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知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

水処理装置審取

2011-03-19 11:48:40 | 最新知財裁判例

平成22(行ケ)10237:4部高部

請求認容

本件は、拒絶不服審判請求不成立審決に対して取消を求めるものです。

裁判所の判断は11ページ以下。

本判決は、まず、一致点の認定に関し、本願発明の「水処理装置」と引用発明の「水熱反応装置」とは、水の役割が異なり、技術分野が異なるため、両者が「処理装置」の点で共通するとした審決は誤りであるとしました。さらに、本判決は、被告の反論に答える形で、両者は、技術分野が離れていることから、引用例として適切であったともいえないと判断しました。

本判決は、次に、相違点の判断について、引用発明においては、超臨界状態または亜臨界状態の高温高圧の水の存在下に被反応物を酸化反応等させることが前提となっているのであるから、引用発明に基づき0.4Mpa程度の容器内圧で処理を行う本願発明の「水処理装置」に想到することは、引用発明の前提を変更することになり、当業者が容易に想到するとはいえないとのべ、また、高温高圧で使用することを前提としている引用発明の耐圧容器は、本願発明の圧力容器とは異なるものであるから、オゾンを使用していることから高温にすることは示唆されているとはいえず、相違点2を容易に想到することはできない、と判断しました。

なお、本件出願過程における補正については、原告は、もともと本願発明には、超臨界状態または亜臨界状態における反応は含まないとの見解であったが、拒絶査定に対応して、除くクレームによりこれを明確化したもにすぎないとして、かかる補正等の行為をもって、直ちに、本願発明には、超臨界状態または亜臨界状態における反応を含むということはできない、と述べました。

本判決は、本願発明と引用発明とを精密に認定することにより、審決の判断を誤りとしたものであり、事実認定の一種である発明の認定のあり方を検討する際に大いに参考になるものと思われます。 


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