仙台を代表する名店「五福星」
仙台市地下鉄南北線・泉中央駅から西へ歩いて20分ほど。泉総合運動場そばの県道35号=泉塩釜線沿いで営業する「五福星」へ。これで「うーふーしん」と読む。まるで倉庫のような外観で、初見だと気付かず素通りする人もいるらしい。屋号の入った大きな赤提灯が目印になる。駐車場が11台分あるので車でのアプローチも楽だ。
ご主人の早坂雅晶氏は23歳だった1992年、妻・てるこ氏と2人、青葉区木町通に駆け落ち同然で店を構えた。その後、2006年に現在の場所に移転。しかしその2年後、製麺機に挟まれて右腕を失うことに…。それでも心折れることなく独自の路線を突き進み、仙台のラーメンシーンを牽引する存在に。2021年には「東久邇宮文化褒賞」を受賞した。
復活の足掛かりとして早坂氏が開発したのが『シルク麺』である。卵アレルギーでもラーメンを食べられるようにと、麺のつなぎに「シルク=絹」を用いている。繭を溶かして麺に織り込んでいるそうだ。更に沖縄の高級塩「ぬちまーす」を使って、氷で製麺する「氷点打ち」を開発。このオリジナル麺を全ての麺メニューに使用している。
店内はカウンターに14~5席と、テーブルに10席。麺メニューは豚骨を主軸に煮干しや節を合わせたスープの「らーめん」をベースに、名物のワンタンや、バラ肉チャーシュー、気仙沼産の肉厚な生ワカメ、生姜と背脂、ニラなどをトッピング可能。他にも納豆ざる中華、カレーラーメン、ねぎバカラーメン、つけ麺など多彩なラインナップだ。
また、朝7時から10時まで朝ラー営業も行っていて、昼夜の営業と違い、だし中華ソバ、背脂生姜醤油ラーメン、金華豚のチャーシュー麺の3種を提供している。ほか餃子、にゃんこ飯、メンマとあらびき肉のご飯、半カレーなどサイドメニューも充実。今回は「背脂生姜ワンタンメン(1100円)」をオーダーすることに。
白濁したスープは先述の通り、豚骨をベースに煮干しや節を重ねたもの。豚の旨味が先行しつつ、魚介が味に奥行きを与えてくれている。醤油のカエシはトゲがなく旨いスープだ。そこに平打ちで少し縮れた中太のシルク麺が泳ぐ。コシがあり小麦の香りも良く、スープとの相性もよい。尤も、言われなければシルクとは気付かないが。
そして表面にはたっぷりの背脂が浮かぶが、高知県産の辛みある生姜と混ぜ合わせることで不思議なほど脂の重さを感じなくなる。そして、背脂が溶け出す事で、徐々にスープの旨味をブースト。チャーシューは醤油ダレで味付けされたバラ肉が4枚。そして、名物のワンタンの皮にも、麺同様にシルクが使われている。
5つほど入っていただろうか。海老と肉を使った餡で、チュルチュルとした皮の食感も良く旨い。そして気仙沼・大島産の生ワカメは肉厚で絶品。収穫期に漁師から海水ごと直送してもらっているそうだ。ほか歯応えある甘めの細メンマ、刻みネギが乗る。どのパーツもクオリティが高く、非常に旨い一杯だった。次回は朝ラー狙いで来てみよう。
<店舗データ>
【店名】 五福星(うーふーしん)
【住所】 宮城県仙台市泉区野村字馬場屋敷11-2
【最寄】 仙台市地下鉄南北線「泉中央駅」徒歩22分