《内容》
親子それぞれに特殊な職業につきながらも強い繋がりをもった家族、距離を置きながら同士のような関係に置かれた義理の父娘、一度家庭を壊し人生を放棄しかけている男、妹のDVに勘づいてしまった兄……。そこは人が本当に帰るべき場所なのだろうか? ふぞろいで歪つな4つの家族とそこに生きる人々。涙と冷静と波乱を存分にたたえた、本多ワールド最高到達点!2010年エンタテインメント小説、最高の収穫! (紹介文より)
―――相談しなくたって、力を借りに行かなくたって、兄貴がいると思うと救われている。最後にはこの人を頼ればいいんだって、そう思えるだけで全然違う。もしも何もできなくても、少なくとも私と一緒に悩んでくれる。悲しんでくれる。怒ってくれる。
―――忘れるんだよ。年を取るとよ。嘘じゃなくて、本当に忘れてくんだ。色んなことを。自分がそうしたことは覚えていても、何でそんなことをしたのか、さっぱり思い出せねえ。馬鹿だったんだな、って思うだけだ。