大人の男のお茶目は楽しい。出所した日産前会長のゴーンさんが大きなマスクをした目立つ黄襷の作業服姿で、嫌味にもスズキの軽に乗り込んだのはシュールやったし、森友学園の籠池泰典前理事長が国策捜査を改めて非難しながら、「世直しの 息吹立ちぬる 弥生かな」と心境を一句に読んで初公判に臨んだのは、同じ俳人、歌人として共感できた。触発されて、『深読み百人一首』(伊東眞夏著)を読み始めたら面白かった。和歌の巨人藤原定家と父俊成、義兄弟寂蓮法師との関係を恥ずかしながら初めて知った。河原院の大臣源融の成金話も、『一夕話』(尾崎雅嘉著)の、宇多法皇の前に死霊となって化けて出た逸話並みに興味がわいた。さすれば、名歌名句はそれにまつわるストーリーがあって歴史に残るみたいやけど、後世に深読みや絵解きをしてもらわんでも、一本どっこで現れた詩句が人の心を突き刺してしまうのが本物なんやろな。
山が哭き 涙の河の かさ増せば
流れを逸れて 堤破らむ
山が哭き 涙の河の かさ増せば
流れを逸れて 堤破らむ
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