石造美術のカテゴリには諸説あり、これが絶対というものはないようである。ここでは、特に異論がほとんどないものを扱う。
層塔、宝塔、多宝塔、宝篋印塔、五輪塔、狛犬、石燈籠、石幢、無縫塔、水船などはわかりやすい。石仏、板碑、笠塔婆、石室、石碑などになるといったいどれに分類されるのか専門家でも意見が分かれ、よくわからないものも出てくる。ある程度ひとくくりにして石塔という場合もあり、呼称にしても、例えば無縫塔は卵塔ともいうし、個々のカテゴリ内でも細分化される。結局のところ突き詰めていっても決定打には辿り着けないので、ある程度柔軟姿勢を許容し、論じたい対象や場合に応じ、便宜的に使い分けるしかないと考えるのである。