3月半ばの春本番、というより、全国各所で初夏の陽気になる予想を受け、スポーツ選手に動きが出てきた。MLBが選手会と春闘合意して、戦力移動交渉が本格化し、広島カープの鈴木誠也がサンディエゴ・パドレスに移籍することが確実になったという(本人は否定)。サンディエゴと言えば、ミッドウエー海戦に参戦しなかった米空母ミッドウエーが博物館展示品として碇泊しており、4年前に乗艦したことがある。埠頭にみんな駐車していたので、気軽にレンタカーを置いて、空母上でカタパルト操作の真似事などして楽しんだのが間違いだった。次の目的地として、大谷翔平が大リーガーになった年だったので、キャンプ地のフェニックスに向かった。ロッキー山脈はもっと向こうなのに、けっこうな山越えハイウエーが続き、濃霧で前の車がテールランプでしか確認できず、後ろからは追い立てられるわで、死ぬ思いの運転が続いた。とにかく休みたくて、霧が晴れた最初のインターで降りたら、こんな所は全米唯一でないのか、ガソリンスタンドが上りにも下りにも辺り一帯に一つも無かった。別にガス欠で困ったわけでなかった。怖い運転から解放され、余裕ができたところで、フロントガラスに紙片が貼られているのに気が付いた。英語を解読想像すると、駐車違反の罰金を期限までに払い込めと書いてあるようだった。ドル紙幣なら少々持っているから取りに来いと言いたかったけれど、銀行振り込みでないとダメだった。クレジットカードは持っていたけれど、米国発行の物というか、ドル引き落とし口座と紐づいていないと使えなかった。間に合わなければ、逮捕・強制送還などと想像すると、焦った。タンパで大谷のオープン戦を観戦したけれど、気が気でなかった。それでも旅は前進あるのみ。トランプ大統領時代だったので、メキシコ国境沿いに行けば面白いものが見られるのではと、次はツーソンに着いた。ピマ航空博物館があって、退役軍人の方が館内案内のボランティアをしていた。巨大軍機の片隅に置かれたゼロ戦などを見物しながら話を聞いていると、幸いなことに奥様は日本出身だった。藁にもすがるように勤務明けを待って、自宅まで付いていくことを許してもらった。奥様とは日本語で会話でき、現金を支払う代わりに奥様のカードでやっと納付することができた。これで南米移民のような目に遭わなくて済んでホッとしたものの、鈴木誠也のサンディエゴからは随分遠くなってしまった。
つぎの目的地は浅田真央である。東京・立川に冠スケート場「MAO RINK」を再来年めどに作ると報道されている。卓球Tリーグの試合が近くでしょっちゅう開催され、地域が代々木や調布と並んでスポーツの殿堂として賑わうことになるかもしれない。世界の記憶にも記録にも残る国民のアイドルなので、監督のお気に入りでないと世に出ることができない女優などと同レベルのタレント業で余生を送ってほしくない気があるので、愛でたい活躍の場だと思う。一方、巨額の投資をして、人気力を当てにされた挙句、身ぐるみ剝がされるようなことにならないことを切に願いたい。
そんな偉い人の話でなくても、努力もしない日陰暮らしの者にも、辛抱強く待てば春の贈り物はある。水仙の黄色は目を洗ってくれるし、木瓜の紅はつい慈しみたくなる。こんな風情の喜びを解せず、いつも鶏冠を赤く怒らせて、他人の庭を踏みにじる蛮民には、雪を割って芽を出す春の訪れは遠退くだろう。
木瓜の花
名こそ酷けれ
忘れずに
老い痴れ爺の
眼を楽します
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