Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

欠点は日本語?

2009-10-03 11:46:39 | 集中治療
ベッドサイド回診こそが研修医教育の最良のツールであると確信して疑いませんが(単に自分がそう教わってきたからです)、最近回診で時間が足りないと思うと、ついつい「Intensivist第X号の◯◯を見てね」という反則ワザを使ってしまう場合があります。

例1:

研修医:尿が出ないのでボリュームが足りず腎前性の腎不全と考えて輸液をしました。

指導医:ボリュームが足りない証拠は何かある? 腎後性、腎性でないという証拠は?必要な検査は何?

研修医:........

指導医:それはね。まず........(途中略。問答式に解説をした約10分後に最後に)Intensivist第3号をよく読んで復習してね。

例2:

指導医:(シミュレーショントレーニング風に)それでこの敗血症性ショックの患者さんがもし容量負荷と血管作動薬に反応がなかった場合、他にどのような治療手段がある?

研修医:ステロイドですか? 

指導医:ウン。では何をどのように使う? その根拠となる文献は?

研修医:えーと、ヒドロコルチゾンですが、量はえーっと........

指導医:それはね。まず........(途中略。問答式に解説をした約10分後に最後に) Intensivist第2号のステロイドのところで復習してね。

例3:

指導医:この患者さん呼吸器ウィーニングできる?

研修医:えーっと、ガスもいいですし、呼吸回数も多くないですし、...... まずはPSを少しずつ下げていきます。

指導医:SBTって知ってるか? SBTの基準は?

研修医:........

指導医:それはね。まず........(途中略。問答式に解説をした約10分後に最後に) Intensivist第1号の座談会のところがよくわかるよ。

という具合です。

これって「指導医の怠慢を自ら認めることではないか」、「非常にずるい逃げだ」と猛省します。しかし、そうでもしないと回診に昼過ぎまで時間がかかり、昼のカンファレンスして、そうこうしているうちに入室があって夕方のワークラウンドになってしまい、「一日中回診している」ことになってしまうので、止むなしと確信犯的に逃げることもあります。

気づいた方はたくさんいらっしゃると思いますが、Intensivistは「いままでになかった」凄い雑誌です。「知りたかった」臨床上の疑問に答えてくれます。第2号、第3号は、内科系、外科系を問わず多くの非集中治療医に役立つ内容です。日本語版だけなので、研修医の英語力養成の邪魔になるということが最大の欠点かな、と思うこともしばしばです。

これ以上は嫌みになりますので止めておきましょう。

ps:第4号も遅れていますが、かならず皆様のもとにお届けいたします。