Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

簡単アンケート第 51 弾 心臓血管外科術後管理の結果がまとまりました

2016-04-05 15:02:00 | 集中治療

JSEPTIC 簡単アンケート第 51 弾 心臓血管外科術後管理の結果がまとまりました。

http://www.jseptic.com/rinsho/questionnaire_51.pdf

ご興味のある方は是非ご一読ください。他施設の状況を知る良い機会になると思います。

個人的には、ほぼ予想した結果になったと思います。大変興味深く拝見させていただきました。ご回答の皆様、ありがとうございました。

この場を借りて、一部に答えにくい質問があったことをお詫び申し上げます。

JSEPTIC簡単アンケートはまだまだ続きます。アンケートで他施設の状況を聞いてみたい、という方は事務局までご連絡下さい。

引き続きよろしくお願いします。


JSEPTIC ICU での早期リハビリ 1Day ワークショップ のお知らせ

2016-03-26 21:35:17 | 集中治療

JSEPTICリハビリテーション部会(神津玲先生、飯田有輝先生、鵜澤吉宏先生、小幡賢吾先生、小松由佳先生、高田順子先生、森沢知之先生、横山仁志先生、他)から、ワークショップのお知らせです。

学んだ内容が翌日から活かせるように実技指導ならびシミュレーション機器を使用した実習が主体です。興味のある方はどうぞ。

http://www.jseptic.com/seminar/index.html


「JSEPTIC~ICU での早期リハビリ 1Day ワークショップ~」

【開催日 】2016 年 6 月 19 日(日) 8:45 受付開始 9:10 講義開始 16:30 終了予定

【対象】ICU のリハビリに関わる医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
・臨床工学技師・薬剤師など

【プログラム】(仮題・予定)
「早期リハビリのための基本知識」
講師:讃井 將満 自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部
「鎮静・せん妄・疼痛の評価とその実施」
講師:小松 由佳(杏林大学医学部付属病院 集中ケア認定看護師教育課程)
「身体評価とベッド上での練習(実習)」
講師:森沢 知之(兵庫医療大学 リハビリテーション学部)
小幡 賢吾(岡山赤十字病院 リハビリテーション科)
「離床時の注意点・介助方法・離床の実習」
講師:高田順子(東京ベイ・浦安市川医療センター リハビリテーション室)
講師:鵜澤吉宏(亀田総合病院 リハビリテーション室)
JSEPTIC リハビリ部会委員 http://www.jseptic.com/rehabilitation/index.html
(神津玲・飯田有輝・鵜澤吉宏・小幡賢吾・小松由佳・高田順子・森沢知之・横山仁志)

学んだ内容が翌日から活かせるように実技指導ならびシミュレーション機器を使用した
実習を多く含んだ企画としています。動きやすい服装・履物でご参加ください。

【参加費】8,000 円(税込)
※ご入金後の返金はいたしませんので、ご注意ください。
※昼食のご用意はございません。

【キャンセルポリシー】
・振込み後のキャンセルにつきましてはご返金できません。(振込後、万が一ご参加でき
なくなった場合は、別の方を振替えて参加してもらうことは可能です。その際は下記問い
合わせ先へ事前にご連絡下さい。)

【定員】 24 名

【会 場】 :パラマウントベッド メディカルデザインスタジオ東京
東京都文京区本郷 5-28-3(パラテクノ本社ビル 1F) アクセス:東京メトロ丸ノ内線・都営地下鉄大江戸線
「本郷三丁目」駅より徒歩 5 分(東大赤門近く)

【お申し込み方法】1⇒2の順番で実施してください。
1申込みフォームをダウンロードして必要事項をご記入ください。
申込みフォームをダウンロード
2記入を終えた申し込みフォームを下記アドレスへ添付してメール送信してください。
JSEPTIC20160619@paramount.co.jp
申し込み締切は 4 月 14 日(木曜日)24:00(応募多数の場合は抽選とさせていただきます)

【問合わせ先】
パラマウントベッド株式会社 クリティカルケア部 担当: 澤田、橋本
TEL:03-3648-2290 FAX:03-3648-1187
E-mail: JSEPTIC20160619@paramount.co.jp
主催:NPO 法人日本集中治療教育研究会(JSEPTIC)
共催:パラマウントベッド株式会社

****** お申し込み前に必ずお読みください *******
申込みフォームにご記入いただくメールアドレスが携帯電話の場合、迷惑メール防止の為
に受信設定をしていると受信確認メールを受け取ることができません。
受信設定をしている場合は、「@paramount.co.jp」からのメールが受け取れるよう設定を行
ってください。

*au の携帯電話をご利用のお客様で、なりすまし規制を設定されているお客様は「指定受
信リスト設定」と合わせて、「指定受信リスト設定(なりすまし・転送メール許可)」に
「@paramount.co.jp」を登録してください。詳細の設定方法については、こちらのページ
をご覧ください。
受信設定の確認は以下を参考にしてください。
・NTT ドコモ http://bit.ly/Kmxx0z
・au http://bit.ly/Kmxyl7
・ソフトバンク http://bit.ly/KmxyS5
*******************************


Intensivist特集 心臓血管外科 後編

2016-02-10 01:24:42 | 集中治療

Intensivist特集 心臓血管外科 後編が刊行されました。

前回に引き続き心臓血管外科特集ですが、今回は主として集中治療の先生方にご参画いただいて術後管理の内科的な部分を中心にまとめました。

企画・編集に当たり、前号と同様、東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科の田端 実 先生のご指導のもと進めることができました。この場を借りて感謝申し上げます。

知りたい基本が載っている内容になったのではないかと自負します。その一方で、何とIntensivist誌史上初のシステマティックレビュー論稿が掲載されました(薬物の適応とcontroversy その2:シベレスタット,チオペンタール,ステロイドに関するシステマチックレビュー)。

是非お手に取ってご覧くださり、ご意見賜ればさいわいです。

ちなみに3月12日は東京ベイ・浦安市川医療センターで、心臓血管外科をテーマにJSEPTICセミナーを開催しますので是非いらして下さい。詳細は、間もなくMLやHPでお知らせできると思います。

また、JSEPTIC Club(有料)では、Intensivist の執筆者の先生方にご協力いただき、レクチャー動画を配信いたします。心臓血管外科特集前編からスタートです。近日中に準備が整うと思いますので、こちらもまたMLやHPでお知らせいたします。

JSEPTICも引き続きよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、田端先生をはじめ執筆、編集、レビューにご協力いただいた先生方、ありがとうございました。

 

以下、コンテンツ

特集 心臓血管外科 後編
責任編集:田端 実 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
     讃井 將満 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
企画協力:則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器内科・集中治療科
     平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

Intensivist誌では,第28,29号において「心臓血管外科」というテーマを取り上げることに致しました。心臓血管外科においては,ICUでの周術期管理が欠かせません。従来は,心臓血管外科医がICUに張り付いて術後管理をするというシステムが一般的でしたが,近年は,集中治療医が心臓血管外科医と共に術後ICU管理を行うシステムが広まっています。実際に手術を行わない集中治療医が術後管理を行ううえでは,心臓血管手術を知ること,心臓血管手術特有の術後病態生理や合併症を理解すること,心臓血管外科医と良好なコミュニケーションを取ることが欠かせません。後編では,各術式に共通した管理,合併症についてまとめます。

前書き:頭でやる心臓血管外科の術後管理
 田端 実 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科

心臓血管外科における周術期管理
1. リスク評価と術前管理:多様化する術式に対するリスク評価法のアップデート 
  宮原 俊介・大北 裕 神戸大学医学部附属病院 心臓血管外科 
2. 術後の輸液管理:維持すべき循環血漿量を“範囲”としてイメージする 
  下薗 崇宏 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科・集中治療部
3. ペーシング:心外膜ペーシングの使用・管理法と注意点 
  河野 裕志・田端 実 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
4. ドレーン管理:適切な管理法とピットフォール 
  平岩 伸彦・田端 実 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
5. 胸骨正中切開術後の心肺蘇生:その特殊性と再開胸を含めた対応
  神尾 直 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
  松永 渉 横須賀市立うわまち病院 麻酔科/自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科    
  大塚 祐史 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科
6. 慢性透析患者の周術期管理:透析患者の特殊性と周術期に注意すべきポイント
  松尾 耕一 新東京病院 集中治療部
7. 薬物の適応とcontroversy その1:冠血管拡張薬,フロセミド,カルペリチド,トルバプタン
  小山 洋史 自治医科大学附属さいたま医療センター 救急部
  讃井 將満 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
8. 薬物の適応とcontroversy その2:シベレスタット,チオペンタール,ステロイドに関するシステマチックレビュー
  下山 哲 自治医科大学附属さいたま医療センター 救急部
  讃井 將満
9. 心臓血管外科術後リハビリテーション:患者の特徴や疾患特異性,術式別特徴を把握したプログラムで介入
  櫻田 弘治 心臓血管研究所付属病院 リハビリテーション室
  高橋 哲也 東京工科大学医療保健学部 理学療法学科

術後合併症
1. 心臓血管外科術後のショック:低心拍出量症候群(LOS)を中心に 
  則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器内科・集中治療科
2. LVAD時代の右心不全と肺高血圧症:米国からの知見
  廣 仁・田中 大造 Thomas Jefferson大学 外科 心臓胸部外科部門
3. 不整脈:細やかな対応が求められる術後不整脈の予防と治療
  川堀 真志・金子 剛士 Division of Cardiac Surgery, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School
4. 縦隔出血:診断,治療,再開胸の適応とタイミング
  飯田 泰功 済生会横浜市東部病院 心臓血管外科
【コラム】止血薬のエビデンス:トラネキサム酸,カルバゾクロム,アプロチニン
  飯田 泰功 
5. 縦隔炎:早期の診断・治療が大切
  木下 武 滋賀医科大学 心臓血管外科
6. 脳合併症:患者の危険因子評価に基づく総合的な予防戦略を
  藤澤 美智子・武居 哲洋 横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
7. 対麻痺:遅発性対麻痺への対応と,脊髄ドレナージ合併症予防の時代へ
  清水 淳 榊原記念病院 麻酔科
【コラム】オピオイドは脊髄虚血を誘発するか:麻薬誘発性対麻痺は従来の脊髄障害とは何が異なるのか
  清水 淳
8.非閉塞性腸間膜虚血(NOMI):NOMIプロトコルを作成し早期治療を目指す
  佐藤 瑞樹 倉敷中央病院 救急科
  青松 昭徳・讃井 將満 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
【コラム】心臓手術後の高乳酸血症:乳酸値が急激に上昇,遷延する症例には積極的な原因検索が必要
  佐藤 瑞樹・讃井 將満

アドバンス・ケア・プランニング
1. 心臓血管外科周術期におけるアドバンス・ケア・プランニング:望まない術後経過に適切に対応するために
  平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

後書き:心臓外科医から学んだこと
  讃井 將満


連載
■Lefor’s Corner 第19回:Vasoactive Drugs Part VIII. Isoproterenol
   Alan Kawarai Lefor,Misato Maeno Department of Surgery, Jichi Medical University
■え?知らないの?ICUの医療ガス設備
   上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部
■集中治療に関する最新厳選20論文
  柳井 真知 聖マリアンナ医科大学 救急医学
   藤谷 茂樹 東京ベイ・浦安市川医療センター/聖マリアンナ医科大学 救急医学
■JSEPTIC簡単アンケート:第19回:内分泌・代謝・電解質,Tele−ICU
   安田 英人 武蔵野赤十字病院 救命救急センター/鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科


Intensivist特集 心臓血管外科 前編

2015-11-25 23:33:45 | 集中治療

お知らせするのが遅くなりました。

周術期管理に関与するスタッフにとっての心臓外科手術の指南書です。基礎からかなり突っ込んだ内容まで網羅されています。

東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科 田端 実 先生の絶大なるお力のおかげです。ありがとうございました。

 

以下、目次。

Vol. 7 No. 4
特集 心臓血管外科 前編


心臓血管外科術後管理におけるチーム医療
 田端 実 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科

心臓血管外科の基本
1. 体外循環,心筋保護,低体温循環停止と脳保護
  中塚 大介 東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
  田端 実
2. 胸骨正中切開とMICSアプローチ
  星野 理 松本協立病院 心臓血管外科
  田端 実

術式別に学ぶ心臓血管手術:弁膜症と不整脈
1. 大動脈弁手術
  阿部 恒平 聖路加国際病院心血管センター 心臓血管外科
【コラム】大動脈弁置換術後にエコーで見るべきポイント
  柴山 謙太郎 東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター 循環器内科
2. 経カテーテル的大動脈弁置換術(植込み術)
  鳥飼 慶・倉谷 徹 大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科 
  澤 芳樹 大阪大学大学院医学系研究科 低侵襲循環器医療学
3. 僧帽弁手術 
  真鍋 晋 土浦協同病院 心臓血管外科
【コラム】僧帽弁手術後にエコーで見るべきポイント
  柴山 謙太郎
4. 三尖弁手術
  岡本 一真 慶應義塾大学 心臓血管外科
5. メイズ手術
  石井 庸介 日本医科大学 心臓血管外科
6. 感染性心内膜炎に対する手術適応とタイミング
  真鍋 晋

術式別に学ぶ心臓血管手術:虚血性心疾患
1. 冠動脈バイパス術
  福井 寿啓 熊本大学医学部附属病院 心臓血管外科
【コラム】off−pumpはon−pumpより優れているのか?
  福井 寿啓
2. 急性心筋梗塞後の機械的合併症に対する外科手術
  福井 寿啓

術式別に学ぶ心臓血管手術:胸部大動脈疾患
1. 大動脈弁基部置換術,自己弁温存基部置換術
  國原 孝 心臓血管研究所付属病院 心臓血管外科
2. 上行大動脈置換術,弓部大動脈置換術
  鈴木 友彰 滋賀医科大学 心臓血管外科
3. 下行大動脈置換術,胸腹部大動脈置換術
  松山 重文・下川 智樹 帝京大学医学部 心臓血管外科学講座
4. ステントグラフト内挿術
  吉武 明弘 慶應義塾大学病院 心臓血管外科
5. 急性大動脈解離の手術
  木村 直行 自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科

術式別に学ぶ心臓血管手術:重症心不全
1. 左室形成術
  水野 友裕・荒井 裕国 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 心臓血管外科
2. 補助人工心臓(VAD)植込み術
  津久井 宏行 東京女子医科大学 心臓血管外科
3. 機能性僧帽弁閉鎖不全症に対する外科手術の適応とタイミング
  宝来 哲也 北里大学病院 心臓血管外科

チーム医療
1. 心臓血管外科医と術後担当医のコミュニケーション:
 宿命づけられた軋轢への対応と,標準化された術後申し送りの提案
  則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器内科・集中治療科
  片岡 惇 東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科


連載
■え?知らないの?VA ECMOとIABPの併用効果
  橋 由典 杏林大学医学部付属病院 臨床工学室

■Lefor’s Corner
第18回:Vasoactive Drugs Part VII. Vasopressin
  Alan Kawarai Lefor, Misato Maeno Department of Surgery, Jichi Medical University

■集中治療に関する最新厳選20論文
  柳井 真知 聖マリアンナ医科大学 救急医学
  藤谷 茂樹 東京ベイ・浦安市川医療センター/聖マリアンナ医科大学 救急医学

■JSEPTIC簡単アンケート
第18回:ICUで遭遇する血液疾患:輸血製剤,
    救急・集中治療領域におけるeラーニングを活用した教育の現状
  安田 英人 武蔵野赤十字病院 救命救急センター/鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科


病棟における急変対応の看護セミナー

2015-09-11 10:02:01 | 集中治療

10月18日に病棟における急変対応の看護セミナーを開催します。

人工呼吸器アラーム、血圧低下、不整脈、不穏など、しばしば出くわす緊急事態に対する対応力を学ぶことができます。

急性期病棟、ICU、救急病棟ではたらくナースの皆様お時間がございましたらご参加下さい。

http://kenkyu.sogo-igaku.co.jp/seminer/detailed/20151018.html


病棟における急変対応の看護セミナー

2015-09-11 10:02:01 | 集中治療

10月18日に病棟における急変対応の看護セミナーを開催します。

人工呼吸器アラーム、血圧低下、不整脈、不穏など、しばしば出くわす緊急事態に対する対応力を学ぶことができます。

急性期病棟、ICU、救急病棟ではたらくナースの皆様お時間がございましたらご参加下さい。

http://kenkyu.sogo-igaku.co.jp/seminer/detailed/20151018.html


せん妄に関する質問へのお答え

2015-09-06 17:12:23 | 集中治療

本日杏林大学集中ケア認定看護師教育課程 フォローアップ研修に招かれ、「痛み・不穏・せん妄のモニタリングと管理」というレクチャーをしました。

そこで受けた質問とお答えをここにも記載しておきます。

いつもそうですが、質問を受けることは自分のあやふやな知識を整理するために非常に役に立ちます。ありがとうございました。

1. 深鎮静患者に対してせん妄評価を行う価値があるか?

RASS -4、-5の深鎮静の患者は鎮静レベルが上がってから再度せん妄評価を行えばよいでしょう(www.icudelirium.org/docs/CAM_ICU_training_Japanese.pdf)。

ICDSCも同様と考えてよいのではないでしょうか。

もしほとんどの時間(A)昏睡あるいは (B)昏迷状態である場合、ダッシュ(-)を入力し、それ以上評価を行わない。

と記載されていますね(http://igs-kankan.com/article/ICDSC-pocket.pdf)。

敗血症などの炎症(急性脳障害)にさらに医原性に鎮静薬の投与が加わって(両者の影響を独立して調べるのは難しいですね)昏睡、すなわちRASS -4、-5のような深い鎮静状態が作られるわけで、深鎮静は昏睡と実質的には同義です。昏睡は同じ急性脳障害の徴候の一つですが、せん妄とは異なります。


2. RASSは鎮静スケールなので、鎮静していなければやる必要はないか? RASSを行わないならCAM-ICUをやる必要がないか(つまるところ、鎮静をしていなければCAM-ICUをチェックする必要はないのか)?

鎮静の有無に関わらず、人工呼吸の有無に関わらず、CAM-ICUをやる必要があると思います。一見正常に見える陰性せん妄や混合性のせん妄患者を見逃さないためです。言い方を変えれば、鎮静剤を投与していなけれが必ずしもRASSを行う必要性はありませんが、鎮静せず落ち着いていればRASS 0と考えてよいわけで、そこからCAM-ICUに進むのだ、と考えてもよいでしょう。

逆に、たとえばプロポフォールなどの静脈内投与の鎮静薬は使っていなくても、たとえばフェンタニルを持続投与していればフェンタニルに鎮静作用がありますので、RASSやCAM-ICUを行う必要がありますよね。さらに広く考えれば、夜間にベンゾジアゼピン系の睡眠薬(睡眠薬はほとんどベンゾジアゼピン系です)を使えば、講義でお話ししたように睡眠構築に影響を与えますので、せん妄のリスクが高まる可能性があります。極論すれば、睡眠薬投与ですら、睡眠を促すために投与するにも関わらず人為的な鎮静に近いことをしている可能性があります(使うなとは言ってません。せん妄のリスクが高くなる可能性があるので積極的にスクリーニングすべきと言うことです)。

結論としては、鎮静を受けている患者でなくてもCAM-ICUをやる意義があります。


3. この裏返しの質問として、鎮静の中断時にせん妄評価をすべきか、というご質問もいただきました。

面白いデータがあります(Haenggi M, et al. Effect of sedation level on the prevalence of delirium when assessed with CAM-ICU and ICDSC. Intensive Care Med (2013) 39:2171–2179.)。鎮静自体がCAM-ICUやICDSCに影響を与える、という考えてみれば至極当然のことを示した(誰も検討しなかったので価値があります)データです。RASS -2 -3の人を除いてRASSが-1以上の人のみを対象とするとせん妄の陽性率が下がる、裏を返せば鎮静度が深いとせん妄と判定されてしまう患者が増えるということを示します。筆者らは、せん妄の評価は鎮静度を加味して鎮静度ごとに層別化して行うべき、としています。なるほどと思います。

さらに考えれば、鎮静の影響の最も少ないと考えられるRASS 0の状態でのせん妄評価が純粋なせん妄を意味するのかもしれないと言え、私たちは偽陽性のせん妄患者を拾ってしまって、見かけ上陽性率が上がってしまっているのではないか、とも考えられます。ですので、鎮静の中断時こそが本来のせん妄評価のタイミングなのかもしれません。

しかし、繰り返しますが、急性脳障害が進行中で患者が落ち着きがなく、呼吸や循環に悪影響が出ているから鎮静を使う、つまり必要な鎮静は必要だから使っているわけで、急性脳障害の影響なのか、その他の環境因子の影響なのか、投与する薬の影響なのかを完全に区別することは難しい。

したがって、RASSが-3以上であれば鎮静の中断の有無に関わらず、せん妄の評価を行うべきと思います。


4. 脳外科患者にせん妄評価スクリーニングツールを使うべきか

脳外科患者は、脳に直接の障害が及んでいるという点、神経学的な所見が脳の状態を知るための重要なモニターなのでできるだけ鎮静は避けたいという点で、たとえば敗血症などでICUで人工呼吸されて鎮静が必要な患者と背景が異なります。CAM-ICUを評価した研究では脳外患者は除外されているはずです(Ely EW, Inouye SK, Bernard GR, et al. Delirium in mechanically ventilated patients: validity and reliability of the confusion assessment method for the intensive care unit (CAM-ICU). Jama 2001;286:2703-10)。

しかし、実際にせん妄は脳梗塞の徴候の一つになりえます。せん妄の診断にはDSM-IVが使用されましたが、Hatta先生らのラメルテオンがせん妄を減らすことを示したRCTでも脳卒中患者が2 - 3割含まれています(Hatta K, Kishi Y, Wada K, et al. Preventive effects of ramelteon on delirium: a randomized placebo-controlled trial. JAMA psychiatry 2014;71:397-403.)。

ただ現段階では、急性期脳疾患患者のせん妄が何を意味するのか、たとえば人工呼吸器患者と同様に長期予後と関連するのか、積極的に予防・治療することによって患者の予後に影響するかのデータはほとんどないと思います(Teitelbaum JS, Ayoub O, Skrobik Y. A critical appraisal of sedation, analgesia and delirium in neurocritical care. The Canadian journal of neurological sciences Le journal canadien des sciences neurologiques 2011;38:815-25.)。

一つだけ研究らしい研究として、脳卒中患者(脳梗塞、脳出血)に対するCAM-ICUの妥当性を検証し、十分に使用に耐えうるとしたデータを見つけました(Mitasova A, Kostalova M, Bednarik J, et al. Poststroke delirium incidence and outcomes: validation of the Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit (CAM-ICU). Crit Care Med 2012;40:484-90.)。

結論としては、使うべきかと問われれば現段階では不明と言わざるを得ません。今後の研究に期待したいとこです。

以上です。

 


簡単アンケート第44弾 最終日です

2015-07-25 17:53:55 | 集中治療

日本看護協会看護研修学校 認定看護師教育課程集中ケア学科 専任教員の塚原 大輔先生が作成された簡単アンケート「救急・集中治療領域におけるeラーニングを活用した教育の現状」本日で終了します。5分以内に終わるアンケートですので、お気軽にご参加下さい。

 https://jp.surveymonkey.com/r/5BSPS2S

以下、最近感じていることですが、e-learningが得意とする教育内容・形式と、教える側と教わる側が物理的に同じ時間・空間を共有する形式が得意とする内容・形式をうまく使い分けることが、教育の効率を改善する一手段になるだろうということです。

たとえばシミュレーションコースやグループディスカッションなどの参加型が有用な教育内容があり、その事前知識としてレクチャー形式が有用と考えられれば、レクチャー部分をe-learningで事前に行えばシミュレーションコースやグループディスカッションの時間を増やすことができ、一石二丁と言えますよね。

ネックは、みなさんどうしても忙しいので事前のe-learningをサボる傾向にあることでしょうか。それはネット上での受講終了の有無のチェックや事前テストで解決できるでしょうか。

参加に対する心理的抵抗ができるだけ小さく、かつ教育効果ができるだけ高いスタイルを追求すると、こだわらずに良いとこ取りをするコンビネーション法が良いのかもしれません。

まあ、教育の専門家や現場に立たれている方から「今頃何言ってるのよ、あたりまえじゃん」という批判を受けそうですけど、素人の戯言ということで読み流して下さればさいわいです。


”ICUスタッフのための人工呼吸ケア”刊行されました

2015-07-18 11:13:21 | 集中治療

ICUスタッフのための人工呼吸ケア”刊行されました。

http://www.medica.co.jp/catalog/book/4595?e_flg=0

4つの人工呼吸管理症例(肺炎・敗血症性ショック、ARDS、COPD、術後呼吸不全)に沿って、医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士、薬剤師が、何を見るか、どう動くかを対話形式で解説しました。

ご評価いただければさいわいです。

以下、まえがきの抜粋

はじめに―強いチームとは
 ICU,救急病棟,急性期病棟では,重症患者診療にナース,医師,臨床工学技士,薬剤師,理学療法士を含めて多くの職種が関わっています.人間関係が良好で治るべき患者さんが治り,患者さんに害が及ばなければ“良いチーム”と呼べるでしょう.しかし,もしチーム内の各職種が他職種の仕事に無関心でお互いの尊敬もなく,「○○は××の仕事だから関係ない」という気持ちでいたら,強いチームとは呼べないのではないでしょうか.強いチームとは,他職種を「自分ができないこんな素晴らしいことができるんだ」と素直に尊敬し,お互いのやることや考えていることに関心があって,足りないところがあればカバーすることができるチームだと思います.
 本書では,呼吸療法を中心に,重症患者管理全般に関して毎日の診療の中で比較的よく出くわす場面を設定し,私が医師,ナース,臨床工学技士,薬剤師,理学療法士の各執筆者と対話する中で,それぞれの職種がどう考え,どう対応するかを語ってもらいました.読者の皆さんは,そのような対話を読み進んでいくうちに他職種の頭の中を覗くことができ,強いチームメンバーになるための基礎知識を得ることができるはずです.そして「自分は知らなかったけどこういうことを考えていたんだ」と気づき,自分のやっている看護や診療の意味がより深くわかるようになるはずです.自分もこの本を作りながら,ナースはチームの中で患者さんに接する時間が最も長く,その観察や看護から得られる情報を十分に活かすことが大切であることを再認識しました.
 “強い重症患者診療チーム”のメンバーになりたいと思うナース,医師,臨床工学技士,薬剤師,理学療法士の皆さん,どうか手にとって読んでみてください.

 

 


雑誌Intensivistの別冊(循環器編)が刊行されました

2015-07-11 20:28:54 | 集中治療

メディカルサイエンスインターナショナルから循環器急性期診療が、みなさまおなじみ慶應義塾大学 循環器科の香坂 俊先生の編集で刊行されました。

https://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3459

雑誌Intensivistの循環器に関連する内容を集めて、2015年の現状に合うように修正、加筆、書き下ろし(たとえば鎮静)、アップデートした内容になっています。

こちらで循環生理を学んで、実践は循環器急性期診療で!