( 雪柳咲く龍田川沿いの遊歩道 )
今年の春は一気にやって来た。3月末には桜が満開で、桜の名所は花見客を受入れる準備もできていなかった。出店なども大あわてとなった。
私も、あわてて花見に出た。これはこれでエキサイティングである。
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春を詠じた、新聞投稿の短歌、俳句を4つ。
< 短 歌 >
〇 丘の上の 小さき寺の お坊さん
町に下り来て 桜餅買う
( をがは まなぶさん )
※ 選者の小池光氏の評がステキですね。「ほのぼのとした童話のような一首。… 春到来のよろこびが具体的に歌われていて、読んで楽しい」。
私には、地方の小都市の風物が思い浮かびます。
〇 たっぷりと 白い絵の具を 含ませて
風の形を 描く雪柳
( 小林真希子さん )
※ いかにも選者・俵万智氏の選んだ作品ですね。感覚的な歌です。
< 俳 句 >
〇 囀(サエズ)りや 二度寝に落ちて 森の中
( 木地 隆さん )
※ 春眠暁を覚えず。聞こえてくるのは、鶯の鳴き声でしょうか?? それとも、森の中のいろんな種類の小鳥たち?? 森の朝は、鶯の声がすぐ耳元で聞こえたり、耳につくぐらいに小鳥たちが囀ったりします。
〇 うとうとと ひと駅過ぐる 遅日かな
( 山上 陽太郎 )
※ 「遅日(チジツ)」は、日あしがのびて、日暮れが遅いというところから、昼間の長い春の日。ローカル線の車窓には穏やかな春景色。差し込む陽だまりの中、読書をしていて眠気を催し、ひと駅分ほどの時間をうとうととしてしまった。
もしや、降りるべき駅を、ひと駅乗り越してしまった?? それでは、私は何度も覚えがありますが、最終電車の酔っ払いになってしまいます。
< 龍田川沿いの遊歩道のウォーキング >
「龍田公園」は、龍田川沿いに2キロに渡って整備された県営の遊歩道で、歴史的には紅葉が有名だが、今は、春の桜も素晴らしい。桜を愛でながら、7千歩ぐらいのウォーキングができる。
( 桜の龍田川 )
その一角に三室山がある。
平安時代の和歌に詠まれた名勝の龍田川と三室山は、ここではない。以前、カテゴリー「随想…散歩道」の「春の龍田公園散歩道」に書いたとおりだ。
それでも、小高い丘が桜におおわれて、優美である。
( 桜におおわれた三室山 )
三室山に登ると、あちこちでお弁当が広げられていた。
満開の桜の下、のどやかな大和平野を一望できる。
( 三室山から大和平野を眺望する )
古来、和歌に詠まれた龍田川と三室山は、わが三郷町の西端、信貴山の南側にある。
おそまきながら、三郷町が「龍田古道コース」の整備を始めた。「伊勢物語」のなかで、在原業平(がモデルとされる「男」)が、「高安の女」のもとに通った道である。まだ作成途中のマップを役場でもらってきたから、一度歩いてみよう。
< 馬見丘陵公園の散策 >
馬見丘陵公園は、4~5世紀に築造された馬見丘陵古墳群と、その周囲の自然を保全するためにつくられた県営の広大な公園である。
樹木に覆われた古墳があちこちにあり、森と池と、ボランティアによって日々整備されている花壇も見事で、その間を遊歩道が巡っていて、四季折々の花々を楽しむことができる。
( 色とりどりのチューリップの花壇もある )
( 梅も、桜も、ハナミズキも )
ちなみに、この公園は、鹿と、春日大社と、東大寺や興福寺で有名な奈良公園に次いで、奈良県で2番目の県営公園だ。
桜と紅葉の龍田公園も、何番目かは知らないが、県営公園。
奈良万博で朱雀門や大極殿が公開された平城宮跡歴史公園も、最近、さらに整備が進められ、近畿ではいちばんのんびりしているように見えた奈良県もなかなか頑張っているのである。
馬見古墳群は、葛城氏の墳墓群の一部とされる。葛城氏は、応神・仁徳のころ、大王家に妃を出すほどの最有力の豪族であった。大和川より南、金剛・葛城山あたりまでがその勢力圏だったようだ。
この公園内には13の古墳があり、最大のものは、公園のはずれの巣山古墳で220m。
その一つ、ナガレ山古墳(105m)は、当時の姿が復元されて、興味深い。
下の写真の手前が「前方」部、奥が「後円」部。一段高くなった後円部が埋葬部で、方形の前方部分で祭祀が行われた。
( ナガレ山古墳 )
後円部に立つと、あたこちの桜の雲とともに、南西には葛城・金剛山から二上山、東には遠く三輪山も霞んで見える。
( 後円部に立つ )
ぐるっと公園のなかを歩いて1周すると、やはり7千歩少々である。
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< 大和川の遊歩道を歩く >
大和川沿いの遊歩道は、視界が大きく開け、自然が自然として感じられて心地いい。
遠くに生駒・信貴連峰が横たわって、大阪府との境界となり、金剛・葛城連峰との間を、大和川が流れる。
古代においては、ヤマトから大和川を下って難波津へ、そして、瀬戸内海を経て、朝鮮半島、大陸へと通じていた。
若いころ、役場の職員と話していたとき、「明治~昭和の戦前、大和川はもっと水量豊富で、帆船が多数行き交っていた」と教えてくれた。古代から近代まで、この川は、有力な物資輸送の役目を果たしていたのだ。もちろん、子どもたちは、夏になるとこの川で泳いでいたらしい。
私は流入者で、そのころのことは何も知らない。だが、土地の神様にお願いして、ここに骨を埋めるつもりだ。
菜の花の一種が一面に咲き、草むらの中には野の花が咲いて、楽しい。
( 大和川 )
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< 春、若者たちも旅立つ >
春は、若者も巣立っていく。
〇 夢多き 名前揃ひぬ 卒業す
( 奥 良彦さん )
卒業式の時に呼ばれる名前に、生まれたときの親の期待が込められている。最近は、きらびやかな名前も多い。それもこれも親心だ。
野球の大谷翔平は大リーグで夢のような活躍をし、将棋の藤井聡太は高1にして7段を目ざす。
〇 その額 盤に付くほど 深く垂る
師の投了に 藤井聡太は
( 中島 冨美子さん )
感動しました。とてもいい歌です。歌に詠まれた若者の姿がいい。
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今回、カテゴリー 「随想…散歩道」のうちの9と10、及び、カテゴリー「フランス・ロマネスクの旅」をメンテナンスしました。
枠組をスマホ仕様にし、また、写真を一部差し替えたり、文章表現の手直しもしました。2015年4月から8月に書いたものです。
〇 散歩道9 「まさをなる空よりしだれ桜かな」(2015、4)
〇 散歩道10「春の龍田公園散歩道」(2015、5)
以下、「フランス・ロマネスクの旅」から(2015、5~8)
1 旅の前夜に
2 ジュネーブへ、失敗を二つ
3 メルヘンチックなドイツ、空気の澄んだ瀟洒な町ジュネーブ
4 レマン湖畔の散策(鈴懸の花の旅)
5 日本のロマンティシズムと永世中立国スイスのリアリズム
6 ブルゴーニュ公国の都ディジョン
7 この旅の目的の一つフォントネー修道院へ
8 ソーヌ川沿いの小さな町トゥルニュ
9 イブは、若く健康なブルゴーニュの女性
10 ヨンヌ川の青い空と白い雲
11 ヴェズレーの丘はブルゴーニュ・ロマネスクの至宝
12 陽春のセーヌ左岸を歩く
(以上です)