今日は山で出会うような分厚い雲に覆われていた。テレビでは黄砂、黄砂と言ってるが。黄砂と聞くとつい芥川龍之介の短編を思い出してしまう。ある男がなくなって地獄の閻魔様の前に出るのだが帳簿を見た役人が間違いだという。俺はまだ死にたくない、生き返らせろーとわめくが、しかしもう足が腐っていますと役人は言う、閻魔様は承ねえなあ、そこにある馬の足をつけて送り返せ、ということになって馬の足をもらって生き返った男だが、やがて春になって黄砂が吹き始める、すると足がムズムズして飛び跳ねるようになる。男は必死にこらえるのだが、ある日西域の高原に飛んで行ってしまう。故郷の草原に帰ったのだ。