気象予報士は、「寒暖差が大きい。今日はしっかり寒さ対策をして出かけましょう」などと言うが、晴れていさえすれば、ぽかぽかと暖かい。あちらの畑にも、こちらの民家の庭にも、せせらぎの辺にも、白梅、紅梅が満開だ。
さて、新聞に投稿された短歌、俳句、川柳に目を通していると、高齢者の心境を詠じた作品が目に付く。社会の高齢化が進んで高齢者の投稿が多いし、高齢者の一人である私もまた、若いころは目の前のことでいっぱいだったが、年とともに老境を詠んだ短歌や俳句に心ひかれるようになった。
今回は、最近、感動した短歌5編を紹介します。あくまで私の好み、感性による選択です。
〇 目覚めたる 夜半にのみほす 一杯の
水のうまさよ 八十五の春
( 芳垣 光男さん )
※ 夜半に目覚めるのは年のせい。一杯の水をうまいと感じるのは生ある証拠です。私は、85歳にはまだ間がありますが、生きている限りはこの方のように矍鑠(カクシャク)として生きたいものです。
〇 山すそに 廃寺となりて 残る寺
数基の墓と 忠魂碑立つ
( 北泊 あけみさん )
※ 岡野弘彦評 : 「日本の各地で、こうした無住の寺や神社がふえているようだ。人情や信仰の変化と言えばその通りだが、我々をはじめ子孫の安心を思うと気になる問題だ」。
忠魂碑を軍国主義の象徴などと言うことなかれ。そういう時代も含めて私たちの民族の歴史なのだから。
〇 君知らぬ 十六年を われ生きて
木犀の香の 秋はめぐり来
( 瀬古沢 和子さん )
※ 「君」は十六年前の秋に亡くなった愛する人(男)のことでしょう。死者は生きている者に温もりを残し、生きている者は死者に安らぎを与えます。
〇 残されし 人の元気が 供養だと
吾を救ひし 言葉を送る
( 高品 弘さん )
※ かつて大切な人が亡くなって打ちひしがれていたときに誰かに言っていただいた言葉を、今度はどなたかに送って励ましたのでしょう。死者にとって、愛する人が明るく生きていてくれることが、何よりもうれしい。
〇 爺がさす 駒見てそっと 孫がいふ
藤井さんなら ここに歩を置く
( 重親 利行さん )
※ 短歌ですが、まるで川柳のように笑いました。小学生でしょうか。賢く、しかも、やさしい少年ですね。
私の孫はかつて将棋教室に通っていましたから、しばしば言う私の「待った」を認めてくれませんでした。でも、将棋とは別に、孫はほっこりするようなやさしさを示してくれることがありますから、この歌はよくわかります。
★ ★ ★
16
( 宇佐神宮 )
今回、カテゴリー 「国内旅行 … 国東半島の旅」のうち、1から7までをメンテナンスしました。「秋の国東半島石仏を巡る旅」です。
題を変えたり、写真を一部差し替えたり、また、枠組をスマホ仕様にし、文章表現の手直しをしました。2014年11月から2015年にかけて書いた以下の7編です。
1 「旅の初めは羅漢寺へ」
2 「ドングリの杜の宇佐神宮に」
3 「国東半島は神と仏が習合した里」
4 「岩壁の熊野摩崖仏と神仏習合の起こり」
5 「幻の大寺を伝える真木大堂と田染荘」
6 「国宝の富貴寺阿弥陀堂」
7 「修験道の大寺・両子寺」
★
国東半島とは、どんなところだろう??
いつものように帰ってからいろいろ調べました。それを要約したのが、2、3、4です。知ることで、この地の味わいがより深くなりました。
また