スタートストップボタンが効かなくなったというJUKI HZL-1000の修理を承りました。
お預かりして最初に電源を入れた時には液晶パネルの表示も出ず、スタートストップボタン以外も無反応だったので、コンピューター基板自体がダメなのか?とも思いましたが、通電してしばらくしたら液晶パネル他も反応が出始め、スタートストップボタンの接触不良が確認できました。
分解してスタートストップ基盤を取り出して洗浄したいのですが、このミシンの分解は中々難しいです。
ここまで分解するのに何本ビスを抜いたか?
今まで色んなミシンを修理してきましたが、このミシンが一番分解が厄介です。
前カバーの内側のこれがSS(スタートストップ)基板です。
四角いグレーのラバーキャップを外して接点洗浄剤を掛けます。
仮組してスイッチの反応を見ましたところ、洗浄前とは違ってスイッチの反応は良く成りました。
組み直して試し縫いをしましたら・・・
あれれ?
スタートストップ、ちゃんとスイッチは効きますが、モーターも回ってますが針が動きません。
ジャノメのミシンには無い機構ですが、このミシンは横縫いが出来ます。
布を横に動かして、ミシンの針の横のふり幅よりも大きい模様縫いが出来ます。
JUKI HZL1000
布が横に動いているのが解るでしょうか?
それと縫いはじめと縫い終わりに、ミシンが動いているのに針だけが動いていないの解りますか?
赤い矢印の所が左右に動き、S字の所が外れて針が動かずに送り歯とか他の機構だけが動くって仕掛けが有るのですが、普通に針が動いて動作するようにする為に、S字が再度ロックされなければ針が動かないって事に成るのですが、ロックさせる時に針棒を押し戻すゴムブッシュが劣化して欠落していました。
○で囲んだところの下部にゴムブッシュが付いていたのですが劣化して溶け落ちていましたのでウレタンを整形してアルミテープで固定しました。
アルミテープは接着力も強く形も整えやすいので、細工して修理するときには使いやすいですね。
接点洗浄でSSスイッチの動作も問題なく成りましたし、欠落したゴムブッシュの代わりも細工しましたので、これで問題なくこのミシンは蘇りました。
的確に故障箇所を探し出すなんてさすがです
このミシンだとコンピューター制御の上糸調子が壊れるともうどうしようもなく成ります。
ま、横縫いは縫い目があんまり綺麗じゃないけどね。