昨晩、BS-NHK「ダーク・ミステリー」で、ケネディ暗殺の陰謀説を放映しておりました。ケネディの時代~~ アイゼンハワー大統領からケネディに代わり、ベトナム戦争への介入、ソ連の台頭と、世界一強い国アメリカに陰りが見え始め、ケネディからジョンソンに代わり、ベトナム戦争が深刻化していく前、映画「 アメリカングラフィティ 」で描かれていたように、アメリカが輝いていた最後の時代のような気がします。長い人類の歩みを振り返って、川の流れに例えるならば、緩やかな川の流れのような単調な日々が続くかと思うと、流れは急に勢いを増し、時として激流になりますが、ケネディの時代は、まさに激流の真っただ中でした。ケネディの政治的業績、決断で特筆すべきは、冷戦時代、ソ連との一触即発の核戦争の危機に直面しながら、老獪なフルシチョフと渡り合い、世界平和の構築にまい進したこと、アフリカ系アメリカ人たちに、自由と権利を保障する公民権法案を、議会の反対をおしきって提出したこと、この二点だと思います。 番組の本丸、ケネディ暗殺の黒幕は誰か?いるのか、いないのか? 番組のコメンテーターお二方が、この番組の主旨である、陰謀説の背後に潜む、人間心理にうまくかぶせて説かれておりました。結論をどうとらえるかは、視聴者自身の心の問題であるという、玉虫色的な、やや、官僚の国会答弁のような脆弱な話ではありましたが、構成主旨を鑑みると、非常に的確なご意見でした。 それは、陰謀というひとり歩きが、社会心理を構築してしまう恐ろしさを如実に語られていたからです。 ケネディ暗殺について、管見を述べるなら、オズワルトの単独犯行がやはり王道、次に、番組では強く触れていませんでしたが、マフィア黒幕説。マフィアの加担で大統領になれたケネディが、手のひらを返すようにマフィア撲滅運動を進めていくなかで、激怒したマフィアが彼を暗殺したとするマフィア陰謀説なら、しっくりと落ち着きます。オズワルトを暗殺した人物がマフィアと深い関係のあったのは厳然たる事実ですし、人間の感情や感傷といった有機的要因で明確に説明できます。 そして、CIA 陰謀説。キューバのカストロ暗殺を強行させようとするCIAとそれを抑止するケネディ、CIAがCIA自体の存亡をかけてケネディを暗殺したとする説でして、CIA元長官のアレン・ダレスとケネディは犬猿の仲だったこともその陰謀説に滑車をかけております。その他、ジョンソン副大統領陰謀説、軍需産業陰謀説、群衆の中の誰かの犯行説、など、枚挙にいとまがありませんが、このような陰謀説を創り上げていく人間心理の解明・解剖がこの番組の構成主旨ですので、勿論、ケネディ暗殺の新事実的な説、描写はありませんでした。 小さな真実でも、考えすぎると、どんどん膨らんでいき、その妄想が真実を覆してしまう恐ろしさ、これは、我々の些細な日常にも極々普通に潜んでいることですね。