天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

蝙蝠

2019-08-28 11:33:10 | 日記
 水シャワーを浴びると肌が冷っとする感触になってきた。と同時に、じっと鳴りを潜めてきたコウモリが夕空を、優雅に闊達に、舞う季節になった。コウモリは子供のころ図鑑で見て気味悪く思っていたけれど、歳を取るに従い、こんなに小気味よく愛らしい生き物はないと、夕暮れに佇むことが多くなった。ミミズクはわが生涯において好きな生物の4番バッターであるけれど、コウモリは育成選手から苦労して這い上がり、いまや頼もしい1番バッターに起用している。と言っても、夜はまだ寝苦しい。寝付きだけエアコンを28度に1時間タイマーで設定して寝入ると、やけに涼しくて目が覚め、寒暖計を見ると27度ちょっとになっていた。トイレの後、薄パジャマを着て寝直し、朝カーテンを開けると窓が開いていた。夜熱が衰え、外気の方が冷涼な今日この頃である。
 アニメをふつう見ないので憚るべきではあるけれど、被疑者が「京都アニメーション大賞」に応募していて、パクったと言い張っているなら、京都府警は押収しているその長編、短編応募作品を一般公開した方が、捜査の進展が早いのではないだろうか。捜査担当者よりアニメ・ファンの方が、実際のアニメ作品と、応募作品のアイデアの連関が早分かりすると思われる。その要素が指摘されなければ、被疑者の逆恨みだったんだという風にしないと、こんな凶行をなぜという動機面がいつまで経ってもすっきりしない。
 『誰も知らない世界のことわざ』(前田まゆみ訳、創元社)がなぜ今まで世に出なかったのか、出版史上驚異的な決定本で、有史以来これまでの出版物がすべて無駄な所為だったと感嘆した。装丁がまた見事な芸術である。この本と出遭ったことで、論語の「子日、朝聞道、夕死可也」(師のたまわく、あしたに道を聞きては、夕べに死すとも可なり)という求道文を思い出し、読み切ったら死んでも良いと思うほどであるけれど、その前に2回目、3回目と読み進めていこう。その合間には、『マトリョーシカ大図鑑』(沼田元気著、二見書房)の、人の善の心を惹き出す人形表情を一つ一つ吟味していきたいと思う。
 『世界のことわざ』は、ヘブライ語やスワヒリ語、ペルシャ語など文字通り世界の言い習わしを集めたもので、諸民族の金言、格言、箴言が凝縮され、人類の悠久の歴史が、愛や死や戦争を超越した、言葉によって形成されていることが納得できる。紹介されている51個の諺のうち、竹島での偶発的な戦闘が本格的な日韓戦争に拡大し、先の対米英戦争中に英語が敵性語として禁止されたように、韓国語の使用と韓流ドラマ・映画の鑑賞が禁止される恐れがあるため、駆け込み的に韓国語の諺をまず引用する。「カラスが飛び立ち、梨が落ちる」。何を諭しているのか分かりにくいけれど、同書の解説によると、「いかにも関係がありそうな2つのことがらの間に、必ずしも因果関係があるわけではないことを表しています」。つまり、「私たち人間には、意味のない情報から、意味のあるパターンを見出そうとする傾向」を戒めたもののようである。現代韓国では、「慰安婦が飛び立ち、ジーソミアが落ちる」と変化しているかもしれない。

かはほりの さう繁く舞ふ 夕暮れは
梨をはみつつ 秋をしぞ思ふ


*①かはほり=コウモリ、②さう=左右