宗祖親鸞聖人 私たちの宗派、浄土真宗の開祖といえば、誰もがご存知でしょうが親鸞聖人です。
ところが親鸞聖人ご自身には、浄土真宗という宗派を開く意図はなかったことは、あまり知られていないのではないでしょうか。 写真1
確かに親鸞聖人の主著である「教行信証」の教巻冒頭に 「謹んで浄土真宗を案ずるに二種の回向あり、一つには往相、二つには還相なり。」 と記され、浄土真宗との宗名は提示しています。そして勿論、生涯を他力念仏の教えの布教に費やされ、特に関東では道場を開き、
熱心に教えを広める生活を送られました。その教えは師、法然聖人の教えをさらに深め、信心のみを往生の因とし、独自の宗派を
確立したと言えるにも関わらず、親鸞聖人は寺院を建てるでもなく、弟子の存在も認めず、ただ布教に専念し「教行信証」他、多くの
著述に没頭したのでした。 ところが親鸞聖人往生の後、聖人のひ孫「覚如上人」は、聖人の遺骸を収めた「大谷廟堂」を寺院化し、本願寺を中心とする教団
の基礎を作りました。「覚如上人」は本願寺の実質的な開祖とも言えるでしょう。 写真2
さらに浄土真宗の教義の観点から、法然上人の開かれた浄土宗とは明らかに違う点があります。 写真3
浄土宗では念仏を多く称えることが救われる方法だと説くのに対し、浄土真宗では阿弥陀如来の願いを信じる
こと(信心)が大事だと説きます。念仏は往生の条件ではな、く信じた後の感謝の言葉と定めています。 親鸞聖人ご自身は新しい宗派を立ち上げる(立教開宗)の意図はなかったとは言え、「教行信証」をお書きに
なった内容から、結果的に浄土真宗という新しい宗派が生まれることは必然であったと言えます。 親鸞聖人が、お浄土から我々を見ているならば、信者数日本一の宗派になっていることにさぞかし驚かれるでしょう。