勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国の文大統領が、韓国経済の現状を「戦時財政」と呼ぶほど財政に依存する状態になった。
コロナ禍で、韓国経済が痛めつけられているからだ。職を失った人たちは過去最大の規模に達している。
輸出依存経済であり、もともと内需の基盤が弱いという脆弱性を抱えている。コロナ禍は、この弱い内需を直撃している。
『ブルーンバーグ』(5月26日付)は、「韓国の5月の消費者心理指数、世界金融危機以来の低水準から回復」と題する記事を掲載した。
韓国の5月の消費者信頼感は、前月記録した世界金融危機以来の低水準から回復した。
新型コロナウイルス感染拡大を抑制する取り組みが成果を挙げ、経済に対する懸念が幾分和らいだ。
(1)「韓国銀行(中央銀行)が26日発表した5月の消費者心理指数は77.6と、約11年ぶりの低水準だった4月の70.8から回復。上昇幅は3年ぶりの大きさだったが、なお100を大きく下回っており、悲観的な回答が楽観的な回答より多いことを示している」
コロナ不況は、2008年のリーマンショックと同じく、消費者心理を急激に引下げている。
5月の消費者心理指数は77.6と、4月の70.8から回復しているが、その回復幅は水面下(100以上が正常状態)であること。
また、08年時の回復幅をはるかに下回っている。08年時の消費者心理指数は、マイナス下でいったん回復しながら持続せず、再び低下するジグザグ状況を描いた。水面に出たのは翌09年5月である。
このリーマンショック時の消費者心理の悪化状況を見れば、今回のコロナ禍に伴う打撃は短期回復を望める状況にないことを示唆している。
しかも、コロナ禍では社会的距離を置いた生活を余儀なくされる。経済活動には相当の制約がかかっているだけに、早期回復は不可能であろう。
(2)「韓国銀行は28日に金融通貨委員会を開く。消費者信頼感の回復を委員会がどのように解釈するかが、政策金利決定の重要な要因となる見込み。大半のアナリストは中銀が政策金利を0.25ポイント引き下げて0.5%にすると予想しているが、据え置くとの見方もある。新型コロナ感染件数の鈍化で景気や家計収入の先行きに対する消費者信頼感が改善したと韓国銀行は発表資料で説明した」
下線部分は、韓国銀行の苦し紛れの説明と言わざるを得ない。コロナ禍は、第二波、第三波のぶり返しが危惧されている。こういう状態では警戒心が強く、消費者心理が右上がり状況になると見るのは楽観的過ぎるのだ。
このように判断するのは、過去最大の離職者を出していることである。最低賃金の大幅引き上げというミスも重なり、雇用改善の見込みはない。
『ハンギョレ新聞』(5月18日付)は、「今年に入り200万人以上が失職、史上最多」と題する記事を掲載した。
年初から4月までに失職した人の規模は200万人を超え、史上最多となった。景気不振に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散による雇用ショックが加わったことで失職者が増えたものだが、特に休業や廃業などによる非自発的な理由による失職者が急増している。
(3)「今年1月から4月18日までの間に職場を辞めた人は207万6346人で、前年同期(165万754人)より42万5582人(25.8%)増えた。
2015年から昨年まで同期間の失職者数は150万~160万人台を維持していた。失職時期の調査が開始された2000年以降、200万人を超えたのは今年が初」
今年1月から4月18日までの間に、職場を辞めた人は207万6346人と前年比25.8%増である。過去の同期間では、150万~160万人台であったから、韓国は「大失業時代」へ突入している。
政府は、「K防疫の成功」と自画自賛しているが、大変な数の離職者を出しているのだ。
(4)「そのうち非自発的な失職者は104万4720人で、前年に比べ43万615人(70.1%)も増加した。
非自発的失職の理由では「職場の休業や廃業」が15万9932人で、前年(6万4000人)に比べ149.9%の増加。
「名誉退職、早期退職、整理解雇」は20万5454人で、前年(10万5402人)より94.9%の増加。
「臨時または季節的仕事の完了」は33万4937人で、前年(23万4420人)より42.9%の増加。「仕事がない、または事業不振」は34万4397人で、前年(21万283人)より63.8%の増加だ」。
数字ばかり多くて辟易するが、少し我慢していただきたい。
非自発的な失職者は104万4720人もいることに注目したい。
非自発的失職とは、自分の意思で失職したのでなく、首を切られたということ。
全体の失職者が前記の通り207万6346人である。
首を切られた人は、50.3%も占めている。
これでは、まさに「首切り旋風」に遭遇していると言うほかない。
問題は、この大量失職者が今後さらに増えることである。
文大統領が、「戦時財政」と緊張するのは当然だ。
韓国国民は、文大統領を選んで「失敗した」という局面を迎えるに違いない。
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国の文大統領が、韓国経済の現状を「戦時財政」と呼ぶほど財政に依存する状態になった。
コロナ禍で、韓国経済が痛めつけられているからだ。職を失った人たちは過去最大の規模に達している。
輸出依存経済であり、もともと内需の基盤が弱いという脆弱性を抱えている。コロナ禍は、この弱い内需を直撃している。
『ブルーンバーグ』(5月26日付)は、「韓国の5月の消費者心理指数、世界金融危機以来の低水準から回復」と題する記事を掲載した。
韓国の5月の消費者信頼感は、前月記録した世界金融危機以来の低水準から回復した。
新型コロナウイルス感染拡大を抑制する取り組みが成果を挙げ、経済に対する懸念が幾分和らいだ。
(1)「韓国銀行(中央銀行)が26日発表した5月の消費者心理指数は77.6と、約11年ぶりの低水準だった4月の70.8から回復。上昇幅は3年ぶりの大きさだったが、なお100を大きく下回っており、悲観的な回答が楽観的な回答より多いことを示している」
コロナ不況は、2008年のリーマンショックと同じく、消費者心理を急激に引下げている。
5月の消費者心理指数は77.6と、4月の70.8から回復しているが、その回復幅は水面下(100以上が正常状態)であること。
また、08年時の回復幅をはるかに下回っている。08年時の消費者心理指数は、マイナス下でいったん回復しながら持続せず、再び低下するジグザグ状況を描いた。水面に出たのは翌09年5月である。
このリーマンショック時の消費者心理の悪化状況を見れば、今回のコロナ禍に伴う打撃は短期回復を望める状況にないことを示唆している。
しかも、コロナ禍では社会的距離を置いた生活を余儀なくされる。経済活動には相当の制約がかかっているだけに、早期回復は不可能であろう。
(2)「韓国銀行は28日に金融通貨委員会を開く。消費者信頼感の回復を委員会がどのように解釈するかが、政策金利決定の重要な要因となる見込み。大半のアナリストは中銀が政策金利を0.25ポイント引き下げて0.5%にすると予想しているが、据え置くとの見方もある。新型コロナ感染件数の鈍化で景気や家計収入の先行きに対する消費者信頼感が改善したと韓国銀行は発表資料で説明した」
下線部分は、韓国銀行の苦し紛れの説明と言わざるを得ない。コロナ禍は、第二波、第三波のぶり返しが危惧されている。こういう状態では警戒心が強く、消費者心理が右上がり状況になると見るのは楽観的過ぎるのだ。
このように判断するのは、過去最大の離職者を出していることである。最低賃金の大幅引き上げというミスも重なり、雇用改善の見込みはない。
『ハンギョレ新聞』(5月18日付)は、「今年に入り200万人以上が失職、史上最多」と題する記事を掲載した。
年初から4月までに失職した人の規模は200万人を超え、史上最多となった。景気不振に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散による雇用ショックが加わったことで失職者が増えたものだが、特に休業や廃業などによる非自発的な理由による失職者が急増している。
(3)「今年1月から4月18日までの間に職場を辞めた人は207万6346人で、前年同期(165万754人)より42万5582人(25.8%)増えた。
2015年から昨年まで同期間の失職者数は150万~160万人台を維持していた。失職時期の調査が開始された2000年以降、200万人を超えたのは今年が初」
今年1月から4月18日までの間に、職場を辞めた人は207万6346人と前年比25.8%増である。過去の同期間では、150万~160万人台であったから、韓国は「大失業時代」へ突入している。
政府は、「K防疫の成功」と自画自賛しているが、大変な数の離職者を出しているのだ。
(4)「そのうち非自発的な失職者は104万4720人で、前年に比べ43万615人(70.1%)も増加した。
非自発的失職の理由では「職場の休業や廃業」が15万9932人で、前年(6万4000人)に比べ149.9%の増加。
「名誉退職、早期退職、整理解雇」は20万5454人で、前年(10万5402人)より94.9%の増加。
「臨時または季節的仕事の完了」は33万4937人で、前年(23万4420人)より42.9%の増加。「仕事がない、または事業不振」は34万4397人で、前年(21万283人)より63.8%の増加だ」。
数字ばかり多くて辟易するが、少し我慢していただきたい。
非自発的な失職者は104万4720人もいることに注目したい。
非自発的失職とは、自分の意思で失職したのでなく、首を切られたということ。
全体の失職者が前記の通り207万6346人である。
首を切られた人は、50.3%も占めている。
これでは、まさに「首切り旋風」に遭遇していると言うほかない。
問題は、この大量失職者が今後さらに増えることである。
文大統領が、「戦時財政」と緊張するのは当然だ。
韓国国民は、文大統領を選んで「失敗した」という局面を迎えるに違いない。