就職が決まった彼女と米国に留学する俺、卒業後はそれぞれ別の道を行く。野球が好きな俺に付き合って早慶戦だけはいつも見に行く。早慶戦は俺達が卒業しても永遠に続くのに、学生応援席から応援するのも、もうこれで最後だと思うと4年生の秋の早慶戦は何か物悲しい。試合が終わってもなかなか席を立つことは出来ない。同じ4年生の野球部員がやってきて応援団に交じって校歌や応援歌を歌う。卒業を実感し、そして別れが来ることを実感する。アメリカと日本じゃ遠すぎる、そんなに頻繁に日本に帰ってこれるはずもないし少なくとも二年間は会えないだろう。野球の早慶戦が終われば、すぐにラグビーの早慶戦だ。今年は二人の気持ちを察してか、雨が降っている。いつも二人で並んで座ったイチョウ並木のベンチも濡れていて座る人もいない。
「ねえ、最後だし座ってみない」彼女が言った。
「濡れちゃうよ」
「いいじゃない、私ここに座って銀色に染まった銀杏を見るのが大好きだった」彼女は銀杏を見上げた。
「もうすぐ卒業ね。あなたはアメリカに行ってしまうのね」
そう言って彼女は涙を流して、顔を伏せて泣いた。
「ねえ、最後だし座ってみない」彼女が言った。
「濡れちゃうよ」
「いいじゃない、私ここに座って銀色に染まった銀杏を見るのが大好きだった」彼女は銀杏を見上げた。
「もうすぐ卒業ね。あなたはアメリカに行ってしまうのね」
そう言って彼女は涙を流して、顔を伏せて泣いた。