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仕事と人生

2018-01-05 15:41:32 | お話
🍀仕事と人生🍀


「新しい自分が見たいのだ、ーー 仕事をする」

陶芸家・河井寛次郎の言葉である。

人は仕事を通じて成長していく。

このことを端的に示した言葉である。

京都大学元総長・平澤興氏にもこういう言葉がある。

「修養と人生、仕事と人生は1つである。

人生をはなれた修養はない。また仕事をはれて人生はない」


最近、2人の方が若い頃の働き方を知って深い感銘を覚えた。

1人は "料理の鉄人" の呼び名で知られるフランス料理のオーナーシェフ・坂井宏行さん。

坂井さんは郷里鹿児島の中学を卒業すると大阪の仕出し弁当屋に住み込みで就職。

後、縁があってホテル新大阪のレストランに移る。

ここから本格的な料理修業の道に入った。

アパートの2畳一間が住まい。
風呂なしトイレ共同。

給料は家賃と銭湯代に消えた。

給料日近くになると銭湯代すらなくなり、店の洗い場で体を拭いた。

仕事を終えて帰宅するのは深夜12時前後。

読書したり料理を練習をしたりで、睡眠時間は4、5時間。

だが、辛いとか辞めたいとか思った事は1度もなかった。

坂井さんは言う。

「俺は一生料理の道で生きていくという軸を絶対にぶらさなかったからこそ、

何があっても耐えられた。

描いた夢をいくつも達成できた」


もう1人は本誌12月号で画家の安野光雅さんと対談された京都の女料亭の女将・桑村綾さんである。

桑村さんの若い頃の働きぶりには目を見張る。

24歳の時に初子を出産したが、その直前まで料理を運び、立ち働いていたという。

このお二人に共通するものは、苦労を楽しむが如く、自ら発心して仕事に打ち込んだことである。

やらされ感、悲壮感など微塵もない。

ここが大事なポイントである。

やらされ感で仕事やっている限り、いくら努力しても、その努力は何の実ももたらさらない。

イチローの高校時代の野球部監督・中村豪さんの言葉が鮮烈だ。

「やらされている百発より、やる気の一発」

選手がやらされている意識で練習しているのでは、いくら熱を入れて指導しても何の進歩もない。

選手がやる気で練習に取り組めば、たとえ短時間でもやらされてやる練習の100倍にも勝る。

このことを誰に言われずとも実践したのがイチローなのだろう。


一流の人は一流の仕事観を持ち、一流になる働き方をしている。

その言葉がある。

「仕事は生活の方便ではない。
生活の目的であり、働くことが人生の価値であり、人生の歓喜である」
(ロダン)

「自分の仕事を見つけた人が最も幸福である。
彼は他の幸福を探す必要がない」
(カーライル)

「この地上に同じ人間は1人もいないが、たった1つだけ同じ条件の中で人は生きている。

それは1日24時間を平均に与えられていること。

それをどう活かすかがその人の人生であり、責任である」
(土光敏夫)


最後に、森信三氏の言葉を噛み締めたい。

「たとえ時代がいかに推移し展開しようとも、

人が自らの職業を天より与えられたわが使命達成の方途として、

これに対して、自分の全身全霊を捧げるところに、人生の真の幸福を与えられる」


(「致知」1月号より)