🌸制作は時代との格闘🌸
みやざき中央新聞が、法人21期の決算も終わり、7月から22期を迎えました。
先日、長崎読者会を開催しましたが、
読者会でよく「毎週よくあのような社説が書けますね?」と質問されます。
そういう時、私は「楽しみながら必死で書いていますから」と答えています。
編集長は、社説を1本書き上げても、また次の週には新しい社説を書かないといけません。
そのため、いつも本を読み、車の運転や歩いているときは、オーディオブックで何か聞いています。
「創る」というのは大変な作業ですね。
最近、スタジオジブリ代表・鈴木敏夫著『ジブリの仲間たち』を読み、一つの作品を作り上げることの凄まじさを垣間見ました。
勧善懲悪のドラマや映画などは、見た後スッキリするものですが、
宮崎駿監督作品は、見た後に何かしら宿題をもらったような「もやもや感」がありました。
その本を読んで、その意味が分かった気がしました。
例えば、私の好きな『千と千尋の神隠し』は、
最初はトンネルの向こうの不思議な世界に迷い込んだ「千尋」が、「ハク」という少年と協力して、
その町を支配する「湯婆婆(ゆばーば)」、
そして姉の「銭婆(ゼニーバ)」と戦う過程で、
2人の間に愛が芽生えるというラブストーリーだったそうです。
ところが、何か違うと感じた鈴木さんの意見を受けて、
宮崎監督生は構想を変え、
ほんのわずかな登場シーンしかなかった「カオナシ」を全面に出すことにしました。
「湯屋」という温泉宿に入ってきて、大暴れする「カオナシ」は、
人間の心の底にある闇、
心理学でいう「無意識」を象徴しています。
それが人間の欲望を飲み込みながら肥大化していくのです。
しかし、「千尋」だけは「カオナシ」の誘惑に乗りません。
物語は、「千尋」が失った自分の名前と、
豚にされた両親を取り戻すために働き、
成長していく話に変わりました。
「制作は時代との格闘だ」という鈴木さん。
「千尋」と「ハク」のラブストーリーでも、それなりのヒット作になっていたでしょう。
しかし、「千尋とカオナシ」の物語という新しい展開にしたことで、
それが今の時代に受け入れられ、空前の国民的大ヒットに繋がったというのです。
バブル崩壊以降、映画はテーマを失って行きました。
戦後から高度成長期までは「貧しさの克服」や「恋愛」をテーマにすればヒットしたのですが、
今の時代は人々の求めるものが変わってきたのです。
「映画はストーリを売るんじゃない。哲学を売るんだ」。
鈴木さんは「カオナシ」を前面に出し、難しいテーマを娯楽的に表現してPRしました。
みやざき中央新聞も、この「時代」と格闘しながら創っていきます。
今期もどうぞよろしくお願いします。
(「みやざき中央新聞」松田さんより)
みやざき中央新聞が、法人21期の決算も終わり、7月から22期を迎えました。
先日、長崎読者会を開催しましたが、
読者会でよく「毎週よくあのような社説が書けますね?」と質問されます。
そういう時、私は「楽しみながら必死で書いていますから」と答えています。
編集長は、社説を1本書き上げても、また次の週には新しい社説を書かないといけません。
そのため、いつも本を読み、車の運転や歩いているときは、オーディオブックで何か聞いています。
「創る」というのは大変な作業ですね。
最近、スタジオジブリ代表・鈴木敏夫著『ジブリの仲間たち』を読み、一つの作品を作り上げることの凄まじさを垣間見ました。
勧善懲悪のドラマや映画などは、見た後スッキリするものですが、
宮崎駿監督作品は、見た後に何かしら宿題をもらったような「もやもや感」がありました。
その本を読んで、その意味が分かった気がしました。
例えば、私の好きな『千と千尋の神隠し』は、
最初はトンネルの向こうの不思議な世界に迷い込んだ「千尋」が、「ハク」という少年と協力して、
その町を支配する「湯婆婆(ゆばーば)」、
そして姉の「銭婆(ゼニーバ)」と戦う過程で、
2人の間に愛が芽生えるというラブストーリーだったそうです。
ところが、何か違うと感じた鈴木さんの意見を受けて、
宮崎監督生は構想を変え、
ほんのわずかな登場シーンしかなかった「カオナシ」を全面に出すことにしました。
「湯屋」という温泉宿に入ってきて、大暴れする「カオナシ」は、
人間の心の底にある闇、
心理学でいう「無意識」を象徴しています。
それが人間の欲望を飲み込みながら肥大化していくのです。
しかし、「千尋」だけは「カオナシ」の誘惑に乗りません。
物語は、「千尋」が失った自分の名前と、
豚にされた両親を取り戻すために働き、
成長していく話に変わりました。
「制作は時代との格闘だ」という鈴木さん。
「千尋」と「ハク」のラブストーリーでも、それなりのヒット作になっていたでしょう。
しかし、「千尋とカオナシ」の物語という新しい展開にしたことで、
それが今の時代に受け入れられ、空前の国民的大ヒットに繋がったというのです。
バブル崩壊以降、映画はテーマを失って行きました。
戦後から高度成長期までは「貧しさの克服」や「恋愛」をテーマにすればヒットしたのですが、
今の時代は人々の求めるものが変わってきたのです。
「映画はストーリを売るんじゃない。哲学を売るんだ」。
鈴木さんは「カオナシ」を前面に出し、難しいテーマを娯楽的に表現してPRしました。
みやざき中央新聞も、この「時代」と格闘しながら創っていきます。
今期もどうぞよろしくお願いします。
(「みやざき中央新聞」松田さんより)