細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

骸骨ビルの庭(下)  宮本輝

2009-11-13 21:47:57 | 読書メモ ま行
骸骨ビルの庭(下)  著者 宮本輝

《内容》
育ての親、阿部轍正は、子供たちの一人、桐田夏美への性的暴行の汚名を着たまま、苦悩のうちに死んだ。真相を求めて、八木沢は夏美の行方を追う。過去の謎が謎を呼び、秘密は深まる。一方、八木沢はビルにもう一度畑を甦らせようと一人耕し始める。そして、小さな命が蕾をつけるとき、骸骨ビルの本当の意味が明らかになる。自分は何のために、そして、誰のために、生きているのか?心の奥底から溢れ出す人間への讃歌。すべての生きとし生けるものへ贈る感動の長篇小説。
            (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――たいして得にもならないのに些細な嘘をつくやつがいる。これも癖だ。酒癖の悪さよりも始末に悪い。酒なら心がけ次第で縁は切れるが、自然に口から出る嘘を封じ込める術はない。


―――忘恩は人間が犯しうる最大の犯罪やっちゅう言葉があるそうやないか。わしはほんまにそのとおりやと思うで。

スコーレNo.4  宮下奈都

2009-11-13 21:30:07 | 読書メモ ま行
スコーレNo.4   著者 宮下奈都

《内容》
どうしても忘れられないもの、拘ってしまうもの、深く愛してしまうもの。そういうものこそが扉になる―。ひとりの女性への道のりを描く書下ろし長編小説。
       (紹介文より)


☆☆☆☆☆
―――たったひとつの扉からいろいろなものが取り出せることを私は知っていた。
 どうしても忘れられないもの。拘ってしまうもの。深く愛してしまうもの。そういうものこそが扉になる。広く浅くでは見つけられなかったものを捕まえることができる。いいことも、悪いことも、涙が出そうなくらいうれしいことも、切ないことも、扉の向うの深いところでつながっている。