( フォントネー修道院 )
ご無沙汰しましたが、次のような日程で、明日、旅に出ます。
第1日 (KL) 関空 ⇒ パリ ⇒ ジュネーブ
(ジュネーブ泊)
第2日 ジュネーブ観光 → ローザンヌ観光
→ ラヴォ~地区観光
(ローザンヌ泊)
第3日 ローザンヌ ⇒ ディジョン
ディジョン観光
(ディジョン泊)
第4日 ディジョン ⇒ モンバール
フォントネー修道院見学
モンバール ⇒ チュルニー
トゥルニュ観光
トゥルニュ → ディジョン
(ディジョン泊)
第5日 ディジョン ⇒ オータン ⇒ ディジョン
オータン観光 (ディジョン泊)
第6日 ディジョン ⇒ オーセール
オーセール観光 (オーセール泊)
第7日 オーセール ⇒ ヴェズレー
サント・マドレーヌ寺院見学
(ヴェズレー泊)
第8日 アバロン ⇒ パリ
パリ観光 (パリ泊)
第9日 (KL) パリ ⇒ アムステルダム ⇒
第10日 ⇒ (朝) 関空
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第1日目はジュネーブ泊。2日目はスイス・レマン湖付近を観光。
3日目の朝、スイスのローザンヌからTGBで2時間。フランスのブルゴーニュ地方の中心都市ディジョンへ。
それからは、鈍行列車や、時に列車の代用の路線バスに乗って、田舎の旅である。
ツアーではない。今回は、全部、独力の旅。
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一昨年、「フランス・ゴシック大聖堂の旅」に行った。
そのブログの1回目に、初めてシャルトルの大聖堂を訪ねたときのことを書いた。
書き出しは、井上靖の『化石』という小説の一シーンの紹介。主人公が、シャルトルの大聖堂のステンドグラスを見て、その美しさに感動するシーンである。
ちなみに、小説『化石』の主人公は、既に孫のいる初老のオーナー社長。一代で会社を立ち上げ、今は多くの従業員に信頼され、会社も軌道に乗っている。ここまで何十年も働きづめだった。家族も社員も、休養を取ることを勧める。勧められて、初めて休暇を取り、秘書の青年一人を連れてフランス旅行に出かけた。パリで少し体調をくずし、病院で癌が見つかる。癌と知るのは自分だけだ。そのまま旅を続けるが、自ずから「自分の死」と向き合うことを余儀なくされた旅になる。
その当時、癌は死の宣告であった。癌が見つかったら、手の施しようがなかった。だから、医者は、家族に知らせても、本人には告知しなかった。最期まで、患者は癌と知らずに死ぬ。
ところが、この小説では、外国旅行中のため、本人だけが知ってしまうのである。
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主人公は、シャルトルに行ってからしばらくして、若い日本人夫婦の案内で、ブルゴーニュ地方のヴェズレー、オータン、チュルニーという田舎の町(村)の聖堂を見て回る。そこで見たロマネスク時代の聖堂や彫刻は、ゴシック建築の荘厳さやステンドグラスの華やかさはない。だが、その代わりに、素朴な野の香りがして、どっしりとした古い石の温もりがあり、主人公の心を包んでくれるのである。
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この小説を読んだときから、フランスの野の香りのする田舎を旅してみたいと思った。
何度か、TGBの車窓からただ眺めて通り過ぎたフランスの田園風景。ゆったりと流れる川や林や牧場やブドウ畑や小さな村落……。
観光バスで、有名な観光地から観光地へと走っていく、その途中、遥かに遠く、夕日を浴びて建つ聖堂の塔と静かな村のシルエット……。
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韓国も、ソウルとそれ以外、と言われる。フランスも同じだ。パリとそれ以外。TGB網は、パリを中心に張り巡らされいて、パリを経由せずに地方都市から地方都市へと旅するのは意外と不便なのだ。
ゴシック様式の大聖堂は、当時、富が集積しだした地方都市に建てられた。今、その多くは県都だが、それでも、「フランス・ゴシック大聖堂の旅」は、結構、ローカルな旅だった。予約の必要のない「急行列車」で次の都市へ行くのどかな旅だった。
今回のロマネスクの旅は、もっとローカルである。「快速」「各駅停車」「鉄道バス」の旅である。
レンタカーを借りて運転すればよいのだろうが、それにはかなり勇気がいる。まあ、のんびりと、行ってこよう。