「ふみの時」神野文子(じんのふみこ)のブログです。

朗読家・声優・ナレーター・朗読教室主宰・大学非常勤講師・パフォーマンスインストラクターの神野文子の最新情報など。

でんでんむしを見ない悲しみ

2014-05-31 | 朗読

先日、実家のある小さな町で、朗読指導をしました。

この時期、「山笑う」という季語がありますが、晴れて

いる日は、まさに、山が笑いながら迫ってくる。空気は

おいしいし、だから行くのが楽しみでした。

 

この日教材として使ったのは、新見南吉作

「でんでんむしのかなしみ」

これは、悲しんでいるでんでん虫が、この悲しみをどうしたら

よいのだろうと、仲間のでんでん虫に相談に行く話です。

3分弱で読めますが、何だかとても奥深いのです。

美智子妃殿下が子どもの頃読んで印象に残っている本の一

つとして、この作品も挙げていました。

今は、あじさいとでんでん虫が描かれている、きれいな

絵本も出ています。

 

でも、紫陽花はよく見ますが、でんでん虫はもう20年くらい見

かけたことがないです

どうしてでしょう、田舎に行けばいるのかな?

でんでんむしを見ない悲しみ、ですね。

 

梅雨の間に、どこかで見られないかな    

 


「野のなななのか」と「かさね」

2014-05-31 | アート

あすからは6月。紫陽花も色づきはじめました。

 

先日、アナ雪でも、テルマエでもなく、何の気なしに

「野のなななのか」という大林宣彦監督の映画を観ました。

舞台は北海道の芦別、かつては炭鉱で栄えたところ。

自然が豊かで、野の花が咲き、映像が美しい。

そこで、元医者で今は絵を描いているおじいさんが死ぬ。

そこから七つの七日、つまり四十九日までの、家族や周りの

人たちのそれぞれの思いや、人生や、過去や、繋がりや、

断絶や、生まれ変わりや、戦争も、東日本大震災も、原発も、

いろんなものが描かれていた。それらが、中原中也の詩や、

その他の文学と共に語られていく。どう受け取っていいのか、

戸惑いつつ、嫌いじゃないぞこんな映画も、と思った。

 

登場人物の一人、おじいちゃんの孫娘は北大生で名は「かさね」。

私はすぐにピンときた。芭蕉の「奥の細道」だ。那須野のくだりに

「かさね」という女の子が出てくるのです。「かさねとは八重撫子の

名なるべし」と同行二人で芭蕉と一緒に旅した曾良の句がありま

す。なでしこと言えば美しい日本女性、かさねは更に更に美しい

日本女性という意味になると思う。

いい名前だな、我が子はもう無理だけど、誰かに女の子が生まれ

たらお勧めしたい名だとずっと温めていたのです。

大林監督に先を越されてしまった。なんてね。この映画見て、私と

同じこと思う人、他にもいるだろうな。

 

それにしても約3時間の大作。私の勝手な推測では、撮っている

間に監督の頭の中で、何かがドンドン増殖していったのでは。

そして編集して編集して、研ぎ出されたように現れたのが、この

171分なのだろう。

 

大林ファンはもちろん、見てわかりやすい映画だけが映画ではな

い、と思っている人にはお勧めです。

 

 


ローズメイ2014

2014-05-20 | なにやかや

ローズメイ2014

 

薔薇の五月。

今年も薔薇苑へ行ってきました。

薔薇の香りに包まれて幸せ~。

巷では、いろんな香りの商品があり、香りの合成技術もとても優れていて、

いい香りの物もいっぱいあるけど、やっぱり自然に香る薔薇の香が好きです。

 

苑内にハマナスもありました。

あれ?と思いましたが、ハマナスは薔薇の一種でした。日本に原生する薔薇

の一つで、その実がローズヒップ、お茶にして飲むとさわやかですね。

 

薔薇は美の象徴のようにも感じます。

 

古い映画ですが「The Rose」のヒロインの名前もローズ。

でも、薔薇色の人生ではなかった。ローズの生涯は痛々しかった。

主演のベット・ミドラ―が歌う「ローズ」はヒットしました。美しく切ない、素敵な

曲で、今までにいろんな人がカバーしています。

たしかー、都はるみさんも日本語の詞で歌ってた。

 

 

 

今月も下旬になってきました。薔薇の5月を味わっておくのもいいかも。