白骨の御文章
室町時代に活躍された本願寺第八代宗主・蓮如上人は、独創的な伝道で今日の本願寺教団の基礎を築き、「中興の祖」と仰がれています。
その蓮如上人伝道の功績で外すことができないのが「御文章」です。「御文章」は浄土真宗教義の要を、平易なお手紙として書かれたもので、日本各地の有力な僧侶や門徒に送られ、多くの門徒の前で読み聞かされたそうです。約80通が発布され今に伝わっていますが、中でも一番有名なのが「白骨の章」です。その中にある下記の部分はベストセラーになった「声に出して読みたい日本語」とうい本に取り上げられたくらいです。
「朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり」(朝には元気な顔を見せていた人が、突然の死を迎え、夜には火葬されて白骨となってしまうように、今どれだけ元気だと思っていても、命はいつどうなるかわからない)
ちなみに現代日本では、死亡確認後24時間以内に火葬をしてはならない、という法律があるため上記は当てはまりません(゜д゜)!
蓮如上人は後述し勧めます
「誰の人も早く後生の一大事(私が死んだ後どうなるのか)を心にかけて、阿弥陀仏を深くたのみまいらせて、念仏申すべきものなり」と・・(注、解りやすく漢字で多く表記)
これは決して「人生は、はかないものだから、早くこの世は諦めて死んだあとで良いところに行こう」と言っているのではありません。必ず救うぞ、といつも呼びかけてくださる、阿弥陀如来さまにお任せして、念仏を申す私たちの人生は、決してはかなくありません。寿命の長短や、亡くなりかたの良し悪しなどに縛られることなく、一人ひとりが、生まれや成長、出会い、自分の身体の縁の中で、精一杯人生を生き抜く。そして後生の一大事は阿弥陀さまが救って下さり、必ず仏にならせていただくので安心できます。その人生は阿弥陀さまやご先祖に見守られ、励まされ、毎日を充実し、精一杯頑張ることのできるものになるはずです。
参考文献・・浄土真宗必携 み教えに学ぶ
法話担当 伊東知幸