天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

赤毛

2020-06-04 17:14:04 | 日記

 今週からスーパーの特売チラシが新聞折込に入ってきた。店内はまだ恐る恐るの雰囲気だけれど、とにかくニュー・ノーマルに一歩踏み出したことは結構なことである。為替も長い1ドル107円台のボックス商いから109円台にしっかり乗せ、新たな方向感を模索する動きが出てきた。プロ野球は19日の開幕を前に、よりによって球界を代表する坂本選手が陽性ということで冷水が浴びせられたけれど、お笑いの代表によって萎縮したムードは、スポーツの代表の跳ね返す力強さによって、ぐっとムード転換が図られていくだろう。これで東京都知事選に小野泰輔熊本県副知事といった意外なダークホースの出現で、清新な人材が就任することになれば、一気に世の中が明るくなっていくような気がする。何しろ、熊本県副知事としてあの人気キャラクター「くまモン」が味方に付いている。
 鬼女の東京アラートだけでなく、自虐を強いる同調圧力が全国に満ち溢れる暗黒の世の中では、赤毛のアンの天衣無縫な空想の翼だけが、虚しい生を僅かばかり楽しむことができるよすがとなる。吉高由里子演じるアンが「腹心の友」( bosom friend )と呼ぶダイアナに、『執念の恋敵』と題する荒唐無稽な創作話を語って聞かせる。コーデリアとジェラルディンという仲の良い美貌の姉妹がある村に住んでいて、16歳に成長したとき、バートラムという青年がやってきた。ジェラルディンの乗った馬車の暴走事故をきっかけに2人は恋仲となり、結婚を申し込まれる。しかし、コーデリアもその青年に恋していたため、嫉妬に狂い、激流の川岸でバートラムと語らっていたジェラルディンを突き落としてしまう。青年は助けようと飛び込んだけれど泳ぐことができず、2人とも溺死してしまう、というイマイチの物語であった。しかし、意外にもダイアナは感激し、「あなたの想像力が羨ましい」と褒めちぎった。得意になったアンは「じゃあ、2人で創作クラブを作って、腕を磨き合いましょう」と話が展開するところは、原文で覚えて英語の勉強にしようと思う。
 "It would be if you'd only cultivate it," said Anne cheeringly. "I've just thought  a plan, Diana. Let you and me have a story club all our own and writes stories for practice. I'll help you along until you can do them by yourself. You ought to cultivate your imagination, you know. Miss Stacy says so. Only we must take the right way. I told her about the Haunted Wood, but she said we went the wrong way about it in that."
 This was how the story club came into existence. It was limited to Diana and Anne at first, but soon it was extended to include Jane Andrews and Ruby Gillis and one or two others who felt that their imaginations needed cultivating. No boys were allowed in it- although Ruby Gillis opined that their admission would make it more exciting - and each member had to produce one story a week.
 "It's extremely interesting," Anne told Marilla. "Each girl has to read her story out loud and then we talk it over. We are going to keep them all sacredly and have them to read to our descendants. We each write under a nom-de-plume. Mine is Rosamond Montmorency. All the girls do pretty well. Ruby Gillis is rather sentimental. She puts too much lovemaking into her stories and you know too much is worse than too little. Jane never puts any because she says it makes her feel so silly when she had to read it out loud. Jane's stories are extremely sensible. Then Diana puts too many murders into hers. She says most of the time she doesn't know what to do with the people so she kills them off to get rid of them. I mostly always have to tell them what to write about, but that isn't hard for I've millions of ideas."
 "I think this story-writing business is the foolishest yet," scoffed Marilla. "You'll get a pack of nonsense into your heads and waste time that should be put on your lessons. Reading stories is bad enough but writing them is worse."
***松本侑子訳によると;
 「磨けばいいのよ」アンは励ました。「いいこと思いついたわ。ダイアナ、二人だけの物語クラブを作って、練習しましょうよ。あんたが一人で書けるようになるまで、手伝ってあげるわ。想像力はのばした方がいいもの。ステイシー先生も、そうおっしゃっているわ。ただ、正しい方向へのばしなさいって。《お化けの森》の話をしたら、これは誤った方向にのばしたんだって言われたわ」
 このようにして、物語クラブは生まれた。最初はダイアナとアンだけだったが、間もなくジェーン・アンドリュース、ルビー・ギリス、ほかにもう一、二名、想像力を磨く必要があると考えている者が参加した。男の子の入会は認められていなかった。もっともルビー・ギリスは、男子もいた方がもっと面白いのにと言ったのだが。そしておのおの、毎週、物語を一つ書くことになった。
 「すごく面白いのよ」アンはマリラに話した。「めいめいが自分の物語をみんなの前で読みあげて、それから、合評するの。物語は神聖なものとして大切にとっておいて、孫子の代まで読ませるわ。めいめい筆名があるの。私はロザモンド・モンモランシーというのよ。みんな、なかなかいいのを書いているわ。ルビー・ギリスは、かなりセンチメンタルね。恋愛の描写が多すぎるのよ。少なすぎる方が、まだましだわ。ジェーンは絶対に恋愛を書かないの。みんなの前で音読する時、あほらしいからって、おかたい分別話なのよ。それからダイアナは、殺人ばかりなの。登場人物の扱いに困ると、すぐに殺して消してしまうのよ。たいてい私がみんなに題材を教えてあげるはめになるけど、私にはアイディアが山ほどあるから、たやすいことよ」
 「作り話を書くなんて、まったく馬鹿らしい」マリラは嘲笑した。「まったく頭にくだらないことをつめこんで、勉強時間を無駄にして。作り話なんてものは、読むのも悪いのに、書くなんてもっと始末が悪いよ」
―――ダイアナがすぐ殺してしまう部分は噴き出してしまう。笑いこそがコロナの特効薬と思えるように早くなってほしい。マリラのセリフにあるように、訳者の解説によると、作者モンゴメリの子どもの頃、詩を読むことは許されていたが、小説は禁じられていた。そんな禁を破って小説を書いて、世界に感動を与える名作が出来上がった。夜は魔物が出るから家に居なさい、人を見たら泥棒と思え、などと筋道の立たない迷信まがいの説教では、小中学校で学んだ知識以上の者にはすんなり納得がいかず、なら自分で魔物とか泥棒を探し出し、かわしてやろうかという冒険心が出てくるのは止められない。

澱みたる
世を直すには
人を替へ
新たな灯り
示す道行く



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