カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

フランスの銃撃立てこもり事件

2015年01月10日 08時35分11秒 | 海外

フランスのパリで

イスラム過激派が、銃撃立てこもり事件を起こし、容疑者3人と人質4人の死者が出たようですが、何とか一段落したとのこと。

犯人たちが、神は偉大なり〔アッラー(フ)・アクバル〕、と叫んだからといっても宗教問題ではなく、どこにでもあり得る過激派が起こした事件だ、とする見方があり、私もそれには賛成しますが・・・・

まずは、かつてサミュエル・ハンティントン〔1927-2008〕が

  • 西洋の傲慢
  • イスラムの不寛容
  • 中華の独善

と主張した通り、冷戦終結後になって(私は終結したと思っていませんが)文明と宗教が衝突している、と思われます。

困ったもので、いつも人類は何かで「衝突」しなければ気が済まないのでしょうか。中国を見ていてもそう感じます。

私の見るところでは、

  1. ヨーロッパ地域が、キリスト教系とはいえ多くの難問をかかえながらも、宗教色を薄めたからこそEU統合を成し遂げられたこと
  2. そしてEU共通の人権意識あるいは傲慢な思想が芽生え始めたこと
  3. やや安定したことで旧植民地国から多くの移民を受け入れてきたこと
  4. 移民先で、移民たちには生誕地ではあり得なかった人権意識と自由の権利が芽生え、移民先で誕生した人たちにはイスラム教から離脱する権利がないこともあり、宗教的な異質感・差別感を感じてイスラム教へ逃避し、むしろイスラム教色が強まってきたこと
  5. これは宗教色を薄めて成り立った「EUが目指す方向」と逆行する、と感じた人が多かったこと
  6. 移民やその子孫たちが、近年フランスで成立した「自由を尊重するが故に、公共の場所で宗教色を出すことを禁じる」制度にもなじめなかったこと
  7. 被差別という葛藤への対応ができず、その中にはイスラム過激思想に走って打開しようと考える者も出てきて、今回のような事件を起こしたこと
  8. これからも同様の事件は避けられないだろうこと
  9. EUは「武力弾圧によらない民族対立・宗教対立の解決策」を少なくともこの10年間程度で見つけて、中国との違いを見せつける〔詳しくは文末で〕必要があること

などを考えてしまい、この事件の背景に

西洋の傲慢イスラムの不寛容

の衝突がある、と私は考えています。

今回の事件そのものには宗教問題がないと信じていますが、実はこのような背景があるのではないか、と愚考するしだいです。 

テロと戦うことは重要で、中国のように暴力で威嚇するのを許してはならず、事実各国からの賛同の意見もあるとのことですが、同時に「西洋の傲慢とイスラムの不寛容」の対立をどうするかという大変困難な問題が残っていて、いまのところその解決策は見られません。



最後に、今回の事件と中国での暴動との違いについて

中国は、世界中で起こっている近年の反テロ志向を利用し、中国国内での「中国共産党に対する暴力事件」を「テロ行為」とみなしています。

それはそうとも言えますが、大切なことが抜けています。

今回の事件とはその背景が異なるでしょうが、中国では年間10万件もの暴動が起こっていて中国は「中華の独善性」ゆえに「中国共産党一党独裁に反抗するイスラム教徒や仏教徒を武力弾圧」しています。これは問答無用とばかり武力侵略して領土を広げた代償ともいうべきもの。

実はそれこそが、国家によるテロ行為ではないか、と思うのです。

  • 「暴力・武力を使って一党独裁を通そうとしている」ことから、中国共産党が設立した中華人民共和国そのものが、「テロ支援国家」ではなく「テロ国家」に近い、という意味です。昨年のイスラム国同様ではないか。
  • 60年前の中国によるチベット侵略、中国国内での文化大革命・天安門事件などを知っている私としては、そう判断しています。
  • 近年の東アジアでの海洋進出を見ていると、まさに問答無用の暴力国家ではないでしょうか。

そしてそのような薄汚い中華人民共和国を、為替操作などの金融政策でだまして金儲けしようとする国も、また見られるのでした。

 

この事件を活かすためにも、EUで、国家による国内テロを実行し続けている中国共産党の横暴に批判が集まる、ことを期待します。なぜか中国の横暴には決して触れたがらない日本人(特に沖縄に多い)がまだまだいるため、私はこう述べなければならないと思うのでした(笑)。