「ふみの時」神野文子(じんのふみこ)のブログです。

朗読家・声優・ナレーター・朗読教室主宰・大学非常勤講師・パフォーマンスインストラクターの神野文子の最新情報など。

フォルトゥナバレンティノさんのこと

2016-02-29 | アート

神野の世代はバブル期に、皆さんデザイナーズブランドの服や

バッグや小物を持っていました。個人的にはたくさんは持って

いませんでしたが、でも一通りのブランド名くらいは知ってい

ました。その中の一人、マリオヴァレンティノさん。よく名前

を聞くし、商品もいろいろありました。そのころ彼はお嬢様を

連れて来日したこともあります。それがフォルトゥナさん、今

はお父様の血を引いたのでしょう、ファッションデザインナー

としてミラノを中心に活躍しています。彼女は、都会的でかっ

こよくて、どこか可愛げがあるファッションが得意のようです。

まさにミラネーゼを生み出しています。

一度お会いしたことがありますが、イタリア女性としては小柄

な方ではないでしょうか、エネルギッシュで明るい気さくな感

じでした。そして、さまざまなアイテムに対して「ベッラ!」

「ベッラ!」と、イタリア語の「美しい」を連発していました。

このフォルティナさんのお洋服を、私の後輩がテレビ・webの

通販QVCで紹介しています。先日は春向けの新作ファッショ

ン、次は8日16時から、バッグやグッズなどを紹介します。

 

コートを脱ぐと、「おしゃれをしよう!」という気にさせられ

ます。もうすぐですね。


着物は柄の前に織だと思った!手織り生繭座繰りの冨田禎子さん

2016-02-27 | アート

手織り生繭座繰り着尺を生み出す名手、冨田禎子さんにお会いしました。

(テオリナママユザクリキジャク、ちょっと聞き慣れないことばです)

 彼女のこの日のいでたちは、もちろん自作のもの。グレーの着物、実物は

光沢があり、シルバーグレーのよう。動きにより濃淡や陰影も出てうっとり。

同系色の帯もおしゃれで、整った姿。とてもきれいな方です。

彼女のこだわりは、群馬県産の生繭からとった生糸に、草木で染めるとこ

ろから自分でやること。

上の写真の背景になっている一番左の薄紫の着尺は、藍染め。藍といえば

いわゆる藍色に染まるものとばかり思っていましたが、染め方によっては

こんな色にもなるのだそう。美しい薄紫で、着物はもちろんドレスにして

もいいかも、と思いました。

 

この写真の、糸の状態で置いてある右から3つ目の黄色は黄八丈に。

小鮒草(コブナグサ)で染めるので、鮮やかな黄色が出るのだそう。

 着物は柄に目が行きがちですが、手織りの無地は本当に味わいがあ

ります。

もしも、これで振袖を仕立て成人式に出たら、艶やかな柄ばかりの

中で、柄がない分かなり目立ちます。真に豪華で美しいことでしょう。

着尺はほぼ二反分必要だそうです。

 

 

着物の雑誌にも紹介されています。

美しいものを生み出す人、尊敬します。

 

 


縄文の炎はレース文様に

2015-08-13 | アート

 

この透け感、涼しげな、花器。

中にガラスの器を入れて、花を生けたい。

キャンドルや電球を入れて、ランプシェードにも。

作者は高橋征子さん。

透かし彫り・線彫りを得意とする陶芸家です。

 

これは小さくて気軽に買える作品ですが、

本来の彼女の作品は、大きくて、芸術的で、感動です。

火炎土器のような形に、繊細なレースのような透かし彫りや、

線彫りが施されていて、すごくきれい。

さまざまな賞も受賞されています。

 

そんな高橋さん、朗読に興味を持ってくださり、勉強を始めました。

日頃、作品作りにお忙しいのですが、全く別の世界「朗読」で、

お役にたてることは何でしょうか?

何かを表現するという共通項はありますので、有意義な勉強時間

になれば、とても嬉しいです。

 

 

この器は、お香をたくこともできます。

 

高橋さんの作品や、彼女が選んだ素敵な器のギャラリー

「土の花・ゆき窯」は下記のページでも紹介されています。

 

http://www.navida.ne.jp/snavi/4392_1.html

 

 

 


文とつけば聞き捨てならず、

2015-08-13 | アート

 

 

 先日、書家の凰月さんに、江戸文(えどふみ)の手ほどきを受けました。

小筆で描いた文字に、型染めの絵を付けて完成するもので、登録商標も取ったそうです。

私、筆ペンもあまり得意ではありませんが、お習字の小筆は中学以来持ったことがないくらい。

まず、お手本を見てふうりんと書きます。ふみ子拝も書きます。そして、型染め。

型染めの型は、今は京都でも3人くらいしか作っている方がいないそうです。

その型を、紙に置いて、上から絵具を網とハケで霧状にして吹きつけていく感じ。

型はいろいろありましたが、夏らしい「青海波」にしてみました。

 

 

 

江戸文には、江戸の風情を感じます。

手紙ですから、誰かに出すために作ります。誰に出そうかな。

字はまずいが、楽しく作ったことが伝われば幸いです。

 

この日、着物で参加するとよい、とのことでしたので、こんな感じで。

もう17年くらい前に買った、寛斎さんのものです。

 

夏の着物で、小筆を持ち、型染めをし、

華やかな静けさに、こころあそぶ、ひとときでした。

 


墨に色を感じて

2015-06-04 | アート

 

もう6月ですね。

先月のことですが、

同じ大学の講師で水墨画の萬柏(マン バイ)先生が、

お仲間と5人で展覧会をなさいました。

招待カードの写真です。真ん中の藤の絵が

萬先生の作品です。

水墨画って色は使わないのかと思っていましたが

色も使うそうです。

藤も、まさしく藤色で描かれている作品と、

墨だけのモノトーンの作品が展示されていました。

黒牡丹という作品も素敵でした。

墨と色、どっちも好き!

 

横浜の林光寺の天井画も描かれたそうです。

まだ実際に行って観たわけではないのですが、

ネットで観ただけでも、花々が美しい。

 

今度実際に見てみたい。

 

 


六甲おろしの作詞家は?

2015-05-22 | アート

 

 

先月のことですが、「華やかな散歩」というお芝居を見てきました。

詩人で作詞家の佐藤惣之助が主人公です。

 

代表作は、昭和11年発表の「六甲おろし(大阪タイガースの歌)」

「湖畔の宿」「赤城の子守唄」「人生の並木路」など。

 

彼は、日本における口語自由詩を確立した萩原朔太郎とも

親交があり、先妻病死後、朔太郎の妹、萩原愛子と再婚している。

わたしは、長年、群馬マンドリン楽団の公演で、朔太郎の詩を朗読し

たりし、朔太郎には親しみを感じています。では、佐藤惣之助はどん

な人だったのだろうと興味を持ち、観に行ったわけです。

 

彼は、釣り竿片手に、日本全国をまわり詩作に専念、花とお酒が好き、

まさに、華やかな散歩のイメージ。そんな中でも、当時台頭してきたレ

コード界の作詞を求められたり、戦意高揚の歌詞を強要されたり、葛

藤もあった。

 

義兄である朔太郎は、昭和17年5月11日、56歳で亡くなったのです

が、そのときは惣之助が葬儀委員長を務めました。

そしてすぐあと、何ということか、その惣之助も脳溢血で倒れ、

5月15日、52歳で亡くなってしまいました。

 

劇中に、作曲家の古河政男が訪ねてきて、ちょっとしゃべってギターを

弾く場面があるのですが、この古河政男役をやっていたのは、

クラシックギタリストの伊東福雄先生でした知らなかった

素敵な音色だなと思っていたのですが、まさか知っているギタリストが

出演しているとは思わなかったので、嬉しい驚きでした

 

 


見えてるけど見えないことに

2015-04-29 | アート

国宝の屏風を見に根津美術館へ。

「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」

尾形光琳の華やかさは、中学の美術の教科書でも感じていま

したが、今回はじめて実物を見ました。

パンフレットの写真では、屏風の枠が写っていませんので、

一枚の横長の絵のように見えますが、

どれも真ん中で切れていて、二つ一組の屏風です。

実際は10センチ近い黒っぽい枠がついています。

「紅白梅図屏風」の中央の川はかなりの面積を占めていま

すが、その真ん中を分断するかのようにここで切れていて、

双方の屏風の枠があるので繋ぎ目が20センチ近く離れて

います。この枠ちょっと邪魔な感じがします。

そうか、こういうものだったのか、実物は。

でも、頭の中でその枠は無いことにし、絵をつなげて

見るようにすると邪魔ではなくなります。

そうだ、歌舞伎や日本舞踊や文楽の黒子と同じだな。

(ちなみに黒子はクロゴが正しい読みであると、伝統芸能の

渡邊守章先生に以前教えて頂きました)

黒子は、見えているけど存在しないことにする、ある種の約束

ごと。日本独自の美意識かもしれない。

それにしても「紅白梅図屏風」は、熱海のMOA美術館がオープ

ンした頃の夏に行って、ここで所蔵していることを知り少し意外

でした。熱海は梅園も有名だからかな?

年一回、梅の時期に公開されるとわかり、今年こそは、

梅の時期に行って見てやろう、と毎年思っていてまだ実現して

いなかったのです。

 

今回は国宝二つが一緒に展示されていて、圧巻でした。

やはり唯一無二の実物は、美しかった。

ただ、土日はかなり人が多くて、一歩下がって見ようとしたら、

すぐ後ろに人がいて足を踏んでしまったり、でした。

 

 

 

 


子羊さんがやってきた

2015-01-30 | アート

 

毎年、新しい干支になると素敵な刺繍の壁飾りを作ってくださるマダムT.さん。

人生の先輩ですが、私の朗読教室の生徒さんです。

今年もありがとうございます。クロスステッチのひと針ひと針が温かく感じます。

可愛い羊、今歩きだしたばかりかもしれません。

ブログでご紹介するのが遅くなり、1月ももう終えそうですが、

今年も見守って頂いてます。そして楽しませて頂いてます

 

 


あっ、ここが柘榴坂でしたか。

2014-09-21 | アート

柘榴坂っていい名前ですね。

昔は柘榴の木があったのかな?

品川駅からグランドプリンスホテル新高輪に行くときに上って行く坂が

柘榴坂でした。知らなかった。

 

映画「柘榴坂の仇討」を見ました。

この映画のタイトルは、熟すと鮮烈で透明感のある赤い果肉を持つ柘榴が、

仇討の場を連想させるようにできているような気がして、美しい仇討の話だろ

うと勝手に想像していました。浅田次郎さんの原作です。

登場人物それぞれが魅力的で、幕末から明治の人々の様子も描かれてい

て、興味深かった。

 

それにしても、明治維新の頃の人々はどんなにか混乱したことでしょう。

外見も中身もお侍さんのままの人もいれば、洋服を着て、今までの考えは古

い古いと捨て去る人もいる。廃藩置県や何やで、いろんなことが変わる中、

仕事がなく、どうしていいかわからない人もたくさんいたことでしょう。

その頃の廃藩置県が今まで続いているわけですから、考えてみれば、驚き

でもあります。

 

 


君たちはなぜ、怒らないのか

2014-09-03 | アート

2013年1月15日に亡くなられた映画監督、大島渚さんの言葉です。

今年、そのご子息である武さんと新たさんとで、本を出されました。

大島渚の発した言葉の中から、50の言葉を選び、それぞれのお立

場からその言葉にまつわる思いを書かれています。その中の一つが

タイトルにもなったこの言葉です。

この本は、たんに「ウチでは、こんなパパでした」というだけの本には

したくありませんでした、と武氏が前書きで述べているとおり、お二人

ともご自身の立場から、素直な感性と分析力で、記述しています。

ますます大島渚監督に興味を持ち、作品をじっくり見なおしたいし、見

ていない作品も見てみたいと思いました。

それにしても、大島監督の映画って良くわからないと思う方もいると思

います。それについては、本書の中でこんな引用があります。

「とかく映画作家の魅力を○○ して語りたがるジャーナリストや観客に

とって、常に毅然と○○ を拒んできた大島の映画群とつきあうことは、

いささか過酷であったかもしれない」

(樋口尚文著「大島渚のすべて」キネマ旬報社2002年)

さて、○○ に入る言葉は何でしょうか? 二字熟語です。

私はこれを読み、そうだったのか、腑に落ちた、という気がしました。

もしよろしかったらご一読を。

「君たちは、なぜ、怒らないのか」日本経済新聞出版社(1500円+税)

 

そういえば、思い出したことがあります。

日本舞踊家の花柳幻舟さんのことです。彼女は家元制度はおかしいと、

家元傷害事件を起こしたり、いろいろお騒がせの人で、TVのワイドショー

や週刊誌ネタにされていました。その後、今から10年以上前でしょうか、

お会いする機会があり、当時のことを、正確な言葉は忘れましたが、概ね

次のように述べていました。

「家元制度はおかしいと思った、それに対する抗議から、あのような行動

に出た。今思えば、自分に教育がなかったから、あのような事件を起こし

てしまった。当時マスコミなど社会のどこからも批判され叩かれた。味方

になってくれたのは、大島渚監督ただ一人だった」

大島渚監督にタブーはないのだ。