18年って一口に言うけれど、そりゃ長いと思う。トム・ハルマンとお互いに刺激し合って新作を作っていた頃、今のようにネット社会でもなく写真と手紙が届くのに行って帰って3週間、彼の次の手紙が届く前に仕上げてしまおうといつも必死だった。
当時はミノルタ(Tom)とペンタックス(Jiro)のカメラを使っていたと思う。彼の機体の方が大きいので撮影するのも大変、機体のバックに使う紙とか布は私の方が機体が小さい分簡単。
そうやって送られてくる写真はいつしか同じ様なショットになり、色合いになり、カメラの設定も似たようになっていくのがわかる。どうやっても鮮やかな色が出ない時はコダックの低感度を使ったり、時には二人ともアグファで撮ったりもした。
その頃からずっとトムのハンガー(格納庫)にいた、あの「ギャドフライ」が今年行われたマンシー(Muncie)の競技会で巨大サーマルに乗りフィールドを飛び出してしまう、その日からハンガーに帰ることもなく・・・
「飛行機を無くす」って行為はどんな時だって寂しいものなんだ。たとえその機体がフライ・オフ最後のラウンドで一番高く上がり堂々優勝が決った時だって、小さな公園でほんの少し飛んだだけなのに風向きが悪くて見えなくなりどんなに探しても出てこない時だって、良く飛んだ機体には興奮もするけれど、それが帰って来ない時はやっぱり寂しいと思う。無くすこと覚悟でゴムの巻き数を増やして勝負する事は昔何度もあったけど、後でむなしい気持ちになるんだ。
いつでも飛ばせるきれいな状態で18年間も手元にあるって事は、もしかするともうこの機体はどんな事があっても幸運の女神が住みついて、いつだって手元に戻ってくるよ!って考えそうになってしまう、何処かの庭に軟着陸して電話がかかって来るとかネ・・・18年だぜ18年!
ギャドフライ最後のショットに加工して今年のクリスマス・カードにしたトム、2012年この機体があの時のままでハンガーに戻ってくる事を祈ってるよ!
Hi Jiro-
Cheers to the Holidays & New Year!
This was the final flight of the Gadfly as she flew out of sight in Muncie, IN after 18 years of being in Hallman's Hangar...
Thanks for the many years of friendship.
Tom