毎年、この月のこの日になると書き込む出来事があります。 1970年、11月25日、ノーベル文学賞候補作家、三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決しました。人はよく、「あの日、何をしていた?」と自分の履歴を三島事件と一つの光景にまとめ、問いかけてノスタルジーに浸ったりします。 僕は2歳、記憶のかけらさえ残っておりません。 三島由紀夫という天才を論じる時( 論じてはいけないのかもしれませんが )、小説、文章ではなく、まず言葉が先行します。一つ一つの単語、言葉です。 彼は、頭の中を言葉が渦巻いて止まらなかったと思います。 具体的、抽象的な一つの事象が彼に刺さると、言葉が思い浮かばれ、それに後から後から言葉が付いてくる。 あたかも、ハトに餌をやると次々にハトが集まってくるが如くにです。 新橋に「末げん」という鳥すきの料理屋があります。 自決前夜、三島由紀夫が最期の晩餐をしたお店として有名です。 先代の女将が、「 三島先生、またお越しくださいませ 」とおっしゃられたところ、「 そうだなあ~ あの世から、お伺いします 」という返答が戻ってきたそうです。