父が九州で耳鼻咽喉科を開業したのは、もう40年以上前のことです。真新しい病院の中で、中学1年だった自分が一番気に入ったのは、待合室の水槽でした。おそらくネオンテトラだったでしょうか、青く光る魚が神秘的で、夜になると飽きずに見ていたものでした。
私は10年前、縁あって港北ニュータウンで開業しました。父の時代とは耳鼻科の診療機械も全く違いますし、診療のスタイルも違います。同じなのは、待合室の水槽です。今でも、仕事が終わったあと、水槽の横のソファに座って、しばらく眺めていることがあります。
父は常に新しいことが好きで、でもすぐ飽きてしまうくせもありました。父の病院の水槽も、いつの間にか魚が一匹もいなくなり、その後は魚が飼われることもありませんでした。父が亡くなってから、もう6回目のお盆です。
現在の私のクリニックの水槽のメンテナンスは、プロの手を借りています。今日は、月に1回のメンテナンスの日です。