「金太郎」「田中商店」「もりや」の系譜
1990年代、足立区の環七沿いに「金太郎」という店があった。当時はまだ珍しかった博多長浜ラーメン、それも咽返る様な豚骨臭を放つ一杯が熱狂的なファンを産み、2004年の閉店後も東京豚骨のパイオニアとして伝説的に語られている存在だ。その「金太郎」の厨房にいた守谷武氏が独立後、ここ鹿浜で「もりや」を創業した。
しかし「もりや」は2009年に松戸市に移転。そこで、お弟子さんが屋号を「いっき」と改め地盤を受け継いだのだ。ちなみに守谷氏と共に「金太郎」を支えた田中剛氏が創業した「田中商店」は、いまや都内屈指の人気店だ。そして豚骨の名門の血が流れる「いっき」もまた、旨い豚骨ラーメンを提供している。
遠くからでも判る豚骨アロマが魅力的。らーめんは一杯600円から。有料トッピングにはネギとチャーシューのほか、味付け玉子、メンマ、モヤシ、キクラゲ、白ネギ、海苔、からしみそが用意されている。この「からしみそ」は、唐辛子を混ぜた肉味噌で、田中商店では「赤オニ」と呼ばれ人気のあるトッピングだ。
もちろん、麺の固さも「粉落とし」から「やわやわ」オーダー可能。スープは豚骨、骨髄の旨味が十二分に溶け出した骨太なものだが、それでいて変な油っぽさやクセがない。古いスープに新しいスープを継ぎ足していく「呼び戻し」の技法をとっているからだろう。思わず替え玉。豚骨好きは押さえておきたい店である。
<店舗データ>
【店名】 博多長浜らーめん いっき
【住所】 東京都足立区鹿浜5-29-15
【最寄】 日暮里舎人ライナー「谷在家駅」徒歩20分
★2014年に足立区鹿浜8-4-5に移転。