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韓国新規採用6割以上の会社がゼロまたは1人程度の衝撃

2020-04-25 17:22:11 | 日記
釜山『Destination Busan Japan』

釜山ニュース両替エアライン政治まで在住者でも知らない情報、他の方が書かない韓国経済の話題多めで日韓から世界を眺めます。FB,Instaも。店舗・韓日交流会はしばらくお休みしてます。



韓国新規採用6割以上の会社がゼロまたは1人程度の衝撃

2020-03-13 00:55:00

テーマ:韓国経済

国内10大企業グループで採用はポスコだけ行っていて、3月末から採用開始したいとするSKを除いて、採用日程すら決まらず、体感値4人に1人の採用は更に悪化、釜山は5人に1人程度の就職になるのではないでしょうか。

識者は今年下半期まで続くものと見ています。

「KIEP」韓国経済研究院が先月、売上額上位500社に向けて行った調査から回答のうち

32.5%が「新規採用未計画」

27.8%が「上半期採用を縮小またはゼロ」


と衝撃の結果が出ました。


今となっては、気持ちはわかるのですが、

ボイコットジャパンなんてしてる場合じゃありませんでした。


90年代のような悪夢が再来するのでしょうか?


韓国は通過スワップを結んだ国や制度があります。

スイス

マレーシア

オーストラリア

インドネシア

中国

UAE

カナダ

の7国と、

チェンマイイニシエティブ(タイでの合意)

で合わせて、

1300億ドル程動かせます。

歴史から学びこれで国家破綻は避けられると思われますが、世界的に新型コロナウイルスが流行する中で、どこまで相手国が動けるのかもポイントになるのではないでしょうか。

大韓航空などは保有する機体の20%程度しか稼働していない状況で、スタッフも余りに余っている状態です。


各業種で同じようなことが起きており、またAIの導入を進めてしまったこともあり(代表的なのは釜山でも多業種で導入が進むスマートファクトリーです)、人が必要とされる場面が韓国国内では非常に少なくなっているのが現状です。

聞き取りを進めた中で、釜山西面2番街の飲食店通りでは既に二桁の店舗が休業または廃業を決めています。

そもそもこの地域の道路はとても汚かったので、衛生上良くないという声は前々から上がっていたこともあり、今回のコロナショックで一気に悪い評判が広がったそうです。


4月に1日か2日だけ、日韓交流会を復活させる企画を、Rくん達と進めていたのですが、もちろんそちらも軽く吹き飛んでしまいました。

場所は大丈夫なのですが、集まること自体が不可ですので残念ですが仕方ないです。


総選挙「与党歴史的圧勝」でむしろ逃げ場を失う「文在寅政権」

2020-04-23 17:32:42 | 日記
総選挙「与党歴史的圧勝」でむしろ逃げ場を失う「文在寅政権」

執筆者:平井久志 2020年4月21日

カテゴリ: 政治


与党は大勝したが、レームダックの危機はこれから? (C)EPA=時事

「100年に1度あるかどうか(の大勝利)だ」――韓国の与党「共に民主党」の選挙対策委員長を務めた、李海瓚(イ・ヘチャン)同党代表の総選挙後の「驚きの言葉」だ。



 韓国で4月15日に行われた総選挙は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「新型コロナウイルス」対応が評価され、地方区で与党「共に民主党」が163議席、比例区で同党の衛星政党「共に市民党」が17議席を獲得し、与党は全議席数(300議席)の6割を占める180議席を獲得して圧勝した。

 
1987年の民主化以降の韓国の総選挙で、与党が最も多くの議席を獲得したのは、2008年の保守党「ハンナラ党」(全議席の51.2%)だった。

今回の「共に民主党」の勝利はこれを上回る60%で、歴史的勝利である。

韓国国会では2012年に「国会先進化法」が成立し、いかなる法案も院内交渉団体の間で合意がない限り、本会議に上程されないことになった。

だが、議員の5分の3以上が「ファストトラック」(迅速処理案件)に指定すれば、本会議に上程できるという例外措置が設けられている。


今回の与党の獲得した180議席は、与党1党だけで「ファストトラック」に指定でき、憲法改正(議席の3分の2以上が必要)以外は何でもできるという絶対的な力を与党に与える議席数である。

全国的選挙4連勝の進歩陣営

韓国は保守勢力と進歩勢力が激しく対立してきた。

保守勢力は韓国の近代化、産業化を通じた経済発展を主導し、進歩勢力は民主化を主導してきた。

韓国が、経済発展と民主化を同時に実現したのは、良い意味で保守と進歩が競い合うことで、有権者がその時その時の優先的な課題を担う政治勢力を選択してきた結果であった。

しかし最近の韓国では、全国的な選挙で進歩勢力が勝利を続けている。

1回目は、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2016年4月の総選挙だ。

選挙前の世論調査などでは、保守が勝利するとみられたが、野党の「共に民主党」が123議席を獲得し、与党の「セヌリ党」の122議席を1議席の差で上回り、進歩側が第1党になった。

2回目は2017年5月の大統領選挙だ。何の権限もないはずの朴槿恵大統領の知人、崔順実(チェ・スンシル)氏が国政に大きな影響力を与えてきたことが明らかになり、2016年に大規模な「ろうそくデモ」が発生。

朴槿恵大統領は弾劾された。その結果、大統領選挙では文在寅候補が大差で当選した。

3回目は2018年6月の統一地方選挙だ。政権を握った進歩勢力は、保守政権の積弊清算を掲げて選挙戦を展開、与党「共に民主党」は全国17カ所の広域首長選挙で、ソウル市長など14カ所で勝利するなどして圧勝した。

そして、4回目が今回の総選挙だ。進歩の与党「共に民主党」が歴史的な勝利を収めたことはすでに述べた通りだ。

進歩勢力は全国的な選挙で4連勝、保守勢力は4連敗である。

今回の選挙結果は、韓国の保守勢力が理念のあり方を含め、根本的な見直しを求められていることを示した。

今回、与党「共に民主党」と同党系の「共に市民党」が180議席、比例区だけの「開かれた民主党」が3議席、「正義党」が6議席、進歩系の無所属が1議席で、進歩勢力は計190議席を獲得した。

一方の保守勢力は「未来統合党」と同党系の「未来韓国党」が計103議席、中道保守の「国民の党」が3議席、保守系無所属が4議席で計110議席だった。

この進歩190、保守110という結果から、一部では、韓国の政治潮流はもはや「進歩が主流」で「保守は傍流」となったのではないか、という見方すら出始めている。


 日本では自民党が巨大与党として政権を握り続け、野党は各党合わせても自民党にはるかに及ばないという状況だが、韓国では、日本とは保守と革新の立場が入れ替わったような状況になったのではないか、という保守派の悲鳴が上がっている。

これは、保守に大きく傾いている日本の実情からすれば、日韓関係の今後をさらに困難にするものになろう。

「新型コロナ」がつくった与党圧勝

では、与党圧勝はなぜ実現したのだろうか。

第1は、文在寅政権下での新型コロナ対策が効果的な結果を生んだからであろう。

当初、与党を取り巻く状況はそれほど有利ではなかった。世論の反対を押し切って曺国(チョ・グク)法相を任命し、国内世論の対立が激化。大統領府が蔚山市長選挙に介入した疑惑での、検察による青瓦台への捜索、青瓦台と検察当局との対立と、悪材料が続いた。

そこに新型コロナである。

文在寅政権は当初、習近平中国国家主席の訪韓を4月初めに想定したため、中国人の入国を禁止せず、2月13日には「コロナは間もなく終息するだろう」という甘い見通しを示す失敗を犯した。

1月末の世論調査では、文在寅大統領の支持率は41%まで下落した。

しかしその後は、専門家集団の判断を尊重した。

韓国の新型コロナ対応は、文在寅政権の功績というよりは、これまでに中東呼吸器症候群(MERS)やエボラ出血熱の経験を経た韓国社会が、感染症に対してそれなりの準備をし、疫病管理本部を中心とした医療集団が迅速で大量の検査ができる態勢をつくり出したことが大きな成果を生み出した。


公衆保険医たちが感染の危険性のある人々を訪問してまで大量の検査を行った。感染者が出ると、4分類して軽症者は病院ではなく生活治療センターで、医師の管理のもとで治療し、医療崩壊を防いだ。

文在寅大統領の功績は、疫病管理本部などの対応を受け入れ、余計な政治判断をせずに情報を公開し、専門家中心の対応を迅速に実践したことにある。政治は結果である。

現実に、韓国では投票日4月15日の状況は、前日からの感染者増はわずか27人で、感染者総数1万591人、死亡者225人、隔離を解除された人は7616人だった。

それまでのPCR検査件数は50万件を超え、国民の100人に1人が検査をした計算だ。

これに対して米国の同日で感染者数61万3886人、死亡者2万6047人という数字を見れば、韓国の有権者が自国の新型コロナ対応を評価するのは当然だった。

世界の各国首脳から文在寅大統領に電話が入り、検査キットを含めた支援の要請や、韓国のノウハウを学びたいという申し入れがあったことが、連日報道された。

韓国人は日本人以上に、海外からの評価を気にする。とりわけ欧米からの支援要請は、韓国人の自尊心を満足させるに十分であった。

 
世論調査会社「韓国ギャラップ」が選挙直前の4月13日から同14日にかけて行った世論調査では、文在寅大統領の「支持」は59%に達し、「不支持」の33%との差は26ポイントまで広がった。支持の理由として「新型コロナ対応を評価」が54%を占めた。

『ニューヨーク・タイムズ』は総選挙結果を報じた記事に、

「韓国の選挙でウイルスが与党に圧勝をもたらした」

というタイトルを付けた。

「守旧」イメージを抜け出せなかった保守

第2は、野党第1党「未来統合党」の対応の誤りだ。

韓国の保守勢力は朴槿恵大統領の弾劾後、親朴派と反朴派の対立が激化して「自由韓国党」は分裂した。

「自由韓国党」の黄教安(ファン・ギョアン)代表、羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)院内代表の党指導部は、曺国法相任命問題などで朴槿恵前大統領支持勢力の「太極旗部隊」とともに大規模集会などの院外闘争を続けた。

総選挙が近づくにつれて、保守勢力が分裂していては選挙に勝てないと、2月17日に「自由韓国党」「新しい保守党」「前進党」の3党が合同し、新たな保守政党「未来統合党」を結成した。

選挙のために、「親朴」「反朴」をとりあえず横に置いた保守新党のスタートだった。

「未来統合党」は、総選挙で文在寅政権へ審判を下そうと、「政権審判論」を掲げて総選挙に臨んだ。

まず、政府の新型コロナ対応について、中国人の入国禁止措置を取らなかった対中弱腰外交を批判した。

また政府が、新型コロナ対策として所得下位70%に災害支援金を支給するとの方針を出すと、「未来統合党」は、最初は「バラマキ」「買票行為」と批判した。保守の側は対案を出すのではなく、文在寅政権バッシングに熱を上げたのだ。

しかし、新型コロナ対策で災害支援金を求める声が高まると、黄教安代表は、

「1人当たり50万ウォン(約4万4000円)を支給すべき」 と姿勢を変えた。

これを受けて、与党も全世帯に100万ウォン(約8万8000円、4人家族基準)と方針を変えた。

 さらに、総選挙の公認をめぐる同党の内紛が支持を下げた。

「未来統合党」では、金炯旿(キム・ヒョンオ)元国会議長を公認管理委員長にして公認候補の大幅な入れ替え作業を行い、親朴系の多選議員から自主的な不出馬を引き出すなどの成果を上げつつあった。

 さらに、改革志向で反朴派の劉承旼(ユ・スンミン)氏らの「新しい保守党」を吸収し、安哲秀(アン・チョルス)氏系の「国民の党」からも人材を受け入れた。

 しかし、次第に金炯旿委員長と黄教安代表の対立が深まっていった。

黄教安代表は金炯旿委員長が決定した公認候補を取り下げ、黄教安派の候補者と入れ替えを主張。結局、金炯旿委員長は辞任した。

 こうした公認問題をめぐる内紛によって、「親朴回帰党」「ホットク党」(韓国式の焼き菓子をひっくり返すように候補を入れ替える党の意)という批判が起きた。

 選挙後、党公認を得られず、大邱から無所属で立候補して当選した洪準杓(ホン・ジュンピョ)元「自由韓国党」代表は、「未来統合党」惨敗の理由について、

「政治初歩者による自分の大権(大統領)への欲心が禍を招いたものだ」

 と黄教安代表を非難した。

 さらに野党「未来統合党」に決定的な打撃を与えたのは、京畿道富川丙選挙区から立候補した車明進(チャ・ミョンジン)候補のセウォル号事件に関する暴言など、相次ぐ保守陣営の失言や暴言だった。

 車候補は4月8日の討論会で、セウォル号の遺族が“座り込みテント”で乱れた性関係を持った、と発言した。これに対し、「未来統合党」の倫理委員会は「離党勧告」をしたが、除名を免れた車候補はその後も「セウォル号テントの真実を解明せよ」と主張し続けた。

 車候補は2019年4月にも「フェイスブック」に、

「子供の死に対する世間の同病相憐れむ同情を刺身で食らい、蒸して食らい、それでも足りず骨までしゃぶり、本当に卑しく食らいつくす」

 と、遺族を卑下する文章を上げて問題を起こした人物だ。この時は「自由韓国党」の中央倫理委員会が党員権停止3カ月と警告処分を下した。

 総選挙投票日の翌16日はセウォル号沈没事故6周年の日で、多くの有権者が6年前の事故に思いを寄せる時期だ。

 それなのに突発的な発言ではなく、過去にも問題発言を繰り返してきた人物が、「未来統合党」の公認候補になっていることに有権者は強く反発した。

「未来統合党は何も変わっていない」

 というイメージが急速に広がった。「未来統合党」の選対幹部も、

「独自の状況分析で30~40代の中間層が崩れる現象がはっきりと現れた」

 と嘆いた。危機感を抱いた「未来統合党」は投票直前の4月13日に緊急最高委員会会議を開いて、除名処分を決定した。

 しかし翌日、裁判所が除名手続きに瑕疵があると処分無効を認めたために、車候補は選挙戦を完走してしまったのだった。

 世論は、文在寅政権への「政権審判論」から、野党「未来統合党」への「野党審判論」に向かってしまった。

 セウォル号事故のような大きな悲劇の傷を今もなお引きずっている韓国社会で、

多くの国民がつくり出したコンセンサスを引き裂くような行為は、特定候補だけでなく、そういう人物を公認した「未来統合党」への批判へと向かったわけである。

結局は「旧態依然の守旧政党」「金持ち政党」というレッテルから抜け出すことができなかった。

多党化から2党体制へ

今回の総選挙では小政党の死票を少なくする目的で、比例区に「準連動型比例代表制」が導入された。

比例区47議席中、30議席については小政党を優遇しようというものだ。この制度の導入で左派政党の「正義党」などが利益を得るものとみられた。

4年前の総選挙では、与党「共に民主党」が123議席、野党第1党「セヌリ党」(「未来統合党」の前身)122議席、「国民の党」38議席、「正義党」6議席、無所属11議席であった。韓国政界は多党化の傾向を見せており、今回の「準連動型比例代表制」の導入で、多党化がさらに進むとみられていた。

しかし、結果はまったく反対になった。先に示したように、選挙結果は2党体制をもたらしたのである。

この原因は、与党「共に民主党」が比例区用の「共に市民党」、野党第1党の「未来統合党」が「未来韓国党」という「衛星政党」をつくり、選挙管理委員会がこれを認めてしまったためである。

選挙前から「衛星政党」の候補者たちは選挙後に本来の政党に入党する、と公言しており、まったく選挙制度改正の意味を失わせる行為であった。

このため、左派「正義党」は今回、比例区で9.67%とほぼ10%近い議席を獲得したが、議席は6議席に終わった。与党「共に民主党」は比例区で33.35%しか獲得できなかったが、全体の60%、野党「未来統合党」も比例区で33.84%だが、計103議席を獲得した。

 4年前の総選挙時、「第3地帯」をつくった「国民の党」は、地方区では全羅道で23議席、首都圏で2議席を獲得し、比例区では安哲秀人気で13議席と計38議席を得た。

しかし今回は、地方区で議席を得た全羅道を基盤とする議員たちを中心にした「民生党」と、安哲秀氏を中心に比例区だけに候補を立てた「国民の党」に分裂し、「民生党」が議席ゼロ、「国民の党」は比例区で3議席を得ただけだ。

次期大統領選への立候補を目指す安哲秀氏は国会に基盤を築くことに失敗し、政治的な前途は暗くなった。

金大中(キム・デジュン)政権で活躍した朴智元(パク・チウォン)元大統領秘書室長や鄭東泳(チョン・ドンヨン)元統一相など、全羅道を基盤にした「民生党」の重鎮議員たちも苦杯をなめた。

「東西」分裂で強まった地域対立

 今回の選挙で与党「共に民主党」はブルー、野党「未来統合党」はピンクを政党カラーとした。

過去に進歩勢力を「アカ」攻撃してきた保守政党がピンクを政党カラーにするという皮肉な現象だった。

 選挙の結果を地図上に落とすと、韓国の東側はピンク、西側はブルーに見事に色分けされ、前回の総選挙でやや薄まった地域色は今回、元に戻ってしまった。


 与党「共に民主党」は、前回は「国民の党」に奪われた全羅道を完全に奪還した。光州市(7議席)と全羅南道(10議席)は全議席、全羅北道は10議席中9議席を獲得し、全羅道地域で28議席中27議席とほぼ議席を独占した。

 一方、野党「未来統合党」は大邱(12議席)中11議席、慶尚北道(13議席)のすべてと慶尚北道地域で25議席中24議席とほぼ独占した。

 また釜山(18議席)で15議席、蔚山(6議席)で5議席、慶尚南道(16議席)で12議席と計40議席中32議席を占めた。

釜山は文在寅大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の地元。与党が圧勝する中で、両大統領の出身地の慶尚南道では保守が議席を伸ばしたことは注目すべきだ。

 筆者は本サイトの『「新型コロナ禍」は韓国「4.15総選挙」をどう動かすか』(2020年4月5日)で、与党は首都圏では前回ほど圧勝できないが、全羅道でその取りこぼしをカバーし、慶尚南道地区でどれだけ議席を伸ばせるかが焦点、とした。

 しかし、全羅道で議席を伸ばすのは当たったが、首都圏は前回を上回る圧勝(82議席→103議席)で、逆に慶尚南道地域では伸び悩んだ。

投票率も1992年以来の高率66.2%

 韓国の中央選挙管理委員会は4月16日、今回の第21回総選挙の投票率が66.2%だったと発表した。

 この投票率は、総選挙では1992年の71.9%以来の高さだった。今回の選挙は、新型コロナ感染がまだ続いている中で行われただけに、投票率が低くなるのではとみられたが、結果的には前回の第20回総選挙の58.0%より8.2ポイントも高くなった。

 新型コロナ対策で、投票には身分証明書の他に「マスク」着用が求められ、熱を測り、使い捨ての手袋をして投票するなどの対応の中で行われた。

 新型コロナのためか、混雑が予想される投票日前に投票しようと事前投票が26.69%と、これまでの最高を記録した。

 開票作業では、一般投票の後で事前投票の票が開けられたが、接戦だった地域で与党候補が開票終盤で票を伸ばしたことをみると、事前投票では一般投票以上に与党側の支持者が多かったとみられた。

 地域的には蔚山市の68.6%が最高で、忠清南道62.4%が最低で、ソウル市も平均より高い68.1%を記録した。高い投票率も進歩勢力に有利に働いた要因の1つとみられた。

 欧米メディアは、韓国の総選挙は新型コロナ感染問題の中でも全国的な規模で選挙ができることを示したと評価し、韓国民もそうした評価を喜んでいる。

李洛淵前首相の課題

 李洛淵(イ・ナギョン)前首相はソウル鍾路選挙区で、野党「未来統合党」の黄教安代表に1万7000票以上の差を付け、約58%を獲得して勝利した。

 李洛淵前首相は、これまでの次期大統領候補の世論調査では一貫してトップを走っており、2位の黄教安代表に大差を付けて勝利したことで、与党の次期大統領候補として基盤を築いたといえる。

 文在寅政権の前半の首相として無難な政治手腕を発揮し、今回の選挙では李海瓚党代表とともに選挙対策委員長を務めた。与野党トップ対決の自身の選挙区を離れ、全国の与党候補の応援に回り、各候補を支援した。

 李洛淵氏はもともと、金大中大統領の勧めで『東亜日報』記者から政界入りし、現在の与党の主流を占める盧武鉉・文在寅大統領系列ではなく、党内基盤はそれほど強くない。

 世論調査では他の「潜龍」(次期大統領候を目指す政治家)を引き離してトップを走るが、党内基盤が弱いために、与党内の公認競争に勝利できるかどうかの「関門」がある。

その意味では、この選挙戦での全国各地を回っての応援活動は、李洛淵支持勢力の拡大には大きく寄与した。

 李洛淵氏が与党の次期大統領候補に上がったのは、本人の能力もあるが、盧武鉉・文在寅系列の有力後継者とみられた安熙正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事や曺国前法相などが次々にスキャンダルなどで失脚し、有力候補がいなくなったためでもある。

 今回の選挙では青瓦台(大統領府)の元メンバーが大挙立候補した。文在寅親衛隊が大挙与党入りし、残り2年となった文在寅大統領を支え、レームダック化を防ごうとの狙いがあるとみられる。

 結局、元首席秘書官4人、秘書官クラス13人、行政官13人の計30人が立候補し、4人の首席秘書官を含め19人が当選した。南北首脳会談の特使団のメンバーだった尹建永(ユン・ゴンヨン)元国政企画状況室長も、ソウルで当選した。

 李洛淵氏は強い党内基盤を持たない中で、与党内部で「李洛淵大勢論」をつくり出さなければならない。場合によっては、青瓦台直系勢力と対立する可能性もある。

 与党内では盧武鉉元大統領の側近で、今回、文在寅大統領の私邸のある慶尚南道梁山選挙区で当選した金斗官(キム・ドゥグァン)元慶尚南道知事などが、大統領選挑戦の意欲を見せている。

 また、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長や、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事なども与党の大統領候補レースに参加するのは確実だ。

 韓国民は大統領に強いリーダーシップを求める。李洛淵氏が大統領を目指すのであれば、与党での強いリーダーシップを求められる。文在寅大統領を支えることも重要だが、同時に「李洛淵カラー」を出さなくては大統領にはなれない。

 そういう意味で、今後予測される新型コロナ禍後の経済危機克服などで、大統領の言う通りに行動する指導者ではなく、国民は独自のリーダーシップを発揮することを求めるだろう。

それが「文派」との対立を招きかねないという難題があるが、それも乗り越えなくてはならない課題だ。

保守はリーダー不在の危機  

 一方、保守勢力は有力な大統領候補が不在だ。

 世論調査で李洛淵前首相の次の第2位につけていた黄教安代表が、選挙惨敗の責任を取って辞任。保守勢力の大統領候補はいよいよ人材難に陥った。

 黄教安代表とコンビを組んだ羅卿瑗元院内代表も落選した。

 与党内で中道的志向があり、人気も高い呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長はソウル広津乙選挙区で高旼廷(コ・ミンジョン)前青瓦台報道官(女性)に2700余票差で惜敗した。

 与党の公認候補から外され、無所属で大邱から立候補して当選した洪準杓(ホン・ジュンピョ)元「自由韓国党」代表は、守旧イメージが強いだけに大統領選挙を目指すとしても候補への道は容易ではない。

 ただし、保守勢力は今回の惨敗を通じて、党内の大きな対立の軸であった「親朴槿恵」と「反朴槿恵」という桎梏(しっこく)からようやく抜け出るチャンスを得たといえる。

 そもそも黄教安代表体制自体が、朴槿恵時代の残滓であった。

朴槿恵大統領時代の最後の首相を務め、朴槿恵大統領が弾劾された後は大統領代行を務めた黄教安代表体制は、朴槿恵時代の延長といえる。

 文在寅政権のすべてを否定し、自身も丸坊主になり、保守勢力の「太極旗部隊」を動員して院外闘争を続ける手法が、今回の総選挙で有権者の拒否反応を生んだともいえる。

「文在寅政権は嫌だが、朴槿恵時代に帰るのはもっと嫌だ」 という心理が、進歩勢力圧勝の大きな要因の1つだった。

保守勢力は惨敗を通じて、「朴槿恵前大統領」をようやく過去のものとする機会を得たといえる。

 黄教安代表の辞任で、おそらく非常対策委員会のような臨時執行部をとりあえずスタートさせ、態勢を整備した後に代表など新体制をつくり、次期大統領候補選出の動きを本格化させていくしかない。

 今回の選挙では立候補を辞退し、応援演説で全国を回った劉承旼前議員は逆に、立候補をしなかったことがメリットになった。

 朴槿恵大統領を批判し離党、2017年の大統領選に「正しい政党」から立候補し4位に終わったが、今回の「未来統合党」で復党した。総選挙で立候補しなかったために、逆に保守のリーダーに浮上する可能性がある。

「自由韓国党」を離党し、無所属だった元喜龍(ウォン・ヒリョン)済州道知事なども、ダークホース的な存在だ。

脱北者が国会議員に

 今回の総選挙では、脱北者候補2人が当選した。

 北朝鮮の元駐英公使を務めて韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)氏が、「太救民」(テ・グミン)と名前を変えて、ソウルの江南甲選挙区で「未来統合党」から立候補。

58.45%を獲得し、相手候補に2万票弱の差をつけて当選した。

 改名してまで出馬した理由は「国会議員になって北朝鮮の民を救う」ためだという。

2012年に脱北者の趙明哲(チョ・ミョンチョル)氏が「セヌリ党」から比例区で当選したことがあるが、太氏は、脱北者が選挙区から立候補して当選した初めてのケースとなる。

 ソウルの江南地区は富裕層が多く、保守勢力の金城湯池とされてきた地域で、今回の与党圧勝の中でも江南区や瑞草区は「未来統合党」が勝利した。

「未来統合党」は、太永浩氏を戦略的候補と位置付け、当選可能性の高い江南甲選挙区に立て、太候補もそれに応えた形だ。

 また比例区でも、「未来統合党」の衛星政党である「未来韓国党」から立候補し、名簿登載順位12位の池成浩(チ・ソンホ)候補が当選した。

 池成浩氏は、少年時代に生活苦から石炭を盗みに行った時に列車にひかれて足と腕を切断。

2006年に脱北し、松葉杖で逃避行を続け韓国入りした。

2018年1月にドナルド・トランプ米大統領が一般教書演説をした際に、紹介されて注目を受けた人物だ。

北朝鮮の「コッチェビ」(北朝鮮の経済危機で生まれた浮浪児)が、韓国で国会議員になったわけだ。

 北朝鮮側は、本稿執筆時点ではまだ反応を示していないが、激しく非難することは間違いない。

 また、与党「共に民主党」の衛星政党「共に市民党」の名簿登録7位に搭載された尹美香(ユン・ミヒャン)「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」前代表も、当選を果たした。

 この団体の前身は「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」で、尹美香氏はこの挺対協の事務局長や常任代表を務めた女性だ。

 文在寅政権では市民運動から国会議員に転出するケースは珍しくないが、尹美香氏は韓国の慰安婦問題の中心にいた筋金入りの活動家で、日本政府には頭の痛いことになるだろう。

 ただし、文在寅大統領の対日姿勢がさらに強硬になるのかどうかは、まだ今後の推移を見守る必要がある。文在寅大統領は3月1日の「3・1独立運動記念式典」で、

「日本は常に最も近い隣国だ」

 とし、新型コロナ問題を念頭に、

「共に危機を克服し、未来志向の協力関係へ努力していこう」

 と訴えた。

しかし、日本政府はこの呼び掛けをまったく無視した。

 韓国が新型コロナ対応では効果を生んでいるのは事実であり、感染症問題で日韓が協力することは異論のないところだろう。

安倍政権自身が新型コロナ対応に追われていることはあるにしろ、こうした問題での連携は重要だ。

 日韓関係では、元徴用工問題での差し押さえ資産の現金化が目前の問題になっている。

もし現金化が行われれば、日韓関係がさらに悪化することは明白なだけに、新型コロナ問題で大変だが、日韓両政府とも早急に知恵を出すべきだ。

 ちなみに筆者は当面は韓国政府か、韓国政府が影響力を行使できる機関などが差し押さえ資産を買い取り、日本企業に差し押さえ資産を返した上で、日韓両政府間で対応を協議するのが現実的ではないかと考えている。

文政権は経済危機を乗り越えられるのか

 文在寅大統領は選挙後の4月16日、

「偉大な国民の選択に対し、重大な責任を全身で感じる」

 と語った。これは単なる修辞ではなく、本音だろう。

 与党がこれほどの圧勝をすれば、今後は「野党が足をひっぱったから」などと言い訳はできず、すべてに責任を負わなければならなくなったわけだ。

 新型コロナ対応は何とか効果的な手を打って、韓国は世界の中でも成功した国の1つに挙げられている。

 今回の総選挙での与党の歴史的勝利も、国民自身が欧米の新型コロナ被害の深刻さを連日の報道を通じて見る中で、韓国政府の対応を評価した結果だ。その一種の成功体験の興奮が、与党の圧勝を生み出した。

 しかし、「共に民主党」の小選挙区での得票率は49.9%、野党第1党の「未来統合党」の41.4%と8.5ポイントしか差はない。

比例区では「開かれた民主党」と合わせても38.77%で、「未来韓国党」の33.84%との差は4.9ポイントだ。

つまり、中道層の有権者の数%が与党から野党に転じただけで、勝敗は逆転する。

 文在寅政権の前には経済危機が立ち塞がっている。

国際通貨基金(IMF)は4月14日、今年の世界の経済成長の見通しを発表したが、韓国マイナス1.2%、米国マイナス5.9%、日本はマイナス5.2%とした。

IMFのこの数字は、4月~6月が底となるという見通しを根拠にしたもので、極めて楽観的なものだという意見が強い。

 韓国は内需の規模が小さく、経済構造が貿易など対外関係に大きく依存している。自国だけでなく、中国や米国の景気が良くならなければ韓国の景気回復はない。

 その意味で、今後深刻な経済危機が韓国を襲う可能性が高い。

おそらく、1997年末からのアジア経済危機以来となる大きな危機が韓国を襲い、雇用などに深刻な影響が出るだろう。文在寅政権のこれまでのような場当たり的な雇用政策では持たない。

 文在寅大統領の任期は2022年5月までだ。

 大統領選挙は2022年春に行われるが、文在寅大統領にとってはとても長い2年間になりそうだ。

この経済危機を乗り越えなくては進歩勢力の「5連勝」はない。

一方の韓国の保守勢力も、本当の解党的な出直しをしなければ低落減少に歯止めがきかなくなるだろう。

韓国経済が日本と同じ危機に?問題は「韓国には耐える力がない」

2020-04-23 17:06:09 | 日記
韓国経済が日本と同じ危機に?問題は「韓国には耐える力がない」

Record China

配信日時:2019年11月9日(土) 9時10分

2019年11月5日、韓国・デジタルニュースは、韓国の「少子高齢化」の問題点について報じた。

記事によると、韓国経済研究院(韓経研)は同日、「経済や人口の構造が韓国と類似する日本は低成長と高齢化、景気対策の繰り返しで国家債務が急増したが、韓国経済もこうした危険に直面しかねない」と警告した。


韓経研は「日本は1990年以降、税収の低迷や財政支出の拡大が重なり、財政赤字が年30~50兆円に増えた。

これにより国内総生産(GDP)に占める国家債務の割合が、1990年の66.1%から2018年には3.4倍の224.2%になった。

一方の韓国も(統合)財政が来年から赤字転換し、2023年には50兆ウォン(約4兆7000億円)の赤字となり、国家債務比率が2018年の35.9%から2023年には46.4%に上昇する見通し」と説明。

また、日韓間には「低成長による税収基盤の弱体化」「高齢化による公共福祉支出の急増」「毎年景気対策が出されるにもかかわらず成長率が下向き」などの共通点もあるとした。



その上で「日本は世界最大の海外純資産保有国で経常収支の黒字も安定的であるため、国家債務に耐えているが、韓国には耐える力がない。

政府の借金が増えれば対外信頼度とマクロ経済の安定性が大きく揺らぎかねない」と指摘したという。

これを受け、韓経研雇用戦略室のチュ・グァンホ室長は「中長期的な観点から国家債務が安定的に管理されなければならず、このための政府予算が成長潜在力を高めるために投入されているかどうかを綿密に検討し、予算拡大の速度を調節する必要がある」と述べたという。

韓国のネット上では「公務員の増員をやめて、公務員年金の改革を行うべき。なぜ税金で公務員を食べさせなきゃいけないの?」

「韓国は公職者がみんなを食い尽くしているってこと」と指摘する声が上がっている。

また

「何を生意気に日本と比べてるのか」

「人口が1億人にも満たないっていうのに。日本と比べるんじゃなくて、たまにはノルウェーやフィンランドなどと比べてみたら?」

「日本は自力で頑張っているのに、韓国は混乱と社会主義でベネズエラのようになっていってる」との意見も。


一方で

「韓国は財政の状態もいいし、IMFなどで財政拡大を勧めてるけど?世界的な景気低迷に対してもそれなりに善戦してる」

「国家債務がもっとも少ない国の1つが韓国では?」など反論の声も上がっている。(翻訳・編集/松村)

別記事

韓国経済に赤信号!日本の報復はこれだけじゃない、韓国産業界はまだまだ「狙い撃ち」される?―中国紙

Record China

配信日時:2019年7月5日(金) 7時10分


中国紙・環球時報は4日、韓国に対する日本の輸出規制について、「韓国産業界はまだまだ『狙い撃ち』される」との見方が韓国側にあると報じた。

日本政府は1日、半導体材料3品目に関する対韓輸出規制を発表した。

記事によると、韓国・中央日報は3日、韓国外交部と産業通商資源部の上層部が昨年11月に受けた1本の電話について、「電話の主はこれら組織の元高官。

内容は『日本企業に賠償を命じる韓国最高裁の徴用工判決。日本政府は韓国政府に経済報復を行うかもしれない』という警告だった」との記事を掲載。

当時、対応計画作成の必要性にも言及したというこの元高官は今回の日本の措置を「問題は日本政府が100以上の報復材料を準備しているということ。そのうちの1つが使われたにすぎない」と評したという。

記事は、専門家から「日本の報復措置には農産・水産品の輸入規制、ビザ規制などが含まれる」との予測が出ていることを紹介し、

「こうした予測を受けて韓国産業界は不安を増している」と指摘。この他、韓国外相が3日、半導体材料の輸出規制を「常識に反する報復的措置」と非難したことや、ネット上に日本製品ボイコットの呼び掛けが多数出現したことも説明した。

韓国政府は3日、2019年の経済成長予測を半年前の2.6~2.7%から0.2ポイント低い、2.4~2.5%に引き下げた。

記事は「日本による輸出規制のプレッシャーに直面する中、韓国経済に再び赤信号がともった」と述べ、

韓国の輸出、投資情勢の悪化を説明した上で、「半導体は韓国の基幹産業。日本以外の調達先を見つけられなければ、韓国の輸出と経済発展にとっては『傷口に塩』だ」との声が韓国メディアから出たことを伝えた。(翻訳・編集/野谷)

内部留保・長期雇用は強み コロナ禍で「日本型経営」再評価

2020-04-23 16:39:54 | 日記
BizGateリポート/経営

内部留保・長期雇用は強み コロナ禍で「日本型経営」再評価

岩村充・早大大学院教授に聞く


2020/4/22


新型コロナウイルスの感染拡大で国際経済の収縮が進むなか、大手から中小まで企業は生き残りをかけて必死の模索を続けている。

政府・与党は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の裏付けとなる2020年度補正予算の4月内の成立を目指す。

岩村充・早大大学院教授は、日銀の企画局兼信用機構局参事を務めた金融政策や経営管理研究の第一人者。

新型コロナが収束した後に、企業経営のあり方が大きく変わると分析する。

グローバリズムの流れが一転し、これまで批判を受けやすかった手厚い内部留保など「日本型経営」が再評価されると予想している。

■緊急事態宣言は昭和後期の「公定歩合」

 ――政府が外出や営業の自粛を求める「緊急事態宣言」を首都圏など7都府県から全国へ拡大しました。

影響力をどう評価しますか。

 「緊急事態宣言は、かつての金融政策における『公定歩合』と似た意味合いがあるといえる。アナウンス効果は確かにあるだろう。


公定歩合は日銀が民間銀行へ貸し付けるときに適用する基準金利だが、その効果は象徴的なものだった。

変動相場制移行以降の主な金融政策手段は国債・社債などを売買する公開市場オペレーションへとシフトした。

それでも公定歩合操作は日銀が市場に送るメッセージとしての意味は大きかった」

 ――実質的な対策となる補正予算の規模は約117兆円とリーマン・ショック時の対策を大きく超えます。

 「国民1人当たりへの現金10万円給付などに一定の効果はあるだろう。ただ現在は、感染拡大につながる活動を封じる『フリーズド経済』を続けるための支援に徹し、消費刺激策は外すべきだ」

 ――規模は十分だとしても、具体的な支援策には、もっと工夫が欲しいところですね。

「大事なことは、医療現場を守ることだ。人口当たりの死亡率でみると、日本は欧米諸国に比べ極めて低い。



イタリアの人口当たり死亡数は日本の100倍以上、新型コロナ対策に成功しているとされるドイツでも数十倍だ。日本の状況を何としても守りたい」

 
「国民へのマスク配布には約460億円かかったとされる。

この予算で中堅ビジネスホテルに対し、陽性判定だが無症・軽症者向けの施設として1泊1万円で借り上げるとすれば、460万室分だ。

2週間隔離するとして30万人を超える患者を収容できる。

医療崩壊を避けるためには、この方がずっと賢いのではないだろうか」

 ――日銀も3年8カ月ぶりとなる追加の金融緩和策を決めました。上場投資信託(ETF)の購入枠を当面、現在の年間約6兆円から約12兆円に増やし、不動産投資信託の購入も倍増します。

 「残念ながら、日銀ができることは多くない。すでに金利が十分低いので、これ以上は下げられない」

■「コロナ以前には戻れず経済のルール変わる」

 ――岩村教授は、最低少なくとも3カ月はフリーズド経済が続くとみていますね。企業経営者は新型コロナの収束後にはどう備えておくべきでしょうか。


岩村早大大学院教授は「批判されてきた日本型経営」に脚光が浴びる可能性を説く

「新型コロナの影響はリーマン・ショックの比ではなく、1970年代のニクソンショックやオイルショックと同じ性格だ。

国際経済や企業経営のルールが大きく変わり、もう以前には戻れない。

一気に普及したテレワークや遠隔会議なども、ビジネスや金融の現場を大きく変えるだろう」

 ――新型コロナの感染で国際的なサプライチェーンの中心だった中国の生産活動が止まったこともあり、グローバル戦略を見直す機運も広がっています。

 「雇用慣行や手厚い内部留保、長期的戦略など日本の経営モデルが再評価される可能性がある。

新型コロナの収束後は、企業価値を決める指標に事業の存続性が重視される。足元の業績が好調でも、今回のような事態に対応できない企業には融資しづらい」

「従業員の確保は何より大切になる。とりわけ中小企業にとって守るべきは信用であり雇用だ」

■行き過ぎた「選択と集中」への反省も課題に

 ――自己資本利益率(ROE)の向上や株主還元の充実などが投資の重要な判断材料でした。


日本企業の多くは現金を溜め込んで、設備投資も株主に対して配当還元もしないという外国人投資家らの声は根強いです。


「経営環境の大変化にも堪えられる内部留保が企業の強さを測るカギになる。行き過ぎた『集中と選択』への反省も今後の大きな経営課題だろう」

■「グローバリズムに夢を求める時代の終わり」

 ――国際通貨基金(IMF)は20世紀前半の世界大恐慌時に次ぐ景気後退になると予測しています。

「世界恐慌後の世界は金兌換(だかん)券の停止と財政拡大という政策セットを採用した国から、不況から脱出している。

先進国の1番手はドイツで英国、日本と続いた。米国やフランスは回復が遅れた。

しかし金兌換券の停止は各国の経済ブロックの形成につながり、ブロック間の優劣が第2次世界大戦の原因のひとつになった。

現代の世界でグローバリズムを拒否することは、さらに大きな危機につながりかねない」

岩村教授の近著「国家・企業・通過」はグローバリズムのゆがみに警鐘を鳴らした(新潮選書)


  ――新型コロナ感染拡大の直前に刊行した「国家・企業・通貨」(新潮選書)では「グローバリズムに夢を求める時代は終わりつつある」とまとめています。


「19世紀に生まれた国民国家・株式会社・中央銀行で構成する経済システムのひずみが、限界に来ていることを分析した。


各国はグローバル企業誘致のための優遇競争を繰り広げ、先進諸国の法人税は大幅に低下した。中央銀行も加わり、超低金利時代が現在も続いている」

■消費税が招いた? 中間層の疲弊と格差拡大

 ――代わる国家の財源として各国で採用されたのが消費税です。

「企業の利益ではなく付加価値に課税する消費税は、国家間での企業優遇競争を生みにくい代わりに、株主よりは従業員の、富める者よりは中間層の負担を増す制度という面がある。

中間層は疲弊し、格差が拡大した結果、ポピュリズムや排外主義の台頭を生んでいる。

他方、GAFAに代表される巨大IT企業の影響力は、人々の気持ちや意思決定にまで入り込み始めている。個人の自由を守る取り組みが極めて重要になってきている」

ただ新型コロナの収束以後は、世界はこうしたゆがみを是正する方向に進むかもしれない。

企業のサプライチェーンの見直しは、日本を含め各国の企業法制や税制の再構築につながる可能性がある。

一方、単純な統合統一志向への反省は、中央銀行の貨幣独占発行への見直しもにつながるだろう。

地域通貨や暗号資産(仮想通貨)の普及は、試行錯誤を繰り返しながらも進むだろう」

「株式会社にも変化の芽が育っている。

昨年夏にアマゾンやJPモルガン・チェースなどで構成する米経営者団体『ビジネス・ラウンドテーブル』は、従業員や地域社会を重視する事業運営に取り組むと宣言した。

こうした株主第一主義からの進化を新型コロナ収束後の経済は加速させるだろう。

中小の経営者は、日本型の経営スタイルを守りつつ新たな潮流への目配りが欠かせない」

(聞き手は松本治人)

財閥国有化に動く文在寅…“持たざる者の怨念”で総選挙圧勝を追い風に まずは大韓航空

2020-04-22 14:28:34 | 日記
財閥国有化に動く文在寅…“持たざる者の怨念”で総選挙圧勝を追い風に まずは大韓航空

4/21(火) 16:31配信

デイリー新潮


財閥国有化に動く文在寅…“持たざる者の怨念”で総選挙圧勝を追い風に まずは大韓航空

4月15日投開票の国会議員選挙で、与党が圧勝
 
総選挙で大勝した文在寅(ムン・ジェイン)政権が財閥国有化に動く――と、韓国観察者の鈴置高史氏は読む。

左派独裁の時代

鈴置:4月15日投開票の韓国の国会議員選挙で、与党「共に民主党」が圧勝しました。比例区の衛星政党「共に市民党」を含めれば、300議席中180議席を獲得したのです。

これで憲法改正以外はどんな法案も通せます。

検察官や裁判官、高級公務員を狙い撃ちにする「高官不正捜査庁」――韓国語を直訳すると「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」も7月の発足が可能になりました(「文在寅政権が韓国の三権分立を崩壊させた日 『高官不正捜査庁』はゲシュタポか」参照)。

文在寅政権が行政に加え司法、立法の三権を握り、やりたい放題できる「左派独裁の時代」が到来したのです。

――「新型肺炎に世界でもっとも上手に対処した」との宣伝が選挙に効いたのですね。

鈴置:ええ、「コロナ対策で『文在寅』の人気急上昇 選挙を控え『韓国すごいぞ!』と国民を“洗脳”」で指摘した、政権側のシナリオ通りになりました。

ただ、翌々日の4月17日から「左派が勝った原因は『コロナ』だけではない。そもそも韓国人は保守に愛想を尽かしている。というのに、保守の側がそれに気が付いていないのだ」といった論調が急速に広がりました。

保守の没落は構造的

――「保守に愛想を尽かした」となぜ、言えるのですか? 

鈴置:2016年の総選挙、2017年の大統領選挙、2018年の地方選挙に続き、今回の総選挙で保守が左派に4連敗したことが証拠です。

政治コンサルタント会社「ミン」のパク・ソンミン代表は中央日報のインタビュー「保守はすでに非主流なのに、彼らだけは自らを主流と思い込んでいる」(4月17日、韓国語版)で、そう指摘しています。

確かに「4連敗」は珍しく、それなりに説得力があります。韓国では「大統領に保守が当選すると、次の総選挙では野党が勝つ」あるいは、その逆になることが多い。

1987年まで続いたいわゆる「軍事独裁体制」への否定的な記憶から、国民は1つの政党が圧倒的な力を持つのを本能的に嫌うのだ、と説明されてきました。

朝鮮日報の2人の政治記者、キム・ヒョンウォン氏とイ・スルビ氏が書いた「まだ保守が多数と錯覚…強硬な支持層に振り回され中道層を失う」(4月17日、韓国語版)。この記事は得票率や議席数から保守の劣勢が明白になった、と主張しています。訳します。

・このところ、2強の構図で実施された大統領選挙では、それぞれの陣営の単一候補がきわどい拮抗を続けてきた。

2013年の大統領選挙では保守候補(朴槿恵=パク・クネ)が51・55%、進歩候補(文在寅)が48・02%を得た。

・2002年の大統領選挙では反対に、進歩候補(盧武鉉=ノ・ムヒョン)が48・91%、保守候補(李会昌=イ・ヘチャン)が46・58%の得票率だった。3%前後の僅差で勝敗が決まったのだ。

・しかし、今回の総選挙では保守陣営全体が議席の36・6%(110議席)を得るに留まった。有権者の陣営の構図が再編されたのではないかとの観測が出ている。きわどい均衡を維持してきた社会の理念の地形が変わり、保守よりも進歩層が厚い時代に入ったということだ。

「持たざる者」を見捨てた

――なぜ、「保守が構造的に没落した」のでしょうか。

鈴置:朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆は「持たざる者が増えたからだ」と言い切りました。

「2大政党ではなく日本式の『1・5党体制』の入口だ」(3月17日、韓国語版)を翻訳します。

・「共に民主党」の得票は、強固な全羅道の大量票と、30-40歳代を中心とする若年層の反・未来統合党票、そして韓国社会の格差が拡大するにつれて「持つ者」に反感を抱くようになった広範囲の階層の連合だ。

・1997年のIMF危機以降、韓国社会は本格的に両極化の道をたどり始めた。1995年に全人口の70%を超えていた中産層が、昨年は52%前後に下がった。



自らを中産層だと思っている人は52%よりもさらに少ない。韓国社会の衝撃的な構造変化だ。この大きな変化が政治の地形に影響を与えないなら、それこそおかしい。

・「3040世代」は1980年前後に生まれた人々で、民主化後に成長した世代だ。大学進学率は80%に達する。彼らが10-20歳代だった時、IMF通貨危機に見舞われた。経済の高度成長が止まったため、当然だった就職が夢物語となる苦痛を、身をもって経験した世代だ。

「持たざる者」の増加が保守の凋落を呼んだ、という見方はほかの記事でも共通しています。パク・ソンミン代表は「保守はすでに非主流なのに、彼らだけは自らを主流と思い込んでいる」で、以下のように語っています。

・富が一方に偏ったことに憤る人々が増えているというのに、保守は「市場に任せねばならぬ」と壊れたレコードのように唱えるばかり……。

世界と逆行、市場主義を信仰
――「市場に任せる」ことが問題、なのですか? 

鈴置:韓国での市場原理主義の浸透ぶりは日本の比ではありません。1997年の通貨危機の後、労働者の解雇は法律的にも社会的にも極めて容易になった。



「毎年、査定で下から10%の社員は自動的に馘首(かくしゅ)する」と宣言する企業も登場しました。

それまで日本の終身雇用をモデルにしていた韓国の企業社会が一転、米国式の市場原理を導入したのです。社会に恨みを持つ人が増えて当たり前です。



――今頃、「持たざる者」の投票行動に焦点が当たるのは? 

鈴置:いい質問です。世界中で貧富格差が問題化し、政治に与える影響が注目されている。資本主義の中心地、米国でさえ大統領の予備選挙にサンダース(Bernie Sanders)という社会主義者が出馬、かなりの支持を集めたのです。

というのに、なぜ韓国では今になってようやく「持たざる者」の投票行動が注目されるのか――。パク・ソンミン代表の以下の発言にヒントがあります。

・韓国の保守は1950年代から80年代までは安保保守が、90年代には市場保守が社会を主導した。その後は新しい保守が登場できないでいる。安保・市場保守が時代の流れを見逃したと見るべきだ。

韓国では通貨危機以降、市場原理主義が正義となった。その唱道者として保守は力を保ってきた――との説明です。

つまり、世界で市場原理主義に対する疑問が盛り上がる最中に、韓国人は逆にそれへの「信仰」を深めてきたということです。

そして今、韓国でもようやく市場原理主義への疑問が頭をもたげ始め、その結果、投票行動への影響が注目されるようになったわけです

日本式にしがみつく日本人

――なぜ、韓国では市場原理主義が「正義」に? 

鈴置:通貨危機で国家が破綻しかけたからです。底から脱出するには、厳しいリストラを実施して企業をスリムにするしか手がなかった。そこで指導層は「市場原理主義こそが正しい理念」と国民に思い込ませたのです。一種の洗脳です。

もちろん自分を解雇した会社に激しく抗議する人はいます。でも、昔のように広い同情は集めなくなった。新たな正義たる「市場原理」によるものだからです。

そもそも、「解雇自由」は韓国初の左派、金大中(キム・デジュン)政権が導入したのです。左派も表立っては市場原理主義に反対しにくい。

韓国人が日本を見下すようになったのも、日本の経済成長が止まったからだけではありません。市場原理主義者からすれば「新たな理念に臆病で、古臭いやり方にしがみついている日本」は、とんでもなく遅れた存在に見えるのです。


時流に乗ろうと押し合いへしあい
――「理念」がそんなに大事なのですか? 

鈴置:とてつもなく大事なのです、儒教社会では。理念が命なのです。それに加え、韓国人には根深い先進国コンプレックスがあって、自分たちが「時代の流れ」に乗っているかを異様に気にします。

――パク・ソンミン代表も「時代の流れを見逃した」と言っていますね。

鈴置:韓国人はしばしば「時代精神」という単語を使います。時代ごとにその時代を主導する特定の精神――理念がある、との発想です。そして皆がその「時代精神」にいち早く乗ろうと、押し合いへしあいするのが韓国社会です。要は「時流」に乗る競争です。

19世紀末、西洋化に出遅れたばかりに、それに先んじた日本に植民地化されたというトラウマからです。この心の傷は容易に癒しがたいものがあります。

 
だから、韓国を眺める者は韓国紙に「保守の時代が終わった」「持たざる者を代弁する進歩――左派こそが主流だ」との記事が載るのを、見落としてはならないのです。

本当にそうなのかは分からない。しかし、皆が言い始めると「時代精神」に昇華し、本当に国がその方向に動くことが多いからです。

CPを買わない韓国銀行

――具体的にはどう動くのですか? 

鈴置:財閥征伐――国有化です。

財閥こそは市場原理主義の象徴だからです。今、各国政府が企業の救済に動いています。ところが韓国政府は、中小企業は助けても大企業の救済には冷淡です。

多くの国で、大企業が発行するCP(コマーシャル・ペーパー)を中央銀行が大量に買って資金を供給しているのに、韓国銀行は一切、動かない。

韓銀は「法律上難しい」と説明しますが、やりようはいくらでもある。文在寅政権が、韓銀の財閥救済に歯止めをかけている、との見方が一般的です。

そこを社説で突いたのが朝鮮日報です。「このままでは数か月もすれば大企業も倒れる」(4月10日、韓国語版)、

「コロナ危機支援にも『反大企業か』」(4月14日、韓国語版)と、繰り返し「大企業が倒れれば元も子もない」と政策転換を迫りました。

が、文在寅政権は馬耳東風。

――最後まで助けないつもりでしょうか、文在寅政権は。

鈴置:財閥を破綻させるか、その寸前まで追い詰め、オーナーから経営権を取り上げるつもり、と韓国の保守は見ています。

 
この政権がスタートした時に「100大国政課題」を定めましたが、その1つが「財閥総帥一家の専横防止と所有・支配構造の改善」です。

この「財閥征伐」は容易ではないので手付かずでしたが、大企業の資金繰りが苦しくなった今、発動する可能性が高まりました。

中央日報も「巨大与党背負った文在寅政権、これからは経済立法? 支配構造改革押し進めるか」(4月19日、日本語版)でそれを指摘しました。

国有化は大韓航空から? 

――すべての財閥を国有化するというのですか? 

鈴置:さすがに、それは難しい。まず、血祭りにあげるのは資金繰りが苦しいうえ、国民から反感を買っている財閥です。韓国では、大韓航空に注目が集まっています。

大韓航空は「NO JAPAN運動」で経営が苦しくなっていたところに新型肺炎が追い打ちをかけました。オーナー一族の間でお家騒動も起きています。

中央日報の「流動性危機が迫る大韓航空」(4月18日、日本語版)は以下のように報じました。

・売り上げは急減する中(中略)満期が今月到来の社債だけでも2400億ウォン(約213億円)にのぼる。事実上、今月中に資金が底を突くということだ。

――大韓航空と言えば「ナッツリターン」で有名ですね。

鈴置:オーナー一族の専横を絵に描いたような事件でした。大韓航空から一族を追い出して国有化しても、反対する人はまあ、いない。ほとんどの国民が拍手喝さいするでしょう。

そんな会社だから2018年以降、文在寅政権は大株主である国民年金基金を通じ、経営への介入に動いてきたのです(「文在寅で進む韓国の『ベネズエラ化』、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”」参照)。

もちろん、大韓航空は手始め。財閥国有化の本丸はサムスン電子と見る人が多い。それはいつかじっくりとお話しますが。

「ベネズエラ化」に期待する人々

――国有化と言えば、左右対立が激化して混乱するベネズエラにますます似てきます……。

鈴置:ええ、韓国の保守が懸念していた通りです。先に引用したパク・ソンミン代表が興味深い指摘をしています。

・優秀と自認する彼ら(保守)が座って語るのは『文在寅政権という異常な奴らのために国が滅び、ベネズエラのようになる、ああ嘆かわしい』に尽きる。彼らはすでに非主流になったのに、彼らだけは自らを主流だと思い込んでいるのだ。

パク・ソンミン代表は「ベネズエラ化」がいいとか悪いとか言ってはいません。「ベネズエラ化を恐れる人ばかり」と思い込んでいる保守の傲慢を叱ったのです。

――「ベネズエラ化していい」と言う韓国人もいるのですか? 

鈴置:「持たざる者」の中には、そう考える人もいます。ネットの書き込みで散見されます。失うものがない人にとって、現状変更はすなわちチャンスなのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月21日 掲載


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