食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

昭和歌謡

2016-05-02 06:51:09 | 日記
 BSでは、各局が常時、「昭和歌謡」のたぐいの懐古趣味的な番組を構成している。耳障りのよい曲には、立ち止まり聞き入ってしまう。先日もそうだった。僕はカミュの異邦人が好きなので、昭和の歌となると、どうしても久保田早紀の「異邦人」を重ねあわせてしまう。この歌が流行ったあの当時、池田満寿夫が「エーゲ海に捧ぐ」で芥川賞をとったり、ジュディ・オングがヒット曲「魅せられて」で「エーゲ海からの風」と歌ったり、五木寛之の「四季・奈津子」の映画ポスターで、黒海の岸辺に半裸の烏丸せつこが立っていて、「君はボスポラスの海を見たか」という宣伝文句がついていたりしていた。中東といえば中東、オリエンタルといえばオリエンタル、うわっつらな異国情緒ブームが一人歩きしていた。「エーゲ海に捧ぐ」はすけべな小説。烏丸せつこ出演といえば、すけべな映画。人間の記憶メカニズムは面白い。僕の中で、昭和歌謡のイメージは、複雑な脳神経回路を経て、女の裸と結びついてしまう。