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地方自治の危機(追記5)… 裁判所の「調停」の不思議な実態

2015-09-17 15:17:00 | 地方自治
  裁判所の危うさに関連して、平成23年に民事調停を経験したときも同じ思いをしたことがある。単なるクレーマーではないかと言われるのを恐れるが、判断をお願いしたのは、既述の長野地方裁判所の件と、ここで述べる、長野地裁諏訪支部に申し立てた「調停」の二回だけである。いずれも裁判所には、役所の行為の理不尽さに同意してもらえると信じて、当初は恐る恐る書類を提出したものだったが、事後にはいずれにも不信感だけが残った。
 民事調停の申し立て内容は、「市長と住民の懇談会において私が発言した内容だけが、ネットで公開された議事録からそっくりカットされていた」事に対する異議であった。すなわち、『諏訪市は各地域住民の代表を、旧町村(現在は「区」と呼んでいる)の区長とみなして話を聞いたり補助金を出すが、「区」という組織は、全住民の半数近くを占める、主に転入者であるアパート居住者の意思を反映できていない。私の区では、アパート居住者は区民総会に召集されない。「区」は住民を代表した組織でなくなっているので、長野市の「住民自治協議会」のような新組織を考えるべきである』という意見を述べたが、議事録では発言が無かったことになっていた。
  民事調停について最高裁判所発行のパンフレット(本文末の添付図参照)によれば、「裁判官と民間から選ばれた2人以上の調停委員が、トラブルの実情を聴いて、解決方法を考える」とある。「調停期日」という欄の図を見ると、あたかも調停主任裁判官、書記官、2人の調停委員、それに申立人と相手方が一堂に会して話し合いをすることが連想され、私は期待していた。
 しかし、実態は大きく異なった。たった1人の調停委員および書記官1人が、申立人と相手方(市の担当者)を別々に部屋に呼んで意見を聴き、申立人と相手方が顔を合わせて話す事は無かった。1人の調停委員(どのような方が分からないが、普通の民間人)を介してそれぞれの主張を交互に伝え合うだけで、挙句、早々に「調停不成立」として、最後に裁判官が登場して一言も発せずに書類にサインをして終了した。調停書もくれないのでよく分からないが、相手方は調停会場に来なくてもよいので、来てくれただけでも有難いと思わなければいけないという。たった1人の調停委員が納得した内容は、「議事録に載せるかどうかは市の裁量の範囲」という相手方の主張だったらしい。
  私の意見を公にすれば、役所の守旧的仕事を改める必要に迫られることを恐れたのかもしれない。これとてどうでもよい話ではないと思うが、裁判所にはもっと深刻な調停案件も多く持ち込まれるはずである。下級裁判所は、最高裁の作成したパンフレットにある原則通りの仕事を真摯に実行していただきたい。

 

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