喧(かまびす)しい朴槿恵(パク・クネ)声明。はたして、「年始にふさわしい?」声明か、それとも「世論に媚びる声明か?」
朴大統領「分断終え統一の道を」 北朝鮮は韓国批判
韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は12月31日、新年を迎えるにあたっての「新年の辞」を発表し、2015年が南北分断から70年になることに触れ、「断絶と葛藤の分断70年を終え、実質的で具体的な統一基盤を構築し、統一の道を開いていく」と決意を述べた。
だが、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞(電子版)は31日、「今日の北南関係の現実はあまりにも険悪だ」とし、その原因は韓国側にあると主張。韓国側に「時代錯誤な対決政策を撤回すべきだ」と求めるなど、南北関係改善の見通しは立っていない。(ソウル=貝瀬秋彦) :朝日新聞デジタル 2014年12月31日20時14分
こういう新年にふさわしい「格調高い?」声明を聞いた日本人の中には「朴槿恵は立派だ」と受け取る人がいるものですが、美しい言葉には裏があるようでして・・・・・・。
- まず北朝鮮が「韓国主導の統一願望を時代錯誤」として一蹴していることに注目すれば、北朝鮮独特の視点では「韓国にはそんな主張をする資格がない」というところ。しかし私にも独特の視点があり「北朝鮮にもそんな主張をする資格がない」になります。資格「四角」がないのですから、中国式の「丸」のテーブルにしますか(笑)。
- つまり「資格のない」北朝鮮が韓国に対して「資格がない」と批判し、その「資格がない」韓国が日本に対して実に偉そうに「資格がない」発言を繰り返すのが常で、複雑にして怪奇な日朝韓の関係を表わしています(大笑)。
- 私は、南北朝鮮両国に「資格がない」ことを平気で絶叫する習性あり、とみました。
南北統一問題についても
- 金将軍家の存続が条件で、北朝鮮主導の朝鮮統一を信じて疑わない北朝鮮。
- 韓国としては、分割前を知る多くの高年齢層が統一を支持するのに対し、若い世代はそう考えない人がいるのかも。これは、中国で年配の人が北朝鮮を支持するのに対し、若い人にはそんな感傷はない、のに似ています。
東西ドイツ統一〔1990年〕から25年が経過したとのこと。
- 西ドイツは、東ドイツの倍以上の経済力を乗り越えて統一したものの、25年経過してもなお東西で経済格差が残っているようです。
- ですから韓国が経済規模1/40程度の北朝鮮を併合してしまったときの格差はどれほど続くのか想像ができません。両国、特に韓国がこれを覚悟して南北統一する覚悟があるかどうか、が問題でしょう。この統一に際し日本が多くの援助をすることで北朝鮮への戦後賠償とするという筋道は、誰もが考えることでしょうが、実現の可能性があるや否やというところ。
現在、朝鮮半島の南北でどれだけの経済格差があるかを正確に推し量るすべがないけれども、次のようなのが参考になるでしょうか。
- 「韓国中央銀行の推計では、韓国経済は1兆4000億ドル(約161兆円)規模で、北朝鮮の40倍超」と報じるのが米WallStreetJournal日本語版
- 韓国の経済規模は 1,304(10億US$)、つまり1.3兆ドルで世界14位(ランキング)。一方北朝鮮はWikipediaでは300~400億ドル。
経済規模の推定は
西独:東独 = 2:1(統一される直前)
韓国:北朝鮮 = 40:1(分割された現在)
人口の比較は
西独:東独 = 4:1(1990年)
韓国:北朝鮮 = 2:1(分割された現在)
くらいでしょうか。
ドイツの統一と朝鮮半島の統一を比べると
- 「同一民族間での戦争の有無」が朝鮮半島とドイツの違いですから、同じように考えることはできません。
- ということであくまでも参考程度に東西ドイツの統合を見るだけですが、南北朝鮮の統合が経済的にどれほど困難か、くらいなら、十分にわかってきます。
- 東ドイツには、ソ連(現在のロシア)という「経済が破綻しつつあり東ドイツを見放し始めた背後霊」があったからこそ、東西ドイツの統合が実現しました。
そうすると
北朝鮮には、中国という「経済が破綻しつつあり北朝鮮を見放し始めた背後霊」がある今2015年こそ、南北統合に踏み出す年
ではないか、とみておきます(笑)。
そうこうしていると、元旦になって次のようなニュースが見られました。
韓国統一相「近いうち南北対話開催を期待」
【ソウル=宮崎健雄】韓国の柳吉在リュギルジェ統一相は1日、北朝鮮の金正恩キムジョンウン第1書記が南北首脳会談も可能との立場を打ち出したことを受け、「近いうちに形式にこだわらない南北当局間の対話が開催されることを期待する」と述べた。:2015年01月01日 22時10分 読売新聞
新春早々に、連続して韓国政府から2つの「南北統一願望」声明が出されました。はたしてこれが真意なのか、それとも例によってだまし合う朝鮮半島特有のアドバルーン観測に終わるのか、見ものですね。