【人間ではなく神(ヤハウェ,エホバ)を信頼しなさい】
神(ヤハウェ,エホバ)により頼む人々は,地に40億の人々がいる割に自分たちのような人々が比較的に少ないからといって落胆すべきでしょうか。
いいえ,それで落胆すべきではありません。なぜなら,数が問題の正否を決定する尺度であったためしがないからです。人類の大部分はしばしば間違いをしてきました。
イエス・キリストは,「狭い門を通ってはいりなさい。滅びに至る道は広くて大きく,それを通ってはいって行く者は多いからです。一方,命に至る門は狭く,その道はせばめられており,
それを見いだす者は少ないのです」と言われました。
(マタイ 7:13,14)
確かに大衆の判断に頼ることは,「狭い門」を通って全き状態の命に至る方法ではありません。
歴史は,人間の約束が台なしになった例,またそれに盲従した大衆が害を被った例で満ちています。
人間の知恵に頼ることの愚かさは,特に前世紀において明白になりました。
そして今は,この高度に科学的な現代を見るという経験が加わっていますから,わたしたちは人間が成し遂げた事柄の結果を一層よく調べることができます。
人間が成し遂げた事柄と神(ヤハウェ,エホバ)のみ業とを並べて考えるなら,わたしたちが信頼を置くべき場所は一層明確になります。
科学に対するむなしい希望
より良い世界に対する人類の希望は,前世紀あたりから始まった科学の進歩によって大いに高まりました。
人類は輝かしい新時代に入りつつあると多くの人は考えました。
そして最後には,貧困,飢え,失業,病気,老齢,戦争などの問題はもう人間の力で解決できる,と考えられるようになりました。
その高い希望について,著述家のルイス・マンフォードは次のように述べています。
「設計が合理的であり,働きが完ぺきであることから,機械は今や人間のために偉業の新規準を定める道徳的力,実に最も優れた道徳的力となった,というのが一般の考えであった。……
「人間が抱えている弱さまたは障害はすべて,機械によって,化学によって,あるいは薬物を用いることによってすぐに解決される,と考えられた。アーク灯でさえ,これが最初に紹介されたときには,夜間の犯罪を防止するものであることは間違いなしとして歓迎された」。
「20世紀の大事件」(英文)という本は,科学が招いた別の暗い結果を指摘し,こう述べています。
「20世紀を形づくった力が科学知識のめざましい発達であったことに疑問の余地はない。しかし戦時中ほどその知識が精力的に追求されたことはなかった」。
戦車,飛行機,火炎放射器,機関銃,潜水艦,ミサイル,原子爆弾その他の兵器を科学は作り出しました。それらの兵器は,今世紀に,1億以上の人々の命を奪いました。それはどの時代をも上回る数です。
科学を利用する軍国主義が災いを招くものであることが明らかになっていても,諸国家は現在,軍備に年間3,000億ドル費やしています。
アメリカとソ連の科学者全体の約25%は軍事関係の仕事に携わっており,軍備管理または軍縮関係の仕事に従事しているのは1%の百分の一にも満たないのです。
科学は,世界的な犯罪の横行を阻止するのに役立ったでしょうか。いいえ,犯罪は増加してきました。
神の預言に,「終わりの日」にはそういうものが増加するとあるとおりです。
「不法なことが増えるために,大半の人の愛が冷えます」。
(マタイ 24:12)
「このことを知っておきなさい。終わりの時代は困難で危機的な時になります。人々は自分を愛し,お金を愛し,自慢ばかりし,傲慢で,神や人を冒瀆し,親に従わず,感謝せず,不忠実になります。 自然な愛情を持たず,全く人に同意しようとせず,中傷し,自制心がなく,乱暴で,善いことを愛しません。人を裏切り,強情で,思い上がり,神ではなく快楽を愛し,信心深く見えても実際には神を敬っていません。こういう人たちから離れなさい」。
(テモテ第二 3:1~5)
「邪悪な人々や詐欺師たちは,惑わしたり惑わされたりしながら,ますます悪くなっていきます」。
(テモテ第二 3:13)
アメリカの国勢調査局の示すところによると,アメリカだけでも,大きな犯罪が毎年3,700万件生じています。これは実際に警察に届け出られた数の三倍に当たります。
また医学は幾つかの病気との闘いに役立ちましたが,その一方では,手のつけられない状態になってしまった病気もあります。
心臓病は,性病のように疫病並になり,ガンは主要な死因の一つになりました。人間が,空気や土地や水を汚染し,また食品を化学的に処理するようになったために,保健問題は一層大きくなりました。それに科学は,老齢と死の猛威の前に全く無力です。人類の状態は,神の言葉が次のように述べているとおりで,少しも変わっていません。
「ひとりの人(アダム)を通して罪が世に入り,罪を通して死が入り,こうして死が……すべての人に広がった」。
(ローマ 5:12)
さらに,現代科学の非常な進歩にもかかわらず,パレード誌は,「世界には,飢え,貧困,文盲,失業などに苦しむ人々が今までになく多い」と述べています。