上野の東京都美術館で開催中、「ブリューゲルのバベルの塔展 」がまもなく終了します。バベルの塔は言わずもがな、旧約聖書に登場するエピソードを作品化したものです。 一般に、バベルの塔は、実際古代バビロニアで建造された階段状ピラミッド型神殿の巨大なものと考えられていたので、多くの画家はそれをモデルに描いていました。 しかし、ブリューゲルは、イタリア旅行の際にローマで観たコロッセオをモデルに描いたと言われております。 コロッセオは剣闘士同士、剣闘士と野獣との闘い、等の見世物施設でして、人間の愚かさのようなものを、そこからブリューゲル自身が感じ取ったのかもしれませんね。 いずれにせよ、バベルの塔は、人間の欲深さの象徴でもあります。 ブリューゲルと同時代を生きた画家に、エル・グレコがいます。 マニエリスムといいまして、画中の人物や対象物が、ビヨーンと引き伸ばされたり、ねじれさせられたり、歪んで描かれております。 僕の勝手な評論ですが、この時期は、ルターの宗教改革や、大航海時代、という歴史の大きな転換期にあたります。商業と技術の飛躍的進歩がなされました。 さらには、スペインの南米進出により、インディオ虐殺など人間の傲慢さ、醜さ、愚かさがヨーロッパ中に知れ渡っていたと思うのです。 ブリューゲルは「バベルの塔」を描くことで、エル・グレコはマニエリスムという人間をきちんとした姿で描かないという手法で、その時代に対するアンチテーゼを唱えたのかもしれません。
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