まったばかりですが、いくつか決まっているものがあります。

例えば家賃。現在の借家はバスルームとベットルームが2つ付いた2LDKで、観光客が多く訪れるグアムのエリアにありますが、ここが1,370ドル(水道代70ドルを含む)です。


現在の換算レートで約20万円になります。

つまり、2022年1月1日現在の為替レート(1ドル=115,02円)で15万円が20万円と1.33倍くらいになっています。

この率で他のものも上がるとすると、31万円×1.33≒42万円くらいの生活費がかかるということになります。


これだけ費用が増えると、生活も苦しくなります。さらに、日本では考えられない費用が発生することもわかりました。

それが健康保険料です。

日本のサラリーマンの場合は、企業が折半し、健康保険料と厚生年金保険料を給与天引きの形で支払うので、その費用は月に数万円程度ですが、これをすべて個人で支払うことになります。

私たちの場合もグアム日本人会が提供している3人以上の家族向け保険に加入する予定で、これが月額1,191ドル、日本円にして約18万円もかかります。

「ポンド」買いは得か、損か?

移住後の日用雑貨や食料品なども、まず「高い」というのが最初の印象です。

米や日本の調味料はほとんど手に入りますが、円安やインフレの影響もあり、日本の食材に限らず1日で30%の値上がりなどがザラです。

例えば業務用スーパーの米の価格は、10月15日の段階で5キロで1,290円、一方グアムでは、カリフォルニア米が、円に換算して4.5キロで1486円(10月14日のレート、1ドル148.78円で換算)と少しだけ割高の感覚です。

ほか、野菜などは食べる分を小分けにして売られている日本とは違い、ポンドで売られているのがほとんどです。

大家族で暮らすのであれば大量の野菜は問題はなくとも、3人家族の我が家では、逆にフードロスに陥る可能性もあり、なかなか手が伸びません。

その中で比較的手が出しやすかったのがもやしです。

だた、これが非常に高く日本では1袋200グラムの値段が約20〜30円に対し、アメリカでは1ポンド(約450グラム)で、円に換算すると430円もします。

まだまだドルに慣れない生活のなかで、マーケットに行く際はレートで換算しながら、買い物をする日々ですが、同じ量で換算してもグアムの方が高いです。

ただ、肉の価格だけは日本とほぼ同じのように感じ 

商品の品質については、ここでは書きません。

なぜなら、グアムで販売しているものの多くは、アメリカ本土の西海岸からハワイを経由して船便で運ばれるものが大半であり、商品が到着するまでに、他のアメリカの各地域に比べ、多大な時間がかかるからです。

銀行口座の気になる利息

銀行の預金金利はどうでしょうか?

 ご存じの通り2022年に入り、FRBは何度も政策金利を引き上げており、その結果、今年初めに0~0.25%だった政策金利が、現在3~3.25%になっています。

筆者もグアムに来て3日目に、銀行口座を開設しました。

こちらでは、夫婦で1つの口座を持つことが一般的なのだそうで、私たちもそういう口座を開設しております。

預金の種類としては、Checking(当座預金)とSavings(普通預金)が、普段使う口座となり、前者が小切手決済用の口座、後者が日本で言う普通預金口座となります。

アメリカでは一般的に保険料の支払いなどは、小切手を決算手段に使われていることが多いと聞き、それが意外でした。

利息がつくのは後者ですが、ここの預金利息は0.02%しかありません。

日本の多くの銀行の普通預金金利が0.001%ですからこれに比べれば高いです。

しかし、日本でもauじぶん銀行などの一部のネット専業銀行では、いくつかの条件が達成されることを条件に、0.1%などといった金利を適用していますから、意外に低いと思います。

だから、アメリカ人は投資をするのかな、と思ってしまいました。

アメリカでも、預入額や取引内容によってはSavingsでも2%の預金利息がつく場合もあるようですが、一般人には手の届かないというのが現実でした。

ちなみに、アメリカに移住しても、日本の銀行口座を持ち続けるためには、主にメガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友の各銀行)に口座を保有していることを条件に、各銀行が提供しているサービスに加入することが必要です。

じつは、アメリカの永住権取得者は、居住区が日本にあろうが、アメリカにあろうが、税務上はアメリカの居住者であるという見方をされます。

米国の居住者の場合は税金逃れを防止するために制定された、外国口座コンプライアンス法(FATCA)というアメリカの法律に基づき、日本の金融機関がアメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)に情報を開示しなくてはなりません。

その情報開示を行える銀行が、これらメガバンクというわけです。

グアムの道路事情

アメリカの他の地域と同様にグアムも車社会で、公共交通機関はありません。

通称”赤いシャトルバス”という、観光スポットを巡るバスはありますが、現在は1日6便しかなく、生活に使うのも現実的ではありません。

なお、料金は、1回4ドルかかり、一日券だと10ドルで乗り放題となります。そのほかにも各種割引券があります。

グアムでは、まだまだ日本車が一番多く走っています。

特にトヨタ車は人気で、10年ものでも価格がつくそうです。レンタカー会社の社員のよれば、近年の中古車も不足した時期から、今も需給バランスはコロナ前に戻っていないそうです。

観光地を巡る赤いシャトルバス© 現代ビジネス

アメリカでは州によっては独自の車検制度が敷かれています。

基本的にグアムでは、1年に1回、車の点検をすることが義務付けられていますが、日本のそれとは方法が異なります。

ガソリンスタンドに併設されている車の修理場などで車検の受付をすれば、15分〜20分程度で車を見てもらえます。

その後、グアム準州政府の歳入・税務(Department of Revenue & Taxation)に行き、修理場でもらった記入用紙を申請すれば完了です。

近年はコロナ禍の影響もあり、申請手続きがオンラインのみとなっていました。

費用は車の点検におよそ15ドル、申請でも重量にかかわらず100ドル程度で済みます。

この金額で済むのは、アメリカのDIY文化があるからでしょう。

道路は、あちこち穴が空いていたり水たまりがあったりと、走るのが大変で車の故障も結構多いです。

日本のJAFのようなものはないので、パンクなどが起きた場合は、自分で直さなくてはいけません。

自分でひととおりの修理を行ってしまうのも、アメリカらしいと思います。

グアムでの暮らしはまだ始まったばかりですが、生活コストは実に跳ね上がりました。

現時点で分かっている費目内訳はこうです。(10月27日・1ドル=146.09円で換算)

・家賃 13万円→約20万円(1,370ドル)=約1.5倍

・食費 7万円→13万円(900ドル)=約2倍

・通信費 1.3万円→約3.8万円(260ドル)=約2.9倍

・健康保険料 3万円→約14.6万円(健康保険料・歯科に通院できないプラン、997ドル)=約4.8倍

合計:51万4000円

このほかにも、電気代などがかかります。

いったいどのくらいかかるのか、想像もつきません。


これだけの費用がかかる、そしてその割に商品やサービスの質が悪いアメリカで、どう収入を確保しながら暮らしていくか、これがこれからの課題になります。