アラビアのロレンス 1962年(イギリス)日本公開1963年2月14日 横浜第36週の上映
227分。大作です。実は、あまりの大作であるため、自宅でDVDで見ると、いつも途中で挫折してしまっていました。今回、映画館の大きなスクリーンで見ると、雄大な砂漠の風景を背景に、最後まで飽きさせる場面がひとつもなく、時間も長く感じませんでした。このような大作は映画館で見なければならないと、改めて思いました。
アラブ独立闘争で活躍したイギリス人ロレンスを演じるのはピーター・オトゥール。演技というよりもそのキャラクターでロレンスを体現しました。彼の青すぎる目が、ロレンスの魅力と狂気のどちらの場面でも印象的です。この青い目は、オードリー・ヘップバーンと共演した、おしゃれ泥棒の冒頭でも強調されていました。彼はこの映画でスターになり、「ラ・マンチャの男」、伊丹一三(後の伊丹十三)と共演した「ロード・ジム」など、多くの映画で主役を演じました。
もうひとり、この映画で魅力を発揮し世界的スターになったのは、エジプト人のオマー・シャリフ。最初の登場シーンから、とにかくかっこよかった。デヴィッド・リーン監督の次作「ドクトル・ジバゴ」では、タイトル・ロールのロシア人を演じ、最近では「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」という佳作で、健在ぶりを見せてくれました。
アレック・ギネス=オビワンは、デヴィッド・リーン監督と縁が深く、多くの映画に出ています。この映画ではアラブ人、「ドクトル・ジバゴ」ではロシア人を演じました。「戦場にかける橋」ではイギリス人を演じましたが、実は早川雪舟がやった日本人大佐の役の方をやりたかったという伝説があります。「インドへの道」ではインド人、「A Majority of One」という映画では、実際日本人をやったギネスですから、あり得ないことではない?
監督のデヴィッド・リーンには、他にも、「ドクトル・ジバゴ、「戦場にかける橋」など大作が多く、いずれも一度は見ておきたい作品です。大作を撮るようになる以前にも、有名な映画が何本もあります。私は、「ホブソンの婿選び」(チャールズ・ロートンとジョン・ミルズの共演)、「オリヴァ・ツイスト」、「旅情」(キャサリーン・ヘップバーンのヴェニスの恋)を見ていますが、それぞれ魅力はあるものの、やはり後年の大作の凄さの前には、かすみがちです。
ディケンズのオリバー・ツイストは、何度も映画化されています。デヴィッド・リーンと並ぶイギリス映画の巨匠キャロル・リード(フォロー・ミー 、第三の男)もミュージカル版「オリバー」を撮り、アカデミー監督賞をとっています。それでも、私はデヴィッド・リーン版がベストと思っていましたが、2005年のロマン・ポランスキー版は、それを越えたと思います。重要なフェイギン役は、リーン版はアレック・ギネス、ポランスキー版はベン・キングスレーが演じています。
このブログも大作になってしまいました。お付き合いありがとうございました。