映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『しあわせのパン』

2012年03月20日 | Weblog
よい

三島有紀子 監督・脚本
原田知世、大泉洋、森カンナ、平岡祐太、光石研、八木優希、中村嘉葎雄、渡辺美佐子、中村靖日、池谷のぶえ、本多力、霧島れいか、あがた森魚、余貴美子 声の出演:大橋のぞみ

東京から洞爺湖のほとりの月浦に移り住み、パンカフェ“マーニ”を開店した夫婦、水縞尚とりえ。夫がパンを焼き、妻がそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そんな小さなお店を、少しだけ悩みを抱えたいろいろなお客たちがやって来る。そしていつしか、心に小さなしあわせをみつけて帰ってゆくのだった。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=340698




映画館で観た。

全国パン協会推薦映画(ウソ)。

オーソドックスな作品のフリして挑戦的な脚本なのがとてもおもしろい。

北海道の小さなホテルを夏・秋・冬・春の順に描いているのだが、それぞれのエピソードがあまりにも類型的・ありきたりで表面的にはフツーの話だと思いきや、いろいろと小細工がある。


以下ネタバレ









トキオが東京に行くのはどうかと思うが、たとえばわたしは冒頭の郵便屋さん(とて郵便屋さんの制服には見えないが)が配達のついでに食事をしてなおかつ支払いシーンがないというところでもう不愉快になっていた(笑)。しかし、この作品の中では鏡を買うときもチェックアウトするときも野菜を買うときもとにかく支払いシーンはないのだ! じゃあお金は出てこないのか? いやいや別のところで出てくるのだ(笑)。

ホテルだったらパンだけじゃなくて米も用意しとかなくちゃいかんだろ! そういう客が冬に出てきます(笑)。

原田知世と大泉洋をはじめ、出演者がおさえた演技で話が進むなか、余貴美子と八木優希のふたりがおそるべき存在感をだしてくる……。耳がよすぎるおばさん。

どうも観るものの気持ちまで監督に読まれているような気がしてくる。しかもそれが気持ちいい。

そしてここがもっとも魅力的なところだが、パンなどの食べ物の音がすばらしい。音にこだわった料理番組はあったと思うが、映画では(特に邦画では)珍しいのではないか。

エンディングの曲と夏の大泉洋のセリフとが呼応しているのも心憎い。どうしても曲名が知りたい人はこちらのポッドキャスティングをどうぞ。

http://podcast.rkk.jp/33cinema/2012/03/post-fe40.html