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底のない瓶に水を注ぐ所得主導成長=韓国

2018-11-24 17:51:11 | 日記
【社説】底のない瓶に水を注ぐ所得主導成長=韓国


11/24(土) 14:47配信

中央日報日本語版

所得は職場で生じる。

「所得は労働の結果」ということだ。誰もが知っている。

ところが文在寅(ムン・ジェイン)政権の「所得主導成長」は反対に進んでいる。

あたかも馬の前に馬車を置いて「走れ」というような姿だ。

果たして馬車は動くだろうか。この政策が現政権に入ってから1年6カ月間にわたり強行され、民生が危機を迎えている。

最大の被害者は、この政策で雇用を創出し、家計の所得を増やすとして対象にしていた低所得層であることが表れている。

所得主導成長政策がすでに行き詰まっているというのは新しいニュースでない。

問題は、この政府の政策実験が国民の税金を浪費し、脆弱階層の職場をなくしてしまうだけでなく貧困の沼に追い込んでいる点だ。

統計庁が先日発表した7-9月期の家計消費動向がその現実をそのまま見せている。

所得下位20%世帯は福祉手当などが増え、政府から支援される金額が労働で稼ぐ金額を大きく上回っている。

とんでもないことだ。最低賃金の急激な引き上げで雇用が減り、所得が減少すれば、莫大な財政を注ぎ込んでも貧困層の所得は減る。

底が抜けた瓶に水を注ぐような政策になっているのだ。

その間、最低賃金引き上げの衝撃は脆弱階層の雇用を直撃した。

今年も卸小売業、飲食・宿泊業、事業施設管理の3大業種だけで雇用29万件が消えた。

人件費が負担になった零細自営業者がアルバイトをはじめとする臨時・日雇いなど脆弱階層から切ることになったのだ。

この余波で所得下位20%世帯は月間所得のうち働いて稼いだ金額が47万8900ウォン(約4万8000円)と、1年前に比べ14万ウォン減った。

一方、福祉手当など国から受ける金額は1年前に比べて10万ウォンほど増え、60万4700ウォンに増えた。

これは経済破綻に陥ったギリシャと南米の国を連想させる。これらの国は現金性の福祉は財政を投入しても貧困を救済できないという事実を見せた。

それだけではない。貧困層の国家依存度が高いほど貧富の差はむしろ拡大する。

この政府で雇用の拡大を狙って投入した税金は54兆ウォンにのぼる。

ところが所得下位20%世帯の所得(131万7600ウォン)は1年前に比べて7%減り、上位20%世帯(973万5700ウォン)は8.8%増加した。

両階層間の所得倍率は5.52にのぼり、11年ぶりの高い数値となった。

青瓦台(チョンワデ、大統領府)は「経済体質が変わる過程での陣痛であり、年末まで待ってほしい」と述べたが、そのような兆候はどこにも見えない。

むしろ経済協力開発機構(OECD)は昨日、「韓国の雇用問題は2020年まで続くだろう」と警告した。

さらには財政需要が増え、税金・社会保険料などとして出ていく金額が初めて1世帯あたり100万ウォンを超えた。

それだけ可処分所得が減ると消費は冷え込み、雇用が減るという悪循環が避けられなくなった。

これほどになれば所得主導成長は直ちに終えなければいけない。

にもかかわらず青瓦台は耳をふさいでいる。

昨日、大統領秘書室所属の秘書官が非公開ワークショップを開いたが、「予定されている政策を支障なく推進して国民に成果を見せよう」という従来の立場を繰り返した。

政策方向自体に関する本質的な悩みはなかった。いくら苦痛が大きくても、誤った道に入れば方向を転換しなければいけない。

そうしてこそ国民に見せる成果を得ることができる。勇気が必要だが、早いほどよい。もう時間はない。

中国、「空前絶後」バブル最終局面で不動産時価「日欧米上回る」

2018-11-23 18:07:43 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

2018-11-23 05:00:00

中国、「空前絶後」バブル最終局面で不動産時価「日欧米上回る」

テーマ:ブログ

中国の不動産時価総額が、米国とEUと日本を合わせた額を超えたというニュースに、中国市民はよろこんでいると言う。

平成バブルの盛んなころ、東京の地価で米国を買えるというたわいない話が交わされたものである。

あの時の日本と、いまの中国は瓜二つだ。バブルが、社会的な病理であることを実感させる。正常な判断能力を奪うからである。

一度膨らんだバブルが破裂したときの強烈さは、日本社会が経験済みである。

超高値の不動産売買を支えた金融システムは、価格暴落時に受ける衝撃が極めて大きい。

高値で成立した債権債務は、価格暴落時には決済不可能になるゆえ、その尻はデフォルトという形で金融システムへ持ち込まれる。

こうして金融システムの破綻が起るのだ。すでに、中国でその一部が始っている。


こういう視点で見ると、中国の不動産時価総額が先進国合計を上回る事態は、喜ぶべきことでない。逆に、破裂した時の影響を予想すれば恐怖にかわるはずである。中国社会はそのことに気づいていないのだ。


『レコードチャイナ』(11月21日付)は、「中国の不動産時価総額が米国・EU・日本を超えた?」と題する記事を掲載した。


(1)

「中国メディア『鳳凰網』(11月19日付)は、最近中国のネット上に掲載された株式・不動産時価総額を紹介。

それによると、『中国の不動産時価総額の合計は65兆ドル(約7310兆円)となり、米国とEUと日本を合わせた額の約60兆ドル(約6750兆円)を超えた。

しかし、中国の株式時価総額は6兆ドル(約675兆円)で、米国とEUと日本を合わせた額の10分の1ほどに過ぎなかった。

中国の不動産時価総額は、株式時価総額の10倍となったが、米国やEUでは不動産と株式の時価総額は同じだった』という」


不動産時価がバブルであるかどうかの判断基準は、対名目GDP比でみることである。

不動産時価は、最終的に名目GDPを反映する。

そのGDPを飛び抜けて高い不動産時価は、バブルの証拠である。

中国の名目GDPは、米国の6割である。それに対して不動産時価が、日本+米国+EUの合計を上回るとは、「市場空前」のバブルという動かしがたい事実を発見するはずだ。



(2)

「65兆ドルという中国の不動産時価総額について記事は、『今年1月の時点で恒大経済研究院の任沢平(レン・ゼーピン)院長が、約43兆ドルと見積もっていた額と比べると大きな差がある』と指摘。

しかし、『(総合不動産サービス会社の)サヴィルズは2016年8月の時点で中国の不動産時価総額を39兆ドルと見積もっており、

その後の2年で50以上の都市の不動産価格が1割以上上昇し、20以上の都市では2割以上上昇している』と伝え、決してあり得ない数字ではないとしている」


架空の計算をしても無意味である。

休火山の噴火口で、銭勘定しているような愚かな振る舞いである。

基本はGDPである。国の産み出す付加価値総額がGDPである。

地価は、そのGDPへ還元されるはずだ。

GDPの規模から飛び離れた時価は、いずれしぼむ運命である。

中国では、その第一歩が間もなく始る。夢から覚めるべきである。


不動産バブルの主役である不動産開発会社が、経営危機に直面し始めている。

主因は、資金コストの上昇である。

不動産事業は、土地の手当てに始り住宅建設・販売などと資金回収まで相当の時間がかかる。

それ故、資金コストの上昇は資金確保の困難につながり、経営の死命を制せられするリスクとなる。


中国人民銀行は現在、金融政策の効果より財政支出の効果大きいと訴えるほど、緊急事態を迎えている。

その危機の一断面が、不動産開発企業に現れてきたとみるべきだろう。


『ブルームバーグ』(11月21日付)は、「中国不動産開発業者に暗雲、資金調達コスト上昇、デフォルト懸念」と題する記事を掲載した。


(3)

「資金不足に悩む中国不動産開発業者の間で、資金調達コストの高騰や借り換え圧力の高まりを背景に、デフォルト(債務不履行)が増加する事態に投資家は備えている。

不動産開発業者など中国のハイイールド債発行体企業にとってのドル建て借り入れコストは、今年2倍近くに上昇し11.2%と、約4年ぶりの高水準にある。

さらに悪いことに、同セクターは2019年1~3月期(第1四半期)にオンショア市場とオフショア市場の両方で過去最大の180億ドル(約2兆円)の債券が満期を迎えることがブルームバーグの集計データに示されている。


不動産開発業者は、ドル建て債券を発行して資金調達している。

すでに金利が、11.2%と2倍近くなっている。

債券デフォルト・リスクが金利を押上げているのだ。

不動産開発業者の経済環境が、それだけ悪化している証拠である。

投資家の誰もが「住宅関連を忌避する」ムードに変わった。

オンショア(国内)市場とオフショア(国外)市場の両方で、来年1~3月期に180億ドル(約2兆円)の債券が満期を迎える。

借換え困難で、デフォルトは不可避であろう。これまで、不動産バブルを踊ってきた「罰」を受けるのだ。



(4)

「中国の不動産開発業者は、シャドーファイナンシングへの2年にわたる取り締まりで民間セクターが直面する資金繰り難の嵐に見舞われている。

当局は非国営企業の資金調達を容易にする措置を打ち出したものの、既存の不動産規制は緩和しない方針だと国営新華社通信が論評で指摘した。

不動産関連企業で少なくとも4社が今年に入ってデフォルトに陥っている。

NNインベストメント・パートナーズのシニア・クレジットアナリスト、クレメント・チョン氏(シンガポール在勤)は、『資金調達状況はセンチメントが変化するまでは改善しない可能性がある』と述べ、『デフォルトはオンショア市場で一段と頻発している。

一部の不動産開発業者は資金調達コストが上昇し続ければ、巻き込まれると思う』と語った」



不動産開発業者のデフォルトが、すでに4社出ているという。

金融当局は、不動産バブルを沈静化させる目的で、不動産開発業者への融資は緩めない方針と指摘している。

となると、不動産開発業者は、逃げ場を失ったのも同然である。あとは、死を待つばかりだ。

これが、引き金になって、住宅の投げ売りになれば一転、金融システムの崩壊へつながる。

危ない橋を渡る。

当局は、計画的に廃業させる道筋をつくって、倒産の混乱を少しでも和らげる対策を取るべきだろう。

中国政府は長いこと、不動産バブルによってGDPを押上げる恩恵を受けてきた身だ。

ここは、「葬送」も丁寧にやらないと、そのショックで中国経済全体が沈む危険性を抱えるに違いない。



(5)

「中国の住宅価格の上昇は9月に半年ぶりに鈍り、政府の規制による住宅市場鈍化の兆しが強まった。

S&Pグローバル・レーティングの企業格付け担当マネジングディレクター、クリストファー・リー氏はこのほどインタビューに応じ、『中国の不動産開発業者の間で来年、デフォルトが増える可能性がある。

消費者心理の悪化で販売見通しがあまり期待できない一方、大量の社債償還が控える中でドル資金調達コストは一部の大手企業ですら過去最高水準にある』と指摘した」



株式市場には、「まだはもうなり」という格言がある。売買のタイミングの難しさを指している。

中国経済についても同じこと。中国経済の潜在成長力は大きいと過大評価してきた向きには、ドデン返しが始ると見るべきだろう。

その引き金は、金融システムの破綻である。誰も気付かないところで、引き金が引かれるだろう。まさにドデン返しである。

文在寅政権による韓国経済破壊活動が止まりません

2018-11-23 17:53:41 | 日記
文在寅政権による韓国経済破壊活動が止まりません。

朝鮮日報、中央日報あたりの保守系と言われるメディアでは連日韓国経済への警笛を鳴らす記事がシリーズ化してます。

対照的なのは左派系のハンギョレ新聞。

基本、全面に押し出すのは離散家族再会や、南北統一チームの活躍、財閥叩きネタといった記事。

最低賃金の急激な引上げによる自営業者と零細中小企業への打撃は、あまり取り上げない。

今まではコンビニの加盟料やカードの手数料、過当競争に責任転嫁してましたが、いよいよかばいきれなくなると「報道しない自由」を行使し出しました。

この辺の党派性によるメディアの報道姿勢の違いは凄まじい限りです

仮に、今が保守政権で最低賃金引上げによる経済悪化が起きていれば、ハンギョレ新聞は連日政府批判記事を乱発していたことでしょう。

保守系メディアは多少手心が加わるでしょうが、保守政権が現在の破壊的な経済政策を実行していたら結構きつく批判はしているはずです。

左派系メディアの露骨な身内びいきは凄まじいの一言です。

現在の左派政権が韓国経済を破壊することを狙って今の経済政策を実行しているわけではありません。

むしろ韓国経済を良くするために全力を尽くしているつもりなのでしょう。

そこが救えない。

善意でやってますから、誤りを認められない。これが正しい道だ!と確信をもって進めてますから、方向転換ができない。

自営業と中小企業を焦土化した後に「やっぱり間違ってました、すみません」では手遅れです。

「公務員と大企業の正社員が残って、あとは茫漠たる荒野」

今のまま突き進めばこんな経済状態になるでしょう。

税金を投入して公的部門で雇用を生み出してますが、こんなのは長続きしません。

不景気時の財政出動は間違ってはいないと思いますが、金融緩和もセットじゃないとどこかで行き詰ります。

金を稼ぐ民間部門が潰れては、民間部門の税金で賄う公的部門が維持できるはずもない。

拡大した予算の使い道が次のようでは先が思いやられる。


今年は警察、軍人、教員など公務員を2万7000人増員した。警察は継続的に増員されてきたが、さらに増員が必要かどうか検討はされたのか。

学生数が衝撃的な水準に減少しているが、逆に教員を増やしてどうするのか。

来年は公務員3万6000人を新規採用するというが、5年間の任期で本当に17万人増員すれば、国民はどうやってそれを負担するのか。

30年間で350兆ウォンが必要になる。

それ以外の雇用も大半が臨時職で、事実上の税金ばらまきに等しい。

雇用対策予算で飲食店の経営者に税金で現金を支給する。後からそれを撤廃することはできるだろうか。

【社説】韓国来年度予算案、想像を超える税金ばらまき

警察と軍人と教員を大幅増員。

センスがないにもほどがある。

だいたい人口減少時代へと突入するのに、むしろ減らさないといけない警察や教員を増やしてどうするんですか?という話です。

他にもKBSニュースで図書館の司書を増やすとかもありましたが、しょせん焼け石に水です。

いっそ、異常気象対策として、大規模インフラ投資をします!という箱物行政の方がまだマシです。

建設会社が先を見越して新人を雇おうとしますし、若者も建設企業に将来性を感じて就職する人も増えるでしょう。

やはり一番必要なのはリフレ政策でしょう。

高失業率ということは需要に対して供給が大きいわけです。

この需給ギャップを埋めるのが、金融緩和です。マネーをじゃぶじゃぶにして需要を喚起する。

失業率がゼロになるまで札を刷りまくる。

韓国に必要なのはこの金融政策です。


通貨危機になる可能性もありますが、今のところ輸出競争力がありますから大丈夫でしょう。

インドのような輸入超過の国とは違います。

今のまま真綿で首を絞めるように経済が絞め殺されていくよりは希望があります。

50%くらいの通貨安ならウェルカムです。

トルコやアルゼンチンのように急激に通貨が下落すると困りますが、1~2年くらいかけて50%ウォン安になれば韓国経済もだいぶ息を吹き返すはずです。

日本も2012年末の1ドル80円から、2015年の1ドル120円まで1~2年で50%円安になりました。

「トランプと文在寅はとんでもない大統領だ」と大前研一氏

2018-11-23 17:41:32 | 日記

NEWSポストセブン
2018年11月23日 11:00

「トランプと文在寅はとんでもない大統領だ」と大前研一氏


経営コンサルタントの大前研一氏


 アメリカの中間選挙は、上院で共和党、下院で民主党が過半数を握る「ねじれ状態」になった。

韓国では、国際常識では考えられない「元徴用工」への賠償を命じる判決が出されている。

それら二つの国のドナルド・トランプ大統領と文在寅大統領について、経営コンサルタントの大前研一氏が、比較し解説する。

 * * *

 9月下旬にニューヨークで開かれた北朝鮮に関する国連安全保障理事会閣僚級会合で、
日本の河野太郎外相は、従来の議論を踏まえて、北朝鮮の核を含むすべての大量破壊兵器や弾道ミサイルの「完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄(CVID)」の重要性を強く訴えた。

 ところが、トランプ大統領はその直後の選挙集会で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との関係について「恋に落ちた」「非常に気が合う」などと述べ、関係者を呆れさせた。

 さらに韓国の文在寅大統領にいたっては、同じく9月下旬の国連総会の演説で、金委員長が非核化に向けて積極的に取り組んでいると評価し、あろうことか

「今度は国際社会が北朝鮮の新たな決断と努力に前向きに応える番だ」と国連の制裁決議に反する主張を展開した。

これに対し、日本の主要マスコミは通り一遍の報道で、この文大統領の演説の異常さを指摘したところは少なかった。

 文在寅は、トランプとは別の意味で、とんでもない大統領だ。

ソウルに無数のミサイルやロケット砲が向けられたままなのに、

南北軍事境界線上の地雷や銃火器、監視所を撤去したことを“非武装化”と称して、いきなり南北統一に向かおうとしている。

昨年まで核実験や弾道ミサイル実験を強行していた金委員長を

「誠実で、経済発展のために核兵器を放棄すると私は信じている」と無防備に信用する発言もしている。

 しかも、金委員長の祖父・金日成主席が抗日パルチザンの根拠地とし、父・金正日総書記が生まれた場所とされる「(偽りの)革命の聖地」白頭山まで行って

「南側(韓国)の国民も、白頭山を観光で訪れることができる時代が来ると私は信じている」と述べたという。

これは捏造された“金王朝”による独裁体制の正当性を認めたようなものであり、呆れてものが言えない。


 金委員長が考えを改めたとか過去の経緯を謝罪したわけでもないのに、一方的に受け入れている。これでは、いわば“できちゃった婚”状態ではないか。

 韓国人はよく「南北が一緒になれば、日本を超える」「統一朝鮮ができたら、日本人は困るでしょう?」と言う。

 一般の日本人には韓国と競争しているという意識があまりないので困るも何もないのだが、結局、南北が一緒になった場合の“仮想敵国”がどこかといえば、中国やロシアのはずはないから、日本しかない。

北東アジアで日韓が日本海を挟んで敵対することになる、という想定なのだろうか。

 さらに、日韓関係の悪化に追い打ちをかける「徴用工問題」が起きた。

韓国大法院(最高裁)が、新日鐵住金に韓国人の「元徴用工」4人に対する損害賠償の支払いなどを命じる判決を確定させたわけだが、この問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」されている。

同協定に反する大法院の判決は前代未聞であり、まぎれもない国際法違反なのだ。

 一方、この4人に関して調べてみると、当時の日本での給与が朝鮮半島の2倍近くあったために「官斡旋」という形で募集されていた案件に自ら応募してきたという。

これは日本政府によって強制的に「徴用」されたとは言い難い、かなり本質的な前提条件の確認が必要なケースと思われる。

 今の韓国大法院の金命洙長官を指名したのは文大統領だから、今回の判決に日本を“敵視”する文大統領の意思が働いたことは間違いないが、韓国は「国際法や国際条約を蔑ろにする国」だと自ら白日の下にさらしたようなものである。

 トランプ大統領と文大統領の独善的な外交によって、日米韓の結束はバラバラになりつつある。

米中対立の余波で日中関係が改善に向かうと見る向きもあるが、まだまだ中国の立ち位置は信用できるほどには安定していない。

ここで日本は、あらためて自国の地政学的な位置を見つめ直し、新たな太平洋・極東アジアの外交および安全保障政策を根本から練り直すべきだろう。

※週刊ポスト2018年11月30日号

 「慰安婦合意を守れ」と日本側から要求されたことはなかったと文喜相議員は主張

2018-11-23 17:24:25 | 日記
岸田の口は封じた

――冷静な記者もいるのですね。

鈴置:韓国紙の希望観測的報道は対中関係に留まりません。

対日も同様です。日本に特使として派遣され、岸田文雄外相や安倍晋三首相と会ったのは韓日議員連盟会長を経験した文喜相(ムン・ヒサン)「共に民主党」議員。

 5月17日、文喜相議員は「岸田外相との会談で『慰安婦合意を遵守すべきだ』と言われたか」との韓国メディアの質問に対し、以下のように語りました。

 中央日報の「韓国特使、岸田外相に『韓国民の大多数が慰安婦合意受け入れず』」(5月18日、日本語版)から引用します。

•もし(岸田外相が)遵守を主張すれば(自分は)「破棄」で対応したはずだが、そのような雰囲気ではなかった。

 「慰安婦合意を守れ」と日本側から要求されたことはなかったと文喜相議員は主張したのです。

 一方、日本の外務省は「岸田大臣から、日韓合意を含む二国間関係を適切にマネージしていきたい旨を発言しました」と発表しています。(「文喜相韓国大統領特使一行による岸田外務大臣表敬」参照)

 韓国人は「慰安婦合意を守れ」と言われるのを極度に嫌がります。「嘘付き」と痛いところを指摘されるわけですから。そこで文喜相議員は「破棄するぞ」との威嚇により、そんな発言は封じた、と言い募ったのでしょう。

――日本は韓国から慰安婦合意を破棄されたら困るのですか?

鈴置:韓国が破棄したら、韓国が嘘を重ねたことになるだけです。

その後に何か言ってきても、すべて無視すればいいわけで日本は別段、困らないのです。

また始まった自画自賛

――新たな妄想が始まったのですね。

鈴置:中国からは圧迫され、米国のWPにはあんなに冷たく書かれた。というのに、外交専門記者として有名な中央日報の裵明福(ペ・ミョンボク)論説委員・巡回特派員は「文在寅外交は上々の滑り出し」と書きました。

「順調に歩み出した文在寅政権の外交・安保」(5月22日、日本語版)です。

 5月24日、文在寅大統領も帰国した3人の特使を呼んで、外交成果を誇りました。

聯合ニュースの「日本などへの特使派遣を評価 『外交の空白埋めた』=文大統領」(5月24日、日本語版)によれば、大統領は以下のように自画自賛しました。

•長期間政局が混乱状態だったため外交が空白の状態だったが、(特使は)長引いた空白を一気に埋める役割を果たした。
•(米中や日本の首脳に向かって)THAADや慰安婦合意に関し、言うべきことはしっかり言ったと思う。
•(特使派遣は)急に決まったが、多くの成果があった。

韓国無視は続く

――本当に「多くの成果があった」のですか。

鈴置:そうとでも言うしかないのでしょう。まさか「左派政権になったので外交的な孤立――四面楚歌がさらに悪化した」とは言えません。

 周辺国との対話が始まったことは事実ですが、だからと言って「韓国無視」が改まるわけではありません。韓国がシカトされるのは政局が混乱していたからではなく、独自の世界観に基づく妄想外交を実行した結果なのです。

 そして、朴槿恵大統領の米中二股外交を文在寅政権が修正する気配もありません。今現在は、やや中国側に傾き始めた感もありますが。