ウォン割れ懸念 貿易赤字「止まらず」
2023年05月07日
- 韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評
韓国にとってウォン安は鬼門である。必ず、通貨危機という尾ひれがつくからだ。
過去二回、ウォン急落で通貨危機に陥ってきた前歴がある。
危機説到来のたびに、「日韓通貨スワップ協定」を持ち出してきた。
困ったときの「日本頼み」である。
喉元過ぎれば、「反日騒ぎ」に戻る。このパターンが、ずっと続いているのだ。
米国の利上げで、米韓金利差は1.5~1.75%ポイントに広がった。これは、ウォン安に作用する。
韓国では、こうして1ドル=1400ウォンも覚悟する必要があると警戒姿勢である。
『中央日報』(5月6日付)は、「韓国、過去にない金利差・貿易赤字 1ドル=1400ウォン台も覚悟すべき」と題する記事を掲載した。
韓米の金利逆転幅が過去最大となり、今後の為替レートの動きが注目されている。
韓国銀行(韓銀)は物価高に対応して踏んだ緊縮ペダルを景気不振懸念から米国より先に離したが、韓米間の金利差拡大による資金流出とウォン安ドル高が進む場合、韓銀がまた利上げカードを取り出すしかない状況を迎えることも考えられる。
ただ、景気不振懸念から韓銀は5月25日に政策金利を据え置くという見方が優勢だ。
(1)「金融界によると、韓国と米国の政策金利の差は1.5~1.75%ポイントに広がった。米連邦準備制度理事会(FRB)が3日の連邦公開市場委員会(FOMC)定例会議で政策金利を年5~5.25%に引き上げたからだ。
(1)「金融界によると、韓国と米国の政策金利の差は1.5~1.75%ポイントに広がった。米連邦準備制度理事会(FRB)が3日の連邦公開市場委員会(FOMC)定例会議で政策金利を年5~5.25%に引き上げたからだ。
韓国の政策金利は年3.5%である。最近、韓銀が2回連続で政策金利を据え置いた一方、米国は利上げを継続し、金利逆転幅が広がった。
過去にない韓米間の金利差のため、外国人資金の流出およびウォン安ドル高の懸念がまた強まっている」
米韓金利差は、1.5~1.75%ポイントと拡大している。韓国は、薄氷を踏む思いだ。ウォン安の危機と隣り合わせである。
(2)「すでに、韓国ウォンは不安定な動きを見せている。2日の外国為替市場では1ドル=1342.1ウォンで取引を終えた。
2月2日の今年の最高値(1ドル=1220.3ウォン)と比較すると10%もウォン安ドル高が進んだ。
通常、ドル安になればウォン高になるが、むしろウォン安が進んだ。
主要6通貨に対する米ドルの価値を示すドルインデックスは先月基準で101.5だ。3月末(102.14)より0.6%下落した」
米ドルの価値は、主要6通貨に対するドルインデックスでドル安である。
それにも関わらず、ウォン安だ。韓国の経済構造の脆弱性が知れ渡っている結果である。とても、「G8」にはなれない弱みを抱えているのだ。
(3)「最近のウォン安は、貿易赤字の影響が大きい。産業通商資源部によると、今年1~4月の貿易赤字累積額は250億2000万ドルにのぼる。
年間最大赤字となった昨年1年間の貿易赤字(478億ドル)の半分を4カ月間で超えた。
貿易赤字はドルの流出を意味し、ウォン安ドル高につながる。当分は輸出不振が続く見通しであり、ウォン安ドル高も進むと予想される。
ウリィ銀行は最近、「悲観的な輸出景気見通しのため、韓国ウォンのリスク資産に対する需要不振が懸念される」とし、1次的心理抵抗線の1ドル=1350ウォン線が崩れる場合は1ドル=1400ウォンまでウォン安ドル高が進む可能性があると診断した」
ウォンへの弱気筋は、1400ウォンを覚悟しているという。韓国輸出の展望が開けないからだ。
新韓投資証券のキム・チャンヒ研究員は「5月のFOMC会議で予想通り追加利上げ中断の可能性を示唆したことはドル安要因として作用するはず」とし「韓国の3月の経常収支も黒字に転じる可能性があり、1ドル=1300ウォン台序盤で安定化する可能性がある」と説明した」
1400ウォンまで下げなくても、1300ウォン台を少し超えたところで安定するという見方もある。
(5)「為替レートの行方に対する見解に違いはあるが、25日に開かれる韓銀金融通貨委員会では政策金利が据え置かれるという見方でほぼ一致する雰囲気だ。
韓銀の李昌ヨン(イ・チャンヨン)総裁も政策金利の差が機械的に為替レートに影響を及ぼすのではないと繰り返し話している。李総裁は3月、「金利差が為替レートの動きを決めるというより、ドル高がどれほど持続するのかなどがさらに大きな影響を及ぼす」と説明した」
韓国は、これ以上の利上げに耐えられない限界へ達している。
不動産価格の急落と家計債務の急増があるからだ。
さらなる利上げに踏み切れば、韓国経済はバラバラになる危険性を抱えている。今が、限界であろう。