Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

またひとつ神話が.....

2011-02-02 13:22:33 | 集中治療
動脈グラフとはイイ、イイって聞いて育った元心臓麻酔科医としては寂しい限りですが。

Goldman S, Sethi GK, Holman W, et al. Radial artery grafts vs saphenous vein grafts in coronary artery bypass surgery: a randomized trial. JAMA. 2011 Jan 12;305(2):167-74. (Original) PMID: 21224458

冠動脈バイパス術(CABG)に使用する橈骨動脈グラフトと伏在静脈グラフトでは1年後のグラフト開存度に差がない、という結果が出ました。米国の退役軍人用の政府系の病院チェーンで行う予定かつ初回のCABG患者733人に、左内胸動脈を左前下行枝に繋いだうえで、そのほかの必要なバイパスとしてランダムに橈骨動脈グラフト群と伏在静脈グラフト群に分けた。開存度は橈骨動脈グラフトが89%(95% CI, 86%-93%)、伏在静脈グラフトが89%(85%-93%)adjusted OR, 0.99; 95% CI, 0.56-1.74; P = .98と同一であった。

5年後、10年後の結果も知りたいものです。

内胸動脈グラフト、とくに左内胸動脈を左前下行枝に繋ぐのは確立され歴史もありますが、「動脈グラフト命」と言った時代はすでに過ぎ去ったのかもしれませんね。