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韓国、「震撼」株価は8年5ヶ月ぶりの安値、空売り規制が逆効果「素人政権」

2020-03-18 11:37:55 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。



韓国、「震撼」株価は8年5ヶ月ぶりの安値、空売り規制が逆効果「素人政権」

2020年03月18日

韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評
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韓国は、株価やウォン相場の急落に見舞われている。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、経済対策のトップに座るという背水の陣を敷くことになった。

経済で素人の文氏が、経済対策の采配を振るうのでは、最低賃金の大幅引上げ同様の大間違いを犯すのでないか、と懸念されるのだ。



文大統領は17日の閣議で、新型コロナウイルスに対応する大統領主宰の非常経済会議を設置する方針を示し、「経済の中央災難(災害)安全対策本部」と位置づけた。韓国経済の先行き不安は、株価下落に表れている。先ず、これをどのように落ち着かせるかだ。

17日の韓国株式市場は、総合株価指数(KOSPI)が5営業日連続で下落した。

終値は前日比42.42ポイント(2.47%)安の1672.44である。2011年10月5日以来、約8年5カ月ぶりの安値である。

韓国では、3ヶ月間の株式「空売り規制」を実施している。常識的に言えば、信用取引の「売り」が規制されれば、株価は上昇すると考えるもの。

だが、それは大間違いである。過去の例でもすべて失敗している。投資家の不安心理を煽って、現物売りを誘うのである。こういう市場の心理状態を読めなかったのである。


『フィナンシャル・タイムズ』(3月16日付)は、「空売り禁止や取引停止はパニックを増幅」と題する記事を掲載した。


(1)

「韓国が9年ぶりにとった半年間(注:正しくは3ヶ月)の空売り禁止措置は、市場の沈静化にほとんど役に立たなかった。

韓国株式市場の総合株価指数(KOSPI)は16日、3%以上下落した。インドネシアと台湾の主要株価指数は4%以上値下がりした。台湾はまだ空売り制限を検討しているにすぎない」

次のパラグラフで指摘するように、短兵急な「空売り規制」は、公正な株価形成を阻害する。

それゆえ、成功しないのが普通だ。

信用取引では、相場観に見合った売りと買いが交錯するから、正しい相場が形成される。

これが、市場経済原則である。

株価が急落しても、「空売り規制」をしなければ、売りの累積が自律的な買いを呼込み、早い相場回復となる。これが、信用取引の効果と呼ぶべきものである。

(2)

「空売り禁止の歴史は、短期的にも長期的にもこれが機能しないことを示している。

2008年の金融危機当時に2週間余り続いた米国の禁止措置は、下落に歯止めをかけることができなかった。

1920年代末のウォール街大暴落後、32年の50%を超える株価急落は、空売り禁止が導入された直後に始まった」

ここでは、過去の空売り規制がことごとく失敗した歴史を取り上げている。歴史に学ばなければならないのは、株価の空売り規制失敗も同じこと。

韓国では、「空売り」による株価の潜在的上昇テコがなくなったので、自律回復の期待が持てなくなった。

(3)

「空売り禁止や売買高制限など市場メカニズムの制限は、必ずと言っていいほど金融ストレスの軽減ではなく増幅につながる。

流動性が低くなると、取引コストが上昇する。

米連邦準備理事会(FRB)は、2008年の米国の空売り禁止による追加の取引コストを10億ドル(約1000億円)以上と推計する。

市場の取引制限は、現実主義ではなく、政治の産物だ。批判派は空売り筋を人の苦しみにつけ込み、暴利をむさぼる者たちとみなす。だが、その投資行動は、価格形成のより幅広いプロセスの一部にすぎない。

いま問題なのは、新型コロナウイルスとそれが経済への信頼感に及ぼすマイナスの影響だ」

市場の取引制限は、現実主義ではなく政治の産物と指摘している。その通りである。文政権は、やたらと正義論を振りかざす政権である。だから、「空売り」による株価下落が、投資家の損害を利用して利益を上げる、「空き巣」同様な行為と見ているに違いない。


実は、それが間違いである。

早く相場の調整が済めば、それだけ早い回復が可能になるもの。


信用取引である以上、「売り」は将来の「買い」要因である。このメカニズムを見誤ると、相場底入れ時期が遅れて、いつまでも「ダラダラ相場」が続くに違いない。


文大統領が、非常経済会議のトップになるのならばこの際、思い切って「空売り規制」を撤廃してみてはどうか。

そうすれば、現実経済のメカニズムが理解できはすだ。まさに、一皮むけて経済政策の醍醐味を知ることになろう。

ただ、政権の支持母体である労組や市民団体には、この「空売り」論理について理解を迫っても無理であろう。

日韓通貨スワップ締結すべき 反対 散々 反日日本侮辱 韓国の国家破産関知せず

2020-03-18 11:07:32 | 日記
外国人資金引き揚げに備え、米日と通貨スワップを速やかに締結すべき」


 米連邦準備理事会(FRB)は15日、ゼロ金利と量的緩和だけでなく、通貨スワップ金利の引き下げという緊急対策を講じた。

ゼロ金利と量的緩和が主に米国企業と金融市場を対象とする国内向け対策とすれば、通貨スワップ金利の引き下げは主な経済同盟国がドルを調達しやすくする海外向けの対策だ。

しかし、韓国はFRBと通貨スワップ協定を結んでいないため恩恵は受けることが難しい。

 FRBは同日、通貨スワップ協定を結んだ欧州連合(EU)、英国、カナダ、スイスの中央銀行に対するスワップ金利を0.25%引き下げると表明した。

通貨スワップとは、当座貸越を利用するように、米国と協定を結んだ国がいつでもドルを引き出して使えるようにする制度だ。

FRBは通貨スワップ締結国にドルを低金利で貸し付けるだけでなく、融通期間も延ばすことを決めた。

 専門家は「金融・為替市場の危機を防ぐため、米日などと速やかに通貨スワップ協定を結ぶべきだ」と指摘した。

NEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドック)理事長(元産業資源部長官)は

「米国が金利を急激に引き下げ、当面は外国人の資金引き揚げはないとみられるが、コロナウイルスがさらに拡散し、中国経済がハードランディングすれば、韓国には大きな危機が訪れかねない」とした上で、

「そうなれば外国人の投資資金が大量に流出する」と懸念した。鄭理事長は「今急いでこそ、米国などと最大限大きな規模の通貨スワップ協定を結ぶことができる」と述べた。

 韓国はリーマンショックでウォン相場が1ドル=1500ウォンまで下落するなど、通貨危機による不安がピークに達した2008年10月に300億ドル規模の韓米通貨スワップ協定を結び、山を乗り越えた。

しかし、同協定は延長されず、10年2月に終了した。韓米通貨スワップと共に「防波堤」の役割を果たしてきた韓日通貨スワップ協定も15年に終了した。

新型コロナウイルスの事態で金融不安が長期化した場合に備える最後の安全弁がなくなった状態だ。


 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近の社説で、「金融市場の安定のため、FRBはオーストラリア、韓国、中国、台湾、香港などと通貨スワップ協定を結ぶべきだ」と主張した。

韓国企画財政部、韓国銀行など関係当局は通貨スワップ協定について、「金融のセーフティネットを強化するために努力している」とコメントした。

在日韓国人は超高速少子化で2050年に出生数100人になる

2020-03-17 17:38:05 | 日記
世界のニュース トトメス5世


安保・外交・経済・歴史・日本中心


2020年02月28日17:00


在日韓国人は超高速少子化で2050年に出生数100人になる

カテゴリ日本韓国・北朝鮮

韓国人同士の子供は生まれないので、赤の韓国籍外国人は減り続けている


在日韓国人は1世代で半減し2世代で絶滅する

インターネットやSNSなどでは「日本は在日韓国人に支配されている」という情報がとても多い。

保守系の主張に多いのは、たとえば「芸能人のほとんどは在日韓国人」というような事です。

彼らの説明だと国会議員のほとんどが韓国人だし、弁護士のほとんども韓国人、テレビ局や製作スタッフのほとんども韓国人だという。

だが在日韓国人の人数は2019年は45万1千人(法務省HP)で、1991年の約69万人から急減しています。

「芸能人や政治家のほとんどが帰化人」のような主張もあり得ない話で、帰化申請は年間5千人程度です。

50年間帰化の平均が5千人だったとしても今までの合計は30万人未満の筈で、外務省の統計でもそうなっている。

在日韓国人の出生数減少は目を覆うほど悲惨で、現在は年間1000人を下回っていると見られます。

在日韓国人の出生数は生まれた時点では確定せず、日本人と結婚した場合、子供は22歳まではレンホーのように2重国籍が認められている。

民団によると在日韓国人の結婚相手の9割は日本人で、韓国籍同士の結婚は9%しかありません。

日本人と在日韓国人の間に生まれた子供は、大半が日本国籍を選択すると推測されます。

民団の人口統計では0歳から4歳までの年齢別人口は平均1385人だが、仮に半数が22歳で日本国籍を選択したら、各年齢で700人以下しか居ない事になる。

これは現在の数字であり、韓国人同士の結婚が9%なのを考えると、25年ごとに在日韓国人の出生数は1割から4割程度に減少します。

すると西暦2050年頃には在日韓国人の年間出生数は100人から300人程度になっている計算です。

「日本は在日に支配されている」どころか、在日韓国人は今後1世代でほぼ絶滅するのです。

在日韓国人とは限界集落なみの小さい世界であり、次の世代には小学校も維持できなくなりすべて廃校になります。

朝鮮学校はいずれ廃校になる

東京都や大阪府が援助するしないで話題になった朝鮮学校は、現在は北朝鮮の朝鮮総連指揮下にあるが、最初「(南北)朝鮮」の学校でした。

いつの間にか北朝鮮に乗っ取られて金一族を教祖として崇めるようになったのだが、実は生徒の半数は韓国籍の在日韓国人です。

韓国学校も存在するが規模は小さく、日本の学校に通わせたくない親は子供を朝鮮学校に通わせています。

韓国政府が支援する韓国学校のほうは、韓国で生まれて仕事などで日本に赴任した韓国人のための学校です。

ここでは在日韓国人は厄介者であり、日本の学校に通うよりも阻害されるので、在日韓国人の子供は通いません。

先ほど書いたように在日韓国人の結婚相手の9割が日本人なので、日本国籍と韓国籍を持ちながら朝鮮学校に通う日本人生徒も多い。

日本人が通ってはいけないというルールもないので、日本に帰化した人の子供も通っていると思われます。

朝鮮学校在校生の過半数が韓国籍で、北朝鮮国籍は3割未満、日本国籍を持つ人も通っている。

朝鮮学校の在校生は最盛期に4万人だったが、2016年は6千人で現在は5千人程度だと思われます。

在日韓国人の子供は25年ごとに良くて半減、悪ければ1割まで減少するので、生徒の減少ペースは日本の過疎地よりも早い。

それでは学校経営が成り立たないので援助してくれというのが朝鮮学校の言い分で、援助するとかしないとかで揉めている。

だがこれほどのペースで生徒になる分母が減少したら、自治体が支援したとしても1世代か2世代で廃校になるしかない。

従って在日も民団も総連も朝鮮学校も、援助しようがしまいが今後1世代で日本から消えてなくなるのです。

今在日の中心世代は40代ですが、後に続く世代はおらず超高速少子高齢化が待っています。

韓国、「身から出た錆」日韓ダメなら、G20で通貨スワップ協定を提案する「苦衷」

2020-03-17 17:25:02 | 日記
韓国、「身から出た錆」日韓ダメなら、G20で通貨スワップ協定を提案する「苦衷」

2020年03月17日

韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評

韓国が、新型コロナウイルスの世界蔓延化で苦しんでいる。

輸出依存度の高い韓国は、コロナ禍で世界経済が落込めば、その影響を最も受ける立場であるからだ。輸出不振→経常収支赤字→外貨準備高減少→ウォン相場急落→通貨危機という過去のパターンを踏むリスクが大きくなる。



過去2回、通貨危機に襲われた韓国である。

コロナの世界的蔓延で「パンデミック宣言」が出された以上、「3度目の危機」を否定できない弱味を抱える。

ここで惜しまれるのが、派手に反日騒動を引き起こしてしまった手前、日本へ「日韓通貨スワップ協定」を申し込めないことだ。

そこで編み出されたのが、G20による共同通貨スワップ協定案である。苦肉の策とは言え、日本をバカにし過ぎた代償という印象を拭えないのだ。

『中央日報』(3月16日付)は、「李洛淵前首相、『通貨市場安定のためG20との通貨スワップ締結提案』」と題する記事を掲載した。

(1)

「李洛淵(イ・ナギョン)前務首相は16日、新型コロナウイルスによる肺炎への対応と関連し、「通貨市場安定に向け主要20カ国(G20)との通貨スワップを積極的に締結すべきという提案も政府に上げることにした」と明らかにした。

与党「共に民主党」のコロナ19国難克服委員長を務める李前首相は、国会で開かれた国難克服委員会会議後の会見で、「世界経済が前例のない複合危機に陥っていると診断し、非常な対処が必要だということに意見を集約した」としてこのように話した」

16日のウォン相場終値は、1ドル=1226.0ウォン(6.7ウォン安)である。

再び、「マジノ線」である1200ウォンを割り込んだ。米国が政策金利を一気に1%引下げ、事実上の「ゼロ金利」にしたことから、韓国銀行は米韓の金利差がプラス幅を維持できることを確認し、0.75%の政策金利(0.5%引下げ)にした。あくまでも「ウォン防衛」に力点を置いている。


韓国では、今回の新型コロナウイルス禍が、長期にわたり影響が出ると懸念している。その理由は次の点にある。

① 世界同時発生でなく、群集移動式で発生する点

② 潜伏期が長い点

③ ワクチンや治療剤の開発が容易でない点



これら3点から見て、この事態は相当期間持続する可能性がある予測している。韓国経済に大きな影響を及ぼすことは不可避となれば、過去の例からも「ウォン急落」を招くリスクが大きくなる。

こうなれば、韓国は通貨スワップ協定の網を広げなければならない。だが、肝心の日本とは反日騒動で疎遠になっている。

先ずは、G20で提案して日本の反応を探ろうという狙いであろう。

(2)

「李前首相は、「いまわれわれの前に置かれた苦難は通貨危機よりもさらに長く広くなる可能性がある。

輸出依存度が高い韓国としては通貨危機よりいまがはるかに辛くなるかもしれない」と懸念した。

続けて、「大統領が提案したG20テレビ首脳会議が開かれ、世界の金融市場と外国為替市場を安定させる国際共助が本格化することを望む」と述べた」

下線部分は、韓国が過去2回のウォン急落を伴った通貨危機時よりも、厳しい経済局面にあると言っているのであろう。

そこで、この苦痛を和らげる意味で、「金融市場と外国為替市場を安定させる国際共助の本格化」を提案すべきだと指摘している。

この提案は、受入れられるだろうか。米国の反応が注目される。

G20には、もちろん中国が入っている。米国は、秘かに「米中デカップリング(分離)」を策している。

そういう戦略から言えば、「中国救済」になるような話に乗る可能性は小さい。

中国は、新型コロナウイルスの発生源であるにもかかわらず、米国にすり替えさせようと策している。

米国の怒りは相当なもので、政府高官は「中国ウイルス」や「武漢ウイルス」と呼んでいる。

米国の感情的な反発も手伝い、中国救済に繋がる「共同通貨スワップ協定案」に賛成するかどうか不明である。



韓国経済に新型コロナ拡大で迫る「世界的なデフレ」の恐怖

2020-03-17 17:04:20 | 日記
韓国経済に新型コロナ拡大で迫る「世界的なデフレ」の恐怖

真壁昭夫

2020/03/17 06:00


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い

世界経済全体で景気後退の懸念

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界経済全体で景気後退への懸念が高まり始めた。特に、ここへきて原油価格が下落したことは軽視できないリスクだ。

 今後、原油価格が30ドル台を下回るレベルまで下落すると、米国のシェールガス業界などの経営に大きな影響が出ると懸念される。



これまで、米シェールガス企業が信用力の低いジャンク債を発行し、その資金を元手に石油生産をしてきた。そうしたジャンク債を購入してきたのが、世界の大手投資家だった。

 問題は、原油価格の下落を契機に米国の経済に下押し圧力がかかる場合、米国経済の安定に支えられてきた世界経済全体で需要が冷え込むのが避けられないことだ。

それが現実のものになると、輸出に依存してきた韓国などの景況感は大きく悪化する。

中国の需要に依存してきたユーロ圏各国や日本などでもデフレ、あるいはその深刻化が懸念される。

 それに加えて、韓国では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領への国民の不信感も増しているという。

文政権は対中国の政策を優先したこともあり、新型肺炎の感染拡大を防げず、批判が高まっている。

4月に総選挙を控え、文大統領はどうにかして有権者の支持をつなぎとめようと必死だが、いまのところ妙案は見当たらないようだ。

ここへ来て一段と

厳しさを増す世界経済

 新型肺炎の感染拡大を受け、世界経済は重要な局面を迎えつつある。

特に、3月6日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国が、追加減産と減産延長に関して合意できなかった。

それは新型肺炎のマイナスに追い打ちをかける格好になった。

 一時、WTI原油先物価格は1バレル当たり31ドル台まで下げた。

世界全体でリスクの削減が急速に進み、米国の金利は過去に例をみないほどの勢いで低下した。そのインパクトは大きかった。

 原油価格の下落により、米国の景気後退リスクを再認識する投資家が増加した。

米国のエネルギー業界では非投資適格級企業の債券などがかなりの勢いで売られ始めた。

トランプ政権による給与減税期待から株価が大きく反発した場面でも、シェールガス関連企業の資金繰りへの警戒感は根強い。

 原油価格の下落を受けて、米シェールガスを中心にエネルギー企業の資金繰り懸念が高まると、米国経済にはかなりの悪影響がある。

リーマンショック後、米国のガス・石油掘削企業が生産能力を増強し、それが米国の鉱工業生産や資本財受注、労働市場の持ち直しにつながった。それによって米国の賃金が徐々に上昇した。

 その後、2014年半ばの原油価格の下落を挟み、米国では低金利環境下でIT先端企業がイノベーションを起こして労働市場の改善が勢いづいた。さらに、2017年末にはトランプ減税も実施されて米企業業績は拡大し、世界経済全体の安定感が増した。

 このように考えると、原油価格の下落は米国企業の事業環境を軟化させ、雇用に影響する可能性がある。

さらに、米国でも新型コロナウイルスによる肺炎感染が拡大し始めた。世界経済の安定を支える米国の個人消費の下振れリスクは上昇している。

 同時に世界第2位の経済大国である中国では過剰生産能力が深刻化し、生産者物価指数が前年同月比マイナスで推移している。

日本やユーロ圏、多くの新興国で物価上昇圧力は鈍い。このように考えると、原油価格の下落は、米国の景気後退のリスクを高め、世界的なデフレ懸念に無視できない影響を与える重要な要因の一つだ。

八方ふさがりで

逃げ場を失った韓国経済

 米国の景気後退懸念が高まりつつあることは、世界経済にとって深刻なリスクと考えなければならない。

特に、中国・米国に対する輸出依存度の高い韓国は、かなり厳しい状況に追い込まれたとみられる。今後、文政権が目指す景気の安定はさらに難しくなるだろう。



 韓国にとって最大の輸出先である中国では、新型肺炎から生産活動が停滞している。

中国では大企業が徐々に事業を再開しているものの、中小企業の事業再開は3分の1程度にとどまっているようだ。

収益環境の悪化懸念から雇用への不安は増しやすくなっている。

中国の需要を当てにして経済を運営してきた韓国は、命綱がほつれ始めた状況に直面している。

 それに伴い、韓国企業の業績懸念も高まっている。

米中通商摩擦の影響などを受け、サムスン電子などは中国からベトナムに生産拠点を移した。

韓国での新型肺炎の感染拡大を受け、ベトナムは韓国からの入国者を隔離し、韓国企業の事業運営に支障が生じつつある。

中国からの資材調達の困難化に加え、国内での肺炎感染なども加わり、韓国企業の活動は一段と鈍化しやすくなっている。

 それに加えて、韓国経済の安定に欠かせない米国の景気減速の鮮明化、さらには景気後退への懸念が高まり始めると、状況はさらに厳しさを増すはずだ。

状況次第で韓国から海外に逃避する企業が増えるなどして、これまで以上のペースでヒト・モノ・カネが海外に流出することになるだろう。

 
一方、新型肺炎の影響などから、イタリアやドイツをはじめユーロ圏各国の景気後退懸念も高まっている。

中国からの観光、工作機械などの需要をはじめ海外経済に支えられて緩やかに持ち直してきたわが国でも、成長率の下振れ懸念が出始めた。

中国経済の減速や原油価格の下落から、多くの新興国、資源国の景気先行きは不透明だ。輸出依存度の高い韓国経済を筆頭に、世界各国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は不安定化しつつある。

長期化が懸念される

新型肺炎

 今後の世界経済の展開を考えた際に最も重要なのは、新型コロナウイルスの感染拡大がどの時点で終息するかだ。

イタリアは感染の拡大を止められず、全土で個人の移動を制限した。一部の専門家からは、「気温が上昇するにつれてウイルスの感染力が弱まる」との指摘が出ているが、それが本当に実現するかは不透明な部分が多い。

新型肺炎の長期化リスクは軽視できず、それによって世界経済にはかなりの影響があるだろう。

 韓国では4月に総選挙が実施される。

現在、感染拡大への批判から弾劾を求める請願が増えるなど、文大統領はかなり追い込まれているようだ。

事態を打開するために、文大統領は日本などに対して、ビジネスでの渡航を容認するよう要請を検討していると報じられている。

 韓国企業経営者が事業継続のため、日本の企業や銀行などと交渉を進めなければならないことがあるという。

それができないと、企業経営者は一段と危機感を募らせることになる。

昨年7月、日本が韓国への半導体材料の輸出手続きを厳格化した直後、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長などが来日したように、韓国企業にとって資金繰りや資材の確保のために日本との関係維持は欠かせない要素の一つだ。

 本来、文大統領は真摯(しんし)な姿勢で日本に対応を求めればよいのだが、左派政権の基盤を固めたい文大統領はその選択肢をとることはできない。

そのため、当初、文政権は新型コロナウイルスの感染拡大に対する日本の措置を不当と非難し、内外の世論から同情を得ようとしたとみられる。

 文大統領は総選挙を乗り切り、政権基盤をどうにかして維持しようと必死になっているが、同氏が難局をどう乗り越えられるかは見通しづらい。

新型肺炎が早期に終息する可能性はある。同時に、原油価格の下落により、市場参加者は米国を中心とする世界経済全体の下振れやデフレリスクを警戒し始めた。

今後、米国の景気後退への懸念がさらに高まり、世界各国でデフレへの不安も増すとなれば、韓国経済は一段と厳しい状況を迎えるだろう。


(法政大学大学院教授 真壁昭夫)