細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

at Home  本多孝好

2011-11-19 23:57:54 | 読書メモ は行

《内容》 

親子それぞれに特殊な職業につきながらも強い繋がりをもった家族、距離を置きながら同士のような関係に置かれた義理の父娘、一度家庭を壊し人生を放棄しかけている男、妹のDVに勘づいてしまった兄……。そこは人が本当に帰るべき場所なのだろうか? ふぞろいで歪つな4つの家族とそこに生きる人々。涙と冷静と波乱を存分にたたえた、本多ワールド最高到達点!2010年エンタテインメント小説、最高の収穫!          (紹介文より)

 

―――相談しなくたって、力を借りに行かなくたって、兄貴がいると思うと救われている。最後にはこの人を頼ればいいんだって、そう思えるだけで全然違う。もしも何もできなくても、少なくとも私と一緒に悩んでくれる。悲しんでくれる。怒ってくれる。

―――忘れるんだよ。年を取るとよ。嘘じゃなくて、本当に忘れてくんだ。色んなことを。自分がそうしたことは覚えていても、何でそんなことをしたのか、さっぱり思い出せねえ。馬鹿だったんだな、って思うだけだ。


地のはてから(下)    乃南アサ

2011-11-19 23:27:11 | 読書メモ な行

《内容》

小樽での奉公を終え、知床に帰った少女は、かつて家族を救ってくれたアイヌの青年と再会する。一度きりのかなわぬ恋。そのとき少女ははじめて思う。人は自分の人生を、どこまで選び、決められるのか、と。厳しく美しい知床の自然に翻弄されながら、ひたすら大正から昭和の時代を生き抜く。感動の最終章。                    (紹介文より)

―――人というものは、果たしてどこまで自分で自分の一生を決めたり選んだり出来るものだろう

―――人というものは何なのだろうか。どうして生きなければならないのだろう。

 


地のはてから(上)   乃南アサ

2011-11-19 22:59:44 | 読書メモ な行

《内容》

物心ついたとき、少女はここで暮らしていた。アイヌ語で、「地のはて」を意味するというこの土地で。おがちゃの背中と、あんにゃの手に、必死にしがみつくようにして。北海道知床で生きた女性の生涯を、丹念に描き、深い感動を呼び起こす。構想十年―書き下ろし長編小説。                                 (紹介文より)

 

―――今、思う。きっとこういうのを幸せというのに違いない。まわりのみんなが笑っていて、優しくて、ほこほこと温かい感じがする。

―――お互いに生きているのに、ただ会うというそのことが、こんなにも難しいとは思わなかった。   大人になっていくということは、こんなふうに周囲からだんだん大切な人がいなくなってしまうことなのだろうか。


純平、考え直せ   奥田英朗

2011-11-19 21:55:43 | 読書メモ あ行

《内容》

坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラにして人気者。心酔する気風のいい兄貴分の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。女は苦手だが、困っている人はほうっておけない。そんな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗殺)。決行までの三日間、純平は自由時間を与えられ、羽を伸ばし、様々な人びとと出会う。その間、ふらちなことに、ネット掲示版では純平ネタで盛り上がる連中が…。約一年半ぶりの滑稽で哀しい最新作。                                               (紹介文より)

 

―――どうして神様は頭の中身にこれほどの差をつけたのか。身長差はあっても二割だ。それなのに脳味噌の差は百倍くらいありそうだ。こんな不公平がどうして許されているのか。

―――若さの価値は歳をとらないとわからない。まことに神様は意地が悪い。


偽憶    平山瑞穂

2011-11-19 19:54:55 | 読書メモ は行

《内容》

あの日の思い出を、誰もが都合よく“編集”する――。人間の記憶の深淵さを鮮やかに描いた群像ミステリー!大手家電メーカーの広報マン、前科持ちの飲食店店長、失職中の元モデル、結婚間近の公益団体職員、日給6000円の工場派遣労働者、現在全員27歳。一見年齢以外全く共通点がないように見える5人が、ひとりの女性弁護士によって突然招集された。彼らには、15年前伊豆のサマーキャンプに参加していたという事実があったのだ。この弁護士、最近亡くなったキャンプ主催者の遺言執行者で、5人のうち1人が主催者の遺産31億円を手にする資格があるという。衝撃の事実を告げられた5人は、狂喜するが、これには条件があり、該当者を確定するため、キャンプ中の出来事を細大漏らさず思い出してほしいというのだった。5人は遠い夏の記憶を必死に辿り、遂には遺産の受取人が判明するも、事態は思わぬ方向に転がっていく……。どんでん返しの群像ミステリー。                   (紹介文より)

 

―――幸か不幸か、人は往々にして、自分にとって否定的な意味を持つ思い出こそ、長く心に保持しているものだ。楽しかったことについては、「楽しかった」という漠然とした記憶しか残らない。しかし、つらかったことや悔しかったことは、そのとき自分が置かれていた状況や、自分自身の微細な心の動きも含めて、細部まで生々しく思い出すことができる。


天魔ゆく空   真保裕一

2011-11-19 18:54:18 | 読書メモ さ行

《内容》

妖術を操り、空を飛び、女人を寄せつけず独身を通した“希代の変人”細川政元。応仁の乱後の混迷した時代に、知略を尽くして「半将軍」の座をつかみ取る。信長に先立つこと70年、よく似た人生を送り、戦国時代の幕を開けた武将の、真の姿とは?政元の姉・洞勝院と、室町幕府を守ろうとする日野富子。女たちの戦国時代も華々しく幕を開ける。              (紹介文より)

―――たとえ迷おうとも、やはり踏み出せない一歩はあった。

―――不幸はいつしか心を萎れさせていく。人々は今、暗い心の裡に自ら鬼の姿を見出そうとしている。心が鬼を引き寄せるのだ。

―――手を伸ばせばすぐ触れることのできる近くにいながら、互いの間は月より遠く離れていた。

―――人は、人に支えられてこそ、人の上に立つことができる

―――一人で叶えられることには、限りがある

―――位を得て務めに励む者もいれば、位に驕って足元を見なくなる者もいた。人とは弱き心を持つ生き物であり、絶えず己と向き合ってこそ、真っ当な人となれる。


三十光年の星たち(上)  宮本輝

2011-11-19 17:53:34 | 読書メモ ま行

《内容》

京都に住む三十歳の坪木仁志は、職を失い、恋人に捨てられ、明日の生活もままならない。親に勘当され、金貸しの佐伯平蔵から借りた八十万円の借金を返せるあてもない。そんな坪木に佐伯はある提案をする。それは、借金返済の代わりに坪木を車の運転手として雇い、返済の滞る人びとのもとへ「取り立て」に出かけるというものだった…。圧倒的な物語の愉楽。宮本文学の到達点。                   (紹介文より)

 

―――いやな思い出が、あれはあれでよかったんだ、いい方向へと行くために、あのときはひとときの不運に見舞われたんだ、あの不運や不幸はのちの大きな幸福のためにあったんだって、はっきりとわかってくるんだ。

―――それはなんだかとてもつらくて寂しい。俺はこの人が好きなのだ。この人と離れたくない。それで充分ではないか。俺は、この人に自分のすべてを預けてみよう。


烙印   天野節子

2011-11-19 17:12:50 | 読書メモ あ行

《内容》

東京の公園で男が絞殺された。身元を調べるうちに、被害者の地元・兵庫県養父市でも数日前に白骨体が発掘されていたことがわかる。発見場所も殺害時期も異なる二つの遺体―。だが、警視庁捜査一課の戸田刑事は、事件の関連性を疑い始める。そして捜査を進めるうちに、ひとりの新進気鋭のカメラマン鈴木太郎に辿り着くが…。執念の刑事・戸田と、己の宿命に抗おうとする男の壮絶な闘いが幕を開ける。野望と愛憎渦巻く書き下ろし長編ミステリー。                 (紹介文より)

 

―――夫婦だろうと親子だろうと、人はいつか別れのときがくる

―――人の心の闇を、頭の中だけで想像しても解明はできない


共同正犯   大門剛明

2011-11-19 16:51:58 | 読書メモ た行

《内容》

姫路・夢前川の製鎖工場で、男の遺体が発見された。あくどい商法で知られた不動産業者。疑いの目は工場の持ち主で、被害者への巨額の連帯保証債務を抱え苦しむ、女社長に向けられた。しかしベテラン刑事・岩田は見抜いた。この事件には、共犯者がいる―暴かれてゆく過去の因縁。真犯人は、そして犯行の真の意図とは?社会派ミステリの旗手、最新作。                                                (紹介文より)

 

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