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ビジネス

2018-01-21 12:51:11 | お話
🍀🍀ビジネスとは🍀🍀


"ビジネス" という言葉には違和感がある。

当時の大変な日々と眠れぬ夜を、
当時の大勝利と決死の戦いを、

ビジネスという無味乾燥で退屈なスローガンに押し込めるには無理がある。

当時の私たちは、それ以上のことをしていた。

日々新たに50の問題が浮上し、50の即断を迫られていた。


1つでも見切り発車をしたり、判断を謝れば終わるのだと常に痛感していた。

失敗が許される範囲はどんどん狭くなる一方で、掛け金はどんどんつり上がっていった。

しかし私たちが、 "賭けていた" のは、 "金" ではない。

その信念が揺らぐことはなかった。

一部の人間にとって、ビジネスとは利益の追求、それだけだ。

私たちにとってビジネスとは、金を稼ぐことではない。


人間には血液が必要だが、血液を作ることが人間の使命ではないのと同じだ。

私たちの体内では赤血球や白血球、血小板が作られ、

各部に均等に滞りなく時間どおりに送られる。

そうした人体の営みは、より高い次元の目的達成に向けた基本的なプロセスだが、

それ自体は私たちの人間が果たすべき使命ではない。

その基本のプロセスを超えようと常に奮闘するのが人生だ。


1970年代後半の私はまさに奮闘していた。

私は勝つとはどういうことかを見つめ直し、

勝つこととは、負けずに生き延びる以上のことだと知った。


勝つことは、私や私の会社を支えるという意味を超えるものになっていた。

私たちはすべての偉大なビジネスと同様に、

創造し、貢献したいと考え、あえてそれを声高に宣言した。

何かを作り改善し、何かを伝え、新しいものやサービスを、人々の生活に届けたい。

人々により良い幸福、健康、安全、改善をもたらしたい。

そのすべてを断固とした態度で効率よく、スマートに行いたい。


滅多に達成し得ない理想ではあるが、

これを成し遂げる方法は、人間という壮大なドラマの中に身を投じることだ。

単に生きるだけではなく、他人がより充実した人生を送る手助けをするのだ。

もし、そうすることをビジネスと呼ぶならば、
私をビジネスマンと呼んでくれて結構だ。

ビジネスという言葉にも愛着が湧いてくるかもしれない。


(「SHOE DOG 靴にすべてを。」フィル・ナイト著 大田黒奉之訳より)