🌸🌸プロデューサー🌸🌸
早いもので、ウシオ電機の経営に携わり53年になります。
これまで様々な試練を乗り越え、会社を維持発展させていきましたが、
いま私たちが直面する変化は、そうした自らの経験に照らしても並外れています。
この未知の状況に対応していくためにも、
リーダーはよきプロデューサーでなければならないという思いを私は強くしています。
かつて日本では、ソニーの井深大さんや、本田技研工業の本田宗一郎さんのように、
主役兼演出家タイプの経営者が個性的な構想で将来を切り開いていく姿が見えました。
しかし、現在のようにグローバル化、IT化が進み、経営にまつわるファクターが、ここまで複雑かつ多岐に渡ってくると、
1人の人間が組織全体を引っ張っていくのは容易ではありません。
時代の大きな流れを読みつつ、要所要所に適切な人材を配置し、それらを統括して収益に結びつけていく。
昨今の経営者には、こうしたプロデューサー的役割が、これまで以上に求められる時代になったことを痛感しているのです。
創業以来、最先端の光源開発で急成長を遂げてきたウシオ電機では、
未知の仕事ゆえに経験者を求めようもなく、
また計画的に人員を配置していく余裕もありませんでした。
とにかく別の仕事で成功した社員をどんどん登用していくしかなかったわけですが、
結果的に登用した人は私の期待に見事に応え、会社の発展に大きく貢献してくれました。
私は仕事を人に任せる際、その仕事の現状と将来の展望を伝え、
どのようなルートでそこに至るかは本人の裁量に任せるようにしてきました。
当初はあまり意識こそしていませんでしたが、プロデューサー的なリーダーシップをとることによって、
各人の持つ力を上手く引き出すことができたのです。
ちなみに、これからの時代は男女の力を十分に生かしていくことが、組織の発展に不可欠な条件となるでしょう。
とりわけ女性は、自分の専門や実績に固執しがちな男性に比べ、
時代の変化により敏感な印象があります。
そうした女性の長所をうまく活用できるプロデューサーが、
この大転換期に組織をしっかりと導いていけると思うのです。
一口にプロデューサーといってもいろんなタイプがあり、プロデューサーでありながら演出を務める人、あるいはプロデューサーを務めながら脚本を手がける人もいます。
映画『市民ケーン』などの傑作で知られるオーソン・ウェルズに至っては、
プロデューサーと監督、製作、脚本を兼務し、さらには主演までこなしています。
リーダーの個性により、様々なタイプのプロデューサーがあってよいと私は思います。
ヤマト運輸元会長の小倉昌男さんは、宅急便という画期的なサービスを創造した名プロデューサーです。
小倉さんの実家の運送会社は、創業時より百貨店の配送を専門で請け負っていました。
しかし、立場の弱い下請けのままでは将来はないと考えた小倉さんは、
経営の実権を握ると思い切って百貨店との取引を打ち切り、
独自に個人向け小口貨物配送サービスを始め、大成功を収めたのです。
アメリカからやってきたアマゾンも、小倉さんが礎を築いた宅配網がなければ、
日本でここまで大きな成功を収めることはできなかったでしょう。
卓越した先見性と実力を兼ね備えたプロデューサー・小倉さんの実績は、
いまを生きる私たちにも多くの教訓を与えてくれます。
日本の城には、四方を見渡せる高い天守閣があります。
城主はそこへ登ることによって時代を肌で感じ、大きな決断を下すことができたのだと思います。
未曾有の大変化を迎えたいま、
私たちはより高い、天守閣の視点で今後の趨勢を見極め、
果敢に道を開いていくプロデューサーでありたいものです。
(「致知」1月号 牛尾治朗さんより)
早いもので、ウシオ電機の経営に携わり53年になります。
これまで様々な試練を乗り越え、会社を維持発展させていきましたが、
いま私たちが直面する変化は、そうした自らの経験に照らしても並外れています。
この未知の状況に対応していくためにも、
リーダーはよきプロデューサーでなければならないという思いを私は強くしています。
かつて日本では、ソニーの井深大さんや、本田技研工業の本田宗一郎さんのように、
主役兼演出家タイプの経営者が個性的な構想で将来を切り開いていく姿が見えました。
しかし、現在のようにグローバル化、IT化が進み、経営にまつわるファクターが、ここまで複雑かつ多岐に渡ってくると、
1人の人間が組織全体を引っ張っていくのは容易ではありません。
時代の大きな流れを読みつつ、要所要所に適切な人材を配置し、それらを統括して収益に結びつけていく。
昨今の経営者には、こうしたプロデューサー的役割が、これまで以上に求められる時代になったことを痛感しているのです。
創業以来、最先端の光源開発で急成長を遂げてきたウシオ電機では、
未知の仕事ゆえに経験者を求めようもなく、
また計画的に人員を配置していく余裕もありませんでした。
とにかく別の仕事で成功した社員をどんどん登用していくしかなかったわけですが、
結果的に登用した人は私の期待に見事に応え、会社の発展に大きく貢献してくれました。
私は仕事を人に任せる際、その仕事の現状と将来の展望を伝え、
どのようなルートでそこに至るかは本人の裁量に任せるようにしてきました。
当初はあまり意識こそしていませんでしたが、プロデューサー的なリーダーシップをとることによって、
各人の持つ力を上手く引き出すことができたのです。
ちなみに、これからの時代は男女の力を十分に生かしていくことが、組織の発展に不可欠な条件となるでしょう。
とりわけ女性は、自分の専門や実績に固執しがちな男性に比べ、
時代の変化により敏感な印象があります。
そうした女性の長所をうまく活用できるプロデューサーが、
この大転換期に組織をしっかりと導いていけると思うのです。
一口にプロデューサーといってもいろんなタイプがあり、プロデューサーでありながら演出を務める人、あるいはプロデューサーを務めながら脚本を手がける人もいます。
映画『市民ケーン』などの傑作で知られるオーソン・ウェルズに至っては、
プロデューサーと監督、製作、脚本を兼務し、さらには主演までこなしています。
リーダーの個性により、様々なタイプのプロデューサーがあってよいと私は思います。
ヤマト運輸元会長の小倉昌男さんは、宅急便という画期的なサービスを創造した名プロデューサーです。
小倉さんの実家の運送会社は、創業時より百貨店の配送を専門で請け負っていました。
しかし、立場の弱い下請けのままでは将来はないと考えた小倉さんは、
経営の実権を握ると思い切って百貨店との取引を打ち切り、
独自に個人向け小口貨物配送サービスを始め、大成功を収めたのです。
アメリカからやってきたアマゾンも、小倉さんが礎を築いた宅配網がなければ、
日本でここまで大きな成功を収めることはできなかったでしょう。
卓越した先見性と実力を兼ね備えたプロデューサー・小倉さんの実績は、
いまを生きる私たちにも多くの教訓を与えてくれます。
日本の城には、四方を見渡せる高い天守閣があります。
城主はそこへ登ることによって時代を肌で感じ、大きな決断を下すことができたのだと思います。
未曾有の大変化を迎えたいま、
私たちはより高い、天守閣の視点で今後の趨勢を見極め、
果敢に道を開いていくプロデューサーでありたいものです。
(「致知」1月号 牛尾治朗さんより)